今日もダメな日。でも嬉しいこともあった日。

今日も仕事で失敗した。厳密には失敗未遂だ。いや、迷惑をかけた人がいる以上、やはり失敗か。
いちばん迷惑をかけた人は「皆やらかしてきてるのよ」なんて優しい言葉をかけてくれた。だが自分の情けなさが消えるわけでもなく、他にもやらかしてることがあるかもしれないと、どんどんマイナス思考になっていく。

とぼとぼ、という音がまさにぴったりの歩き方をしながらの帰り道。ふと好きな作家の新作エッセイが昨日発売されていたことを思い出す。
その本は久しぶりに立ち寄った書店に、こじんまりとではあるがPOP付きで面出しされていた。
「わあ」
嬉しさのあまり声が出る。なぜならここは大都会でも作家の故郷や住まいでもない、ありふれた都市…とも言い難い片田舎の書店。置いてすらいないかもしれないと思っていたのに、こんなに飾られ前面に出されているとは。
すぐさま手に取りレジへ向かった。

自宅最寄駅に向かう電車内で、今しがた手に入れた本を貪り読む。ああ好きだ、この人の紡ぐ言葉が大好きだ。仕事の失敗で落ち込む気分が少しだけ上向いてきた。

「こうして電車に揺られたままずっとこの本を読んでいたいな」

そう思った最寄駅に着く二駅前。スマホが震えたので画面を見る。

『◯◯があなたのコメントにいいねしました』

本日二回目の「わあ」。
とても勇気をもらったTikTokの動画があり、今朝お礼のコメントをしていた。それに制作者ご本人がいいねをしてくれたのだ。嬉しくて嬉しくて、思わずスマホを抱きしめた。


自分はこれからもきっと失敗ばかりで、なにをやっても駄目な人間のままだろう。けれど今日のような嬉しいことが時々あるから、崖っぷちでもギリギリ生きている。


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