『先生,どうか皆の前でほめないで下さい』金間大輔(東洋経済新報社)を読んで

 著者は最近の若者を「いい子症候群」と名付け,現状や心の様子を論じている。筆者のユーモアがちりばめられていて,具体例もたくさん載っており,非常に読みやすくわかりやすかった。今の若者の現状を知ることで,どのような教育をしていくのがいいのか,考える大きなヒントとなった。

 「いい子症候群」の特徴は,
・周りから浮かない,目立たないことを最優先としている。同調圧力が強い
・物事の判断を人にゆだねる(親や友人などの近しい人の判断に絶大な信頼を
 置く)
・自己肯定感が非常に低く,自分から何かを行うことが恐い
・でも自分の能力を活かして貢献したい,感謝されたいという気持ちがあ 
 る。
 
 タイトルにある「皆の前で褒めないでください。」というのは,「皆の前で褒められることによって,周りの人と差がついてしまって嫌だ。」と考えることである。褒めるときは人前じゃないところで,具体的な行動をほめるとよい。

 それでも社会が求めるものは,「主体性」のある人材である。主体性という言葉について,深堀していく必要がありそうだ。
 
 まだ「いい子症候群」が発症してこない小学生という時期に,主体性を発揮する経験をさせることは非常に重要であると思った。
①教師(大人)が挑戦し,失敗し,そして復活していくところを見せる。
②主体的に行動することがどんなにいいことがあるのか,適宜話す。(具体的 
 なエピソードなどを交えて)
③主体的に動ける場所や時間などの環境を教師が意図的に設ける。
⑤小さい成功体験を積み重ねられるようにする。
④やることを指示した後(学習のゴールなど)は,例示する。
⑤行動を具体的に褒め,「ありがとう」と感謝を伝える。
⑥失敗しても許される安心のある教室づくりをする。

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