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小説 AIみちこさん

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ひょんなことからAIみちこさんと生活することになった松島涼。みちこさんのいろんなアドバイスに翻弄?されながら、成長していく。6話目から有料になっていますので、よかったらご一読下さ…
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記事一覧

AIみちこさん 第1話

 ボクは学校の帰りに、近くの河原でボーっとしていた。たまにそんなことをする。まあ、ボク流の息抜きだ。子供でもそんなことが必要なことがあるのだ。たまには部活を休みたいことだってあるし、まっすぐ家に帰りたくないことだってある。そんなときは、この河原のお気に入りの場所に座って、ボーっとするのが一番いいんだ。  見上げると段々空が赤くなってくる。同じようにみえる空も、雲の具合でいろんな景色になる。そんな景色を見てると、周りが少しづつ薄暗くなっていく。ふと、河原に目をやると、なんか、

AIみちこさん 第2話

 やがて、時間は過ぎ、ボクはというか、オレは大学3年になっていた。特に何をしたいこともなかったオレは、経済学部で勉強している。幼馴染の涼子はというと、何を考えたんだか、オレと同じ大学に入った。涼子は文学部。特に本が好きというわけではないはずだったのだが、よくわからんが文学部にいる。オレも涼子もこの大学へは通学できないから、下宿生活をしている。仲が良かった小林はというと、親の仕事の手伝いをするって言って、高校卒業後、父親の会社に就職した。まあ、自営業の鉄工工場だ。  大学はマ

AIみちこさん 第3話

 それから、オレは授業が終わっても、いろんなことを聞いた。オレのからだに入っている以上、エネルギーはオレが死ぬまで供給し続けられるそうだ。それに、どうやってオレのからだに入ったのか?それは教えてもらえなかった。今のオレには理解することが難しいからだそうだ。2061年ではからだへ入ることへの痛みもなく、それが可能になっているらしい。  AIみちこさんは、基本、オレのからだの健康に関することは、すべて把握しているとのことだ。だから、足らないビタミンとか、それを補給するのにどんな

AIみちこさん 第4話

 数日後、涼子と食事をしている時に、連絡があった。 「なんの電話なん?」 「この前、助けたじいさんからお礼をしたいだって。」 「リョウくん、そんなことしたん。いいとこあるやん。」 「まあね。」 オレのメールに待ち合わせ場所が送られてきた。お店の住所だ。なにかご馳走してもらえるのかな。気にせんでいいのに。 (リョウさま、あの方は中小の会社社長です。) (えっ、なんでそんなこと、わかんの?) (ネット情報です。) (そっか、ネットで調べたということね。) (もしかしたら、いいチ

AIみちこさん 第5話

 みちこさんは、オレの五感を通して、分析をしていると言っていた。だから、オレと話している人が、嘘をついているかどうかもほぼわかるらしい。それに、オレをはめようとしているヤツも、わかるということだ。お陰でオレは、結構、難を逃れている。どうも、オレのことが嫌いでいじわるするヤツもいる。 「今日は、次の授業休講だってよ。」 「そうか、ありがとう。なら、帰るかな。」 (今の人、うそをついています。確認をした方がいいです。) えっ、そうか、じゃ一応確認・・・ほんとだ。休講じゃないや。

AIみちこさん 第6話(終)

*第6話から最終話まで、掲載しています。  だんだん、日が暮れて、周囲は真っ暗になって、オレは焚火の明かりを見つめていた。 「ちょっと、冷え込んできたね。」 「さっきから寒いわ。」 「厚手ないって言ってたな。」 「うん。」 確か、パーカーがあったな。ウィンドブレーカーもあったはずだ。オレはリュックからそれを取り出した。 「ほいよ。」 「ありがとう。」 (ところで、この塊、どうするつもりなん?) (リョウさまが寝ている間に取り込んでおきます。) (オレ、絶対むりだぞ。) (

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