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評論風フィクション「学校教育史 近未来編」(8)新自由主義が生んだ究極のシナリオ 日本型チャータースクールの導入

もともとチャータースクールは、海外において公的教育機関としての公立学校の教育に疑問を持った人々(個人)が、理想的な教育を目指して設立されたのがはじまりだと言われている。

しかし、個人でチャータースクールを経営するのは経済面にておいて非常に困難であった。また、常に公的機関による厳しい評価を受けなければならず、評価が下がった学校は補助金が減額されたり、打ち切られたりする措置が取られることが多かった。
その結果、高邁な理想も虚しく、数年程度で学校を閉鎖せざるを得なくなるケースが続出した。

海外の失敗例をふまえて

そうした海外における失敗例を踏まえて、日本では、自由な教育の実践に寄与するため実質的な運営を政府が企業に門戸を開いたのである。
チャータースクールが国庫からの補助金以外は私費運営であった財政的な問題を、公設民営化を導入することで解消を目指したのである。

すなわち、経営状態の安定した大手企業が公立学校の経営に参入することを可能にしたことで、日本型チャータースクール制度は、継続可能な学校教育システムを支える中核となった。

こうした流れを支えたのが、新自由主義の理論であり、それが社会的に認知されたことによってすべてが効率的になり、一人ひとりの子どもの自由は最大限に保障されることになった。

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現代の学校教育にはさまざまな課題が、長い間解決されないままになっています。今すぐにでも本気で改革を進めなければ、この作品にあるような学校が…

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