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バスとおじさん

久しぶりにバスに乗ろうと停留所に立っていると、一人の男性(70代?)が私に声をかけてこられました。男性「〇〇駅まで行くと料金はいくらになりますかね」
私「300円くらいだと思いますが、私も最近バスを使ってないので、はっきりわかりません」
男性「バスが来たら運転手さんに聞くのは別に構いませんよね。ね。」
何度も念を押すように言われたので「ええ、まあねえ」と答えました。

しばらくしてバスが来ました。私が中央の入口から乗り込もうとしたとき、そのおじさんは誰も降りてこないため閉まったままの前の入口に向かいました。そして、車内の運転手に声を掛けています。運転手がドアを開けてくれたので、運転手に全力でさっきの質問をしています。
運転手「乗らないんですか?」
おじさん「乗らない、乗らない。で、いくらかかるの?時間は何分くらい?」
運転集「営業所に聞いてください(若干キレ気味)。」
おじさん「わかった。ちょっと調べたかったんや。で、営業所の電話番号わかるか?教えてくれ」
なんともめんどくさい人だと運転手は感じたのか「調べればわかりますよ」と強めに答えていました。
おじさん「ああそうか、そうか、じゃあ調べる。わかったわかった。調べればわかるわな」
やっとこれでバスは発車できる。そう思ったときです。私は、整理券を取り忘れていることに気付きました。発車してしまえば、最初の停留所からの運賃を払わなければなりません。優に4~5倍にはかかります。すんでのところで発券機に手を伸ばして整理券を何とかゲットしました。面倒なおじさんだと思っていましたが、この人が時間をかけていなかったら、私は整理券を取り損ねたかもしれません。どこで誰にどんな形で助けられるかわからないものです。

発車したバスの窓。おじさんは私に向かって片手をあげ、ありがとうの合図をしてくれました。いえいえ、お互い様です。

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