呪いの破片
一見、普通の住宅街だった。
夜中に降り出した雨は、次第に強くなっていた。
雨音が響く。
打ち付けられたアスファルトには
空から降ってきた花瓶が
粉々の破片になって落ちている。
そこだけが平穏を打ち破っている。
キラキラと破片に水飛沫。
どこの誰だろうか。
ある家の窓から
投げ捨てられた花瓶は
意思もなく、そこにあるだけだった。
排水溝から、腐卵臭が漂ってきた。
まるで呪いのように、
この近くに暴力が、
ねじ伏せられた力が隠されていることを
花瓶だけが知っている。
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