駄菓子屋とくら寿司

休みの日に、駄菓子屋へ行って100円分のお菓子を買い、自転車に30分乗って公園へ行った。

たんぽぽの綿毛をありったけ集めて同じ場所に吹き、
「来年ここはタンポポ畑になってるね」
とか言いながら日が暮れるまで遊んだ。

今日はくら寿司で晩御飯。

インターネットで予約をしないと、1時間以上の待ちが出るので予約は必須。
予約時間通りに到着し、QRコードをスキャンすると15番の席へ行ってくださいとレシートが出てくる。

席に着くと、またQRコードをスキャンする。
メニューが出てくるのでタップすると次々と寿司がレーンを流れてくる。
食べ終わったら皿をびっくらポンへ入れる。こども達も楽しそう。

妻が醤油入れが清潔かと気にしていたが、
今、世界で1番清潔なのは、回転寿司チェーン店の醤油入れだと僕は思う。

食べ終わったらセルフレジへ行き、会計を済ませる。
(スマホでの注文履歴で、勝手に計算してくれている。)

店を出た時に、ふと気づいた。

店員さんと話をしていない。

世の中は「便利」になっていく。この流れは止められない。

「便利さ」と「豊かさ」は両立するのだろうか?

べん‐り【便利】 の解説
[名・形動]

1 目的を果たすのに都合のよいこと。あることをするのに重宝で、役に立つこと。また、そのさま。「生活するのに―な所」「―な調理器具」「地下鉄ができて―になった」

goo 辞書


「目的」ってなんだろう。都合がいいって誰にとってだろう。役に立つって良いことなのだろうか。

僕にとって、くら寿司で食事をする目的は、「家族と豊かな時間を過ごしたい。」だったのだと思うが、「店員さんと話さないこと」は、その目的を果たすために都合が良かったのだろうか。
効率化ばかりに目がいくと、豊かさを損なうことにはならないだろうか。

というか、こんなことをグルグル考えさせられるくら寿司のシステムって、本当に豊かなのだろうか。

スマホで注文し、レーンに運ばれ、僕の胃袋の中に入っていく寿司。
便利になればなるほど、効率化されて、そのうち、寿司屋から家にいる僕の胃袋まで、直接引かれたチューブがタンパク質と炭水化物を注入してくれるようになるのではないか、とディストピアを想像してしまう。

なんだか、マトリックスのチューブに繋がれた人たちを思い出す。

映画マトリックスより
人類全員がこんなふうにカプセルで飼われてて、生体エネルギーを発電に使われてたんやで。カプセルの中では、みんな幸せな妄想世界を生きてたんや。おーこわ。

ゆた‐か【豊か】 の解説
[形動][文][ナリ]
1 満ち足りて不足のないさま。十分にあるさま。「黒髪の―な女性」「緑―な森」「才能の―な画家」「国際色―なマラソン大会」

2 経済的に恵まれていてゆとりのあるさま。「―な家に育つ」「―な生活」「給料日後で懐 (ふところ) が―だ」

3 心や態度に余裕があって、落ち着いているさま。「―な心を育む音楽」「心―に余生を過ごす」

goo辞書

1番にあるように、満ち足りて不足のない世界に、これ以上「便利さ」は何を供給するのだろうか。明らかに過剰な「便利さ」が人々の生活にねじ込まれている。

2番にあるように、「豊かさ」にはお金が必要だけど、あればあるほど良い訳ではない。原始時代に戻るのか?と聞かれると、もちろん答えはNOだけど、スマホのない2000年代に戻るかと聞かれると喜んでYESと答える。

自信はないけど断言しておく。

【「便利さ」を追求した果てに「豊かさ」はない】



「不便さ」の中にも「豊かさ」はある。

公園に行く前に行った駄菓子屋では、いつも店の奥で野球中継が流れており、声をかけないとおじいちゃんは出てこない。
値段がわからない仮面ライダーのカードが入った袋を1枚ちぎって値段を聞くと33円。
電卓で計算するから、間違っても多分気づかない。
おじいちゃんの体調が悪い時は痰壺に痰を吐きながら接客してくれる。
スシローだったら炎上ものだ。
今日は痰壺がなかったので、体調は回復したらしい。

「あのおじいちゃんが死んだら、この店無くなっちゃうの?」
息子が聞く。
フランチャイズとは到底思えない、この民家兼駄菓子屋は、後継者がいるとは到底思えない。10年後にはきっと存在しない駄菓子屋にあと何回息子と通えるだろうか。

「便利さ」は速くて、
「豊かさ」はゆっくりだ。

「便利さ」は清潔で、
「豊かさ」は不潔だ。(おじいちゃんごめん。)

「便利さ」は金になって、
「豊かさ」は金にならない。

「便利さ」は雄弁で、
「豊かさ」は無口だ。

この加速する社会で、「豊かさ」をどのように保つことができるのか。それが僕の生きる意味だと思う。


さ、今日は、スタバにiPadとMacBook持って行って、chatGPT使った授業を考えよーっと。

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