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やるせない気持ち

生きることのやるせなさとどう向き合ったら良いのだろうか。            

もちろん自分のことを不幸だなんて思ったことも無い。むしろ、幸せ過ぎる贅沢な身の上だと思っている。                                

にもかかわらず白い画用紙の隅の一点の染みを拡大させて「やれ不安だ」「やれ虚しい」などいつまでも思い煩う自分の傲慢さに嫌気がさす。             

空は高く青く、緑は美しく光り輝き、街の景色は全てがそこに在るべきものとして濃い存在感を悠然と放つというのに。                           

何故、わたしは陰鬱な面持ちでこれらを見送らなければならないのか。        

子供の頃、わたしは風になりたかった。風のように軽やかに、どこまでも飛んで行けそうな。星の広がる夜空とも一緒に融けたかった。どこまでも自分がひろがってゆくような気がして。                           

最近、こんなことを思う。わたしが出来ることはおおよそ果たし得たと思うし、これまでも身を崩すほどに尽くしてきたとも思う。                                 

子供の頃に願ったように風になれたり星空に融けることがわたしにも出来るのだろうか。そうすれば、このやるせなさから解き放たれることがあるのだろうか。                                     

高くなった空を渡るこの風が好きだ。妖しく照らす秋の月もとても好きだ。        

試しに「やるせない」の対義語を調べてみたら「思い通りに物事が進むこと、思うままの気持ち」と書いてあった。なるほど、思うままのこの気持ちがいつだってこうして私のやるせなさを相殺してくれているんだ。      

季節の移ろい香しき長月、この季節はやはり美しい。

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