忘れられない14時35分
長く私をフォローしているマッマ達なら分かるだろうが、私は体に爆弾を抱えている。
それは販売員という接客業において、時に支障を来すほどの病だ。いや、むしろ病というか事象と言ってもいいかもしれない。
というか、この事象において全ての原因は陰陽師(詳しくは記事をご覧あれ)なのだが、まあ私も一二割は悪いと思っている。
この記事では身も蓋もないことを赤裸々に語るノートなので、世の中にはこんな女がいるんだなと話半分に読んでもらえればいいと思う。
あと一応身バレ防止のために適度に変えてるけどほぼ一緒なのでよろしくな。
まずは、私がなぜこんな日常に負担を強いられているかの話をしたいと思う。
あけすけにいうと、まともに男性とお付き合いをしたのが専門学校の頃。つまり陰陽師が初めての男だった。
山田◉太郎似のソース顔イケメン、刺青もワイルドでかっこいい彼氏と、私は初めて男女の関係を結んだのである。
しかし私は、──── 私のBL小説を読んでいる人なら信じられないと思うが──── 驚くほど性的欲求が少ない。もう、どれほどかというと、半年とか一年レベルで何もなくても全然オッケーなのである。
今付き合っている男(この男は初めて社会保険をまともに払っている唯一の常識人だ)とも、なんなら三ヶ月以上大人な関係を結んでいないくらいには、恐ろしいくらいの性欲のなさである。
多分これは母ゆずりだ。母も私を孕んで以降、夫婦の契りを拳でしか交わしていないと言っていた。
ただこれはあくまでも作者調べであるから、世の中の婦女子たちはもしかしたらもっと慎ましいのかもしれん。そこは悪しからず。
つまり、私は専門学校の時からそうだった。しかし、当時20歳の陰陽師はもうそんなわけにはいかない。ただ横で歩いてるだけで股にチャンネルを挟んでいるように元気になるやつだった。
なので本当に不本意ながら、そういった大人のぶつかり稽古をする際には予定を組み、毎月の第一火曜日と第三火曜日でバイトがない日のみ。と約束をして臨むことになった。
しかし、腐女子が大好きな、攻めに求められる受けのなんて愛らしいことよ❤️🔥と自己投影して頭がお花畑になることもなく、毎度その日が近づくたびに、毛の処理くそだりぃなマジで。と身も蓋もないことを思っていたのである。
特にそう言った行為でわかりやすくアヘエ!!となることもない、多分私にはそういった方面の才能がない。
事が起きたのは初めてのぶつかり稽古からおおよそ半年。とにかくぶつかり稽古が面倒くさすぎてのらりくらりと躱していた私に、しびれを切らした陰陽師が若きパトスを恐ろしい方向へと舵を切りやがったのである。
そう、唐突に入れる穴を間違えやがったのだ。
たしかに部屋は暗かった、しかも私も半分寝かけていた。そこは愛を確かめるなら真剣に挑めよと怒られて然るべき行為だと自覚している。
だけどこんなことってある???
なんなら「いったぁい!!」とか可愛く言えてたら百点満点だったんだろう。
だけど前述の通り私は寝かけていた。最中にお好きにどうぞと爆睡ぶっこく私だ。つまり日頃の失礼が粛清されたのだ。
突然背後からゴーヤをぶっ込まれてみろ。
それはもうニャン◎ュウのくっそ低いダミ声で
怨゛ッッッ!?!?!?!?
とゲ謎の長田もびっくりな威力の怨を口から放ったのである。
陰陽師はクォーターだった。それはもう外国の血がびたびたに入っている。ドイツとイギリスと日本の血だ。野菜売り場でゴーヤを見るたびに、親戚の方ですかね??とからかっていたあの頃の私。
まだ私の尻がバリバリに鎖国してたころの、私。
こみ上げる吐き気、突如拭き上げる冷や汗、あえかな吐息を漏らす陰陽師に、突如脳内に再生されたあのときの母の声。
──── 中指を突き出した拳の威力はパネェぞ。
「グオァアアァアアア!!!!!」
まさか母の教えが活かされた相手が陰陽師とは誰が思いますか。
私の拳は陰陽師の前歯を斜めにし、そして私は受けの苦しみを理解した。
陰陽師は上の口から、私は下の口から仲良く流血。なお人は死に直面すると本能が獣になるらしい。私はうっかり陰陽師にまたがってボコボコにしてしまったのだが。最後まで謝ってたのは陰陽師である。本当の意味でのぶつかり稽古をした私達はもはや普通の恋人同士ではなかったのかもしれない。
その日は陰陽師は口を、私は尻を押さえながら解散。夜になるとジックジックジックジック、まるで穴を火で炙られるような痛みで眠ることも叶わず、翌朝の四時半頃に「てめぇまじで同じ目に合わせてやるからな。しね、しね」と到底恋人に残すような留守電とは思えない内容を吐き連ね、その日は学校を休み肛門科へ受診。
病院につくなり、驚くほど姿勢良く立つ不機嫌な女が爆誕。
待合室はおじさんおばさんばかり、若い女は私のみ。当然不思議そうな目で見られることもあったが、眼力で黙らせる。
うら若き白衣の天使が問診票を差し出し、なぜか妙な意地を張り書き出した尻の違和感。という言葉。詳しく記載してくださいと添え書きがあったが、詳しく書いたとて、
現実を受け止めることができるのか?私でさえ受け止められていないというのに。
問診票を受け取った白衣の天使は私を見つめたあと、ただ一言「わかりました。」とだけいった。
私の態度に違和感をかんじていたらしい。それでも、必ずなんとかしてみせると言わんばかりのまっすぐな目だった。
そして通された診療室。先程の天使から渡された紙製のパンツに、一抹の不安を覚える私。
金髪ロン毛の治安の悪いくそギャルが紙のパンツを纏うという、もうだいきちの心の残基はゼロだった。
頭が焼け野原みてえな手練れの先生が入室し、私の滑稽な姿を見て動きを止める。紙のパンツに上は豹柄のパーカーを着ていたんだからしかたない。間違いなく医師の目の前の私は東京に初上陸したマサイだったとおもう。
「尻の不具合ということですが、とりあえず見るんで台に四つん這いになってくれる?」
「おん」
「あと念の為確認するけど、なにか物入れて遊んだとかではないよね?」
おいおい勘弁してれよ。
「この間はお尻に掃除機のホース入れた人もいたからね」
なにそれ詳しく
「なんかあの、ナニがあれになりまして」
「ああ、じゃあ紙のパンツはいらないね」
「!?!?!?」
ビリィ!!!!
何ではかされたのか理解する前に、医師によって紙のパンツを破かれる私。ご開帳とじゃねえ、もうまじフルオープンよ。
「あー、あれだね。キッチンペーパーの芯でもいれた?」
「いれてねえよ」
「切れてるね、んー14:35かな」
「いやだ若くしてこんな、まて、いま11:40ですけど」
「ああ、14:35だよ」
??????
は????
「腕時計してるよね、文字盤みてごらん。その針が示す方向に切れてるから」
まじで? 尻に羅針盤宿してるってこと???
「(絶句)」
「とりあえず粘膜だからすぐ治るよ、痛み止めと塗り薬出しとくね」
「あのなんで私紙のパンツはいたんですかね」
「なんでだろうねえ!あっはは!」
「(困惑)」
「ほんとガッツリ言ったね、梅干しみたいになってる」
「OH……」
ちなみに梅干しっていうよりランブータンって感じでした。(帰宅後決死の思い出確認)
陰陽師に怨されて怨゛っってなった私の尻の穴は、慢性的な切れ痔になったわけですが、もはやここまで付き合いが長いと恥じらいも外聞も特になくてですね。
いやしかし接客中に屈んで切れ痔発症して、さながらターミネーターの登場シーンを逆再生するかのような慎重さで立ち上がることもしばしばあったり、痛みを逃すために菜◉緒ポーズを決めたりと忙しない付き合いを10年以上。
だから定期的にくる謎のタイミングでの切れ痔発症すると、動きがスター◉ォーズC3◉0と化すので。
私の痔事情は会社の部長も知るところです(ちなみに自分から痔持ちなんですと話したら部長も痔だった)
なんなら顧客さんにも痔持ちだとバレているので私はむしろ勝っています。
戦いに負けて勝負に勝てば結果は勝ちなんですよ。
なおくそポジティブなんで痔を発症した瞬間から私は痔主宣言をしています。響きよくね???地主とイントネーション一緒よ。
全国のBL小説字書きの諸侯方、マジでおすすめはしないけど受けの苦しみを味わえるので、一回くらい怨゛ってなって見るのもいいかもしれない。
そしたら言って???? 的確なアドバイスいつでもできるからさ。
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