『多様体の基礎』の演習問題解いてみた

本記事は自分の理解が目的。
正確でない箇所が含まれる場合があります。


ではさっそく、解いていく。

セクション2

2.1

まず、$${U}$$が開集合のとき、$${\mathbb{R}^m-U}$$が閉集合であることを示そう。
背理法で示します。
収束する点列$${\{x_n\}_n \subset \mathbb{R}^m-U}$$をとり、これが$${a}$$に収束するとします。
いま、$${a\notin \mathbb{R}^m-U}$$つまり$${a\in U}$$と仮定します。
$${U}$$は開集合であるから、$${r>0}$$が存在して、$${N_r(a)\subset U}$$が成り立ちます。
一方、$${x_n \to a}$$より、$${n_0\in \mathbb{N}}$$が存在し、$${n\ge n_0}$$を満たす任意の$${n\in \mathbb{N}}$$に対し、
$${d(x_n,a)<r}$$すなわち、$${x_n \in N_r(a)~~(n \ge n_0)}$$である。
よって、$${n\ge n_0}$$では$${x_n \in U}$$となるが、これは$${\{x_n\}}$$が$${\mathbb{R}^m-U}$$の点列であることに矛盾する。
したがって$${a\in \mathbb{R}^m-U}$$であるので、$${\mathbb{R}^m-U}$$は閉集合である。


さて次に$${C}$$が閉集合のとき、$${\mathbb{R}^m-C}$$が開集合であることを示そう。
これも背理法で示したいと思います。
任意に$${a\in \mathbb{R}^m-C}$$をとります。
結論を否定すると、
任意の$${\varepsilon}$$に対して、$${N_{\varepsilon}(a)\not\subset \mathbb{R}^m-C}$$
つまり
$${x\in N_{\varepsilon}(a)}$$かつ$${x\in C}$$となる$${x}$$が存在します。
いま、ずっと$${x}$$となる$${x_n=x}$$となる数列$${\{x_n\}_n}$$を考えるとこれは$${C}$$の数列で、$${a}$$に収束します。$${C}$$は閉集合であるから、$${a\in C}$$となり、矛盾します。
ゆえに、$${\mathbb{R}^m-C}$$は開集合であることがわかりました。

セクション3

3.1

(ⅰ)
$${v_1,\ldots ,v_k}$$が1次独立のとき、どのベクトルもゼロベクトルでないことを示します。
これも背理法で簡単に示すことができます。
どれかがゼロベクトルである、つまり$${v_i=0}$$としてみます。$${(i=1,2,\cdots k)}$$
このとき

$$
0\cdot v_1+0\cdot v_2 +\cdots +1\cdot v_i +\cdots +0\cdot v_k=0
$$

となり、$${v_1,\ldots ,v_k}$$が1次独立であることに矛盾します。
したがってどのベクトルもゼロベクトルでないことがわかりました。


(ⅱ)
これも背理法を用います。
$${v_i}$$が残りの$${v_1,\ldots ,v_k}$$の1次結合で表せたとします。
つまり、

$$
v_i=c_1v_1+\cdots c_{i-1}v_{i-1}+c_{i+1}v_{i+1}+\cdots+c_kv_k
$$

とすると、

$$
c_1v_1+\cdots c_{i-1}v_{i-1}+(-1)\cdot v_i+c_{i+1}v_{i+1}+\cdots +c_kv_k=0
$$

となり、$${v_1,\ldots v_k}$$が1次結合であることに矛盾します。
したがって示せました。


(ⅲ)
$${v_1,\ldots v_k}$$は1次従属であるから、
$${\exists  i ~~c_i \neq 0}$$

$$
c_1v_1+\cdots +c_{i}v_{i}+\cdots +c_kv_k=0
$$

したがって、

$$
v_i=-\frac{c_1}{c_i}v_1+\cdots +\frac{-c_k}{c_i}v_k
$$

よって示すことができました。


3.2

仮定から

$$
(a_1-b_1)f_1+\cdots +(a_k-b_k)f_k=0
$$

いま、$${f_1,\ldots ,f_k}$$は1次独立であるから、各$${i}$$で
$${a_i-b_i=0}$$つまり$${a_i=b_i}$$


3.3

背理法で示します。
$${\mathcal{F}(U)}$$を有限次元であると仮定します。
このとき、基底として

$$
f_1,\ldots ,f_k
$$


がとれ、$${k}$$は$${\mathcal{F}(U)}$$の次元であります。
1次独立なベクトルの個数は次元$${k}$$以下となります。
一方、いくらでも多くの1次独立な関数をとることができます。
実際、任意な$${N}$$に対して、$${U}$$を$${N}$$個の開集合$${U_1,\ldots ,U_N}$$に分けます。ここで$${f_i}$$を$${U_i}$$の一点で$${1}$$となり、$${U_i}$$の外で$${0}$$となる連続関数とすると、$${f_1,\ldots ,f_N}$$は1次独立となります。したがって、$${\mathcal{F}(U)}$$は無限次元であることがわかりました。

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