見出し画像

ある性的倒錯者の告白&妄想 (6)女装ロード。

前5回はちょっと過激になり過ぎたかな?
今回はそれ以前のこと。まだ女装初心者の頃で、一人インドア女装していた私が、女として外を歩きたくなり、外出に踏み出し経験を諸々書いてみようと思います。

この経験は。
妖しく倒錯的世界に導かれて(6)女散歩 
にても、ちょっと書いています。

23で一人暮らしを始め、エリザベスという女装用品店でコツコツそれを買いためると夜な夜なインドアでの女装。その姿を全身鏡に映してはしなを作ってみる。両親の目もなく仕事から帰ると自由に女装できる毎日は夢のようでありました。

少年時代からの夢?
こんな日々が来るのが最終目標であり、それだけで満足すると思っていたのです。
しかし、女装行為は単なる趣味にとどまりません。更なる刺激を求め、私はエリザベス女装サロンで他の女装者との交流。そこで化粧マジックに嵌り自分で言うのもおこがましいのですが、メークも仕草も少しずつ洗練されていったと思うのです。

女装行為はエスカレートする。

自部屋や女装サロンでのインドア女装だけでは満足しなくなる。
(女の姿で外を歩いてみたい…)
女装趣味なんて所詮自己満足の世界なのになぜそんな気持ちになっていったのでしょうね? その気持ちは膨らむ一方。

決行した日のことはよく覚えています。
まだ昭和ですから女装者=オカマという偏見の強い時代、それにどんなトラブルに巻き込まれるか分からない。警察官に遭遇すれば下着泥棒等の不審人物と思われてしまうかもしれない。あの時代、女装外出のリスクは大きい。それでも私は意を決してそれを決行しました。

「これは一人の男にとっては小さな一歩だが女としては大きな一歩だ!」

女装初外出はこの言葉に尽きますね。

“妖しく倒錯的世界に導かれて(6)女散歩 ”
の中でも書きましたが、初外出は初夏。
一人暮らしアパート近くの自動販売機で炭酸飲料を買ってくるだけで時間にして10分にも満たなかったと思います。それでもドキドキでしたね。デニムのミニスカートに白っぽいサマーセーター、薄化粧という雑だけど、いざという時に逃げられるように動きやすい格好。私は野球部だったので足は速かったんです(笑)。

自部屋やサロンといった守られている処での女装とは違います。生身の女装姿を表の世界にさらしてしまう緊張感。
(ああ、ボクはスカートを穿いて外を歩いている。男なのに女の子として、こうして歩いている。なんてエッチなの、、)

この体験はくせになり、週末毎に決行すると徐々に慣れていきます。最初はアパートの周辺を散策するだけだったのが、その距離も時間も増えてくると、駅前の方まで足を伸ばすようになったのです。
いくら慣れてきても、まだ人通りの多い時間帯に出る勇気はなく、夜の11時前後、それも少量のアルコールを飲み勢いを付けて出ることが多かったですね。アパートから駅前までの道を、心の中で私は「女装ロード」と呼んでいました。

いくら遅い時間とはいえ、駅に向かうメイン・ストリートはそこそこ賑やかで多くの人と行き交う。私はその度にドキドキでうつむき目が合わないよう注意します。
(この人はボクのことを女だと思っているのだろうか?男だとばれなかったかな?)

そんなある日のこと。

「おねえさん、オ○ン○しない!」

背後からやって来た車の中からそう声をかけられました。怖くなった私は足早に路地の方へ隠れるように入り込む。幸いなことに車は通り過ぎましたが、しばらくはドキドキが止まらず慎重に急いで部屋へ戻る。
初めて女として男に卑猥な言葉を投げかけられとても恐ろしかったけれど、冷静になると不思議な気分に。
(あの男は、ボクのことを “おねえさん” と言ったぞ。それに “オ○ン○しよう” なんて、女の子だと思ったのかな?)

女装外出も慣れてくると余裕が出来大胆になってくるんですね。駅近くの飲み屋街周辺をぶらぶらすると、酔漢が下卑た顔で私に声をかけてきます。

「おねえさん、遊ばない?」

「彼女、エッチなことしない?」

私はそんな声に顔を背け足早に酔漢から遠ざかりますが、内心は「おねえさん」「彼女」等と言われたことに精神的快感を覚えるようになりました。
(ボクは女の子に見られたんだ…)
考えてみると、そんな慣れ始めが一番危険なんですよね。だって、いくらあの昭和時代の酔っ払いでも、人通りの少ない夜道でもあるまいに、見ず知らずの女に卑猥な言葉を浴びせている光景なんてあまり見たことがありません。しかし、私は頻繁に声をかけられた。何故なのか?

酔漢にとって私は声を掛けやすかったのかもしれません。自分では見事に女に化身して街に溶け込んでいるつもりでも、酔漢には素人に見えなかったのかもしれません。慣れた頃は結構派手にセクシーな格好で出歩いたと思われ、所謂水商売の女に映っていたのかも、、否、彼らは私を男だと分かっていて冷やかしで声を掛けた。
実際、「なんだ、男じゃねえか!」「お前オカマだろ!いくらだ?」なんて傷付く言葉を投げつけられたことも数度。

危ないですよね?
慎重で用心深い私ですが、よく大きなトラブルに巻き込まれなかったと思う。
私は自分の女装に、男だとバレていないと過信していた時期だったのでしょう。
女装してメークしていて夜であっても、ぱっと目には誤魔化せてても、余程のレベルにないと絶対?男だとバレているもの。

それは仕草と、いくらスタイルが良くとも男としての身体ラインは誤魔化せない。

次回は女装外出で最も怖いというより嫌な思いをしたことを書いてみようと思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?