見出し画像

本には交流がある戯作Pー12 河口のことー1

つぎは、海と繋がりが深い河口のことです。
深山から河口へ。
はじめは、岩石が川の旅を続けながら礫となり、前浜では波によって、砂や泥にまで細かくなり、前浜干潟、川干潟、三角州という生き物の、ゆりかごをつくる。潟は生物の食物連鎖のスタート地点かもしれない。底生生物のゴカイたちが、魚が、鳥がいて、またそれらを食べる私達がいる。
河口付近に点在している川の中の島々に見える中州も、自然の必然の造形として、生物に利用されている。朝でも夕でも薄暗い時間の島々に、なぜか心惹かれる。なぜか、懐かしい。
沿岸流や波の繰り返しが、砂浜を作り出す。風に運ばれて砂丘が出来てゆく。松林に見えても実は砂丘です。弁慶蟹の日中の隠れ場所にもなっている。
砂浜は波が打ち寄せる岸辺だけでなく、沖合いに風浪が立ちそれが崩れて白波になる遠浅の海までが砂浜でしょう。この遠浅は産卵場所としてはもちろん、アユをはじめ幼魚のゆりかごとして安全地帯になっている。また虫や藻を食べる魚たちの餌場にもなっている。
ところで、と思うのです。
この砂や泥は原始の海に最初からあったのだろうかと。答えはもちろんノーでしょう。40億年まえに、やっと深海にアメーバが発生したという。しかし、もっともっと多くの生物が生まれてくるには、何が必要だったのだろうか。それは砂や泥の元になる土だと思うのです。山に最初の植物が現れ、その生命が終れば土となり、植物を餌とする動物が生まれ、生命が終れば、土となる。土は山に水を蓄えることができる森をつくり出しました。
葉は大雨でも、ゆっくりとゆっくりと水を地下におくります。永い永い時をかけて、川となって海へミネラルとして戻します。そして海は雲をつくり、山に雨を降らせる巡りの旅として、水の惑星は地球のこどもたちの生命を守り続けている奇跡をおこしている。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?