ラグビーワールドカップ2023 ジャパン対イングランド感想その2

ラグビーワールドカップ2023 ジャパン対イングランド戦感想その2。

ジャパンはよくやったと書いたものの、ついてなかったり、突っ込み入れたいミスは結構あった。選手や首脳陣を批判するつもりは毛頭ございませんが、忌憚ない感想を書いておきたい。以下、敬称略します。

まず不運だったのは2点。
一つ目は、フルバックで先発出場したマシレワが前半早々に負傷退場。リザーブのレメキが登場、レメキは活躍したものの、あの時間帯での負傷退場は誤算以外のなにものでもない。バックスのリザーブは3人。斎藤がスクラムハーフのリザーブだったので、スタンドオフ以下のリザーブは2名。マシレワの負傷退場でリザーブは一人になった。結果、バックスがけがを恐れて思い切ったプレイができなかった、あるいはプレイ選択に制約を受けた可能性がある。またマシレワは、開始早々にインゴールでノッコンするという痛恨のミス。イングランドの先制点につながっただけに残念なミスだった。マシレワ起用は適切だったのか、やや疑問に感じた。
もう一つは、12-13から突き放された後半16分のイングランドのトライ。相手選手のノッコンと思われたが、あたったのが頭部だったためノッコンとはならずトライが認められた。セルフジャッジを批判する方もおられるようだが、相手の猛攻を必死のディフェンスでとめ続けていた時間帯だったので、ふっと集中力が切れたのもやむを得ないか。セルフジャッジを批判する気にはならなかった。

予想以上によかったのはスクラム。世界屈指のフォワードに対して、ほとんど押されなかった。組んだ瞬間動かない。イングランドフォワードも驚いたのではないか。押せないことへのストレスが、後半10分過ぎまでの善戦につながった。またディフェンスの健闘も素晴らしかった。特にフォワード2列目、3列目のタックル回数、成功率が秀逸で期待以上の働きだった。

逆に予想以上にやられたのがラインナウト。序盤はキープできていたものの、後半のラインナウトは壊滅的だった。苦手意識が出ると続くのがラインナウトでのミス。イングランドのイトジェ、コートニーローズといったところがうまく絡んできた面はあるものの、あそこまでキープできないと攻撃につながらない。スクラムがよかったのとは対照的。

そしてさらに残念だったのはキックの使い方と精度。イングランドディフェンスが前に出てくることはわかっていたので、その裏を狙う短いキックをスタンドオフの松田が結構使ったが、周りの選手が反応していない場面が見られた。マイボールになってからの攻撃のプランが、選手間でうまく共有できなかったのではないか。単なる相手へのプレゼントキックになり、ピンチを招く場面が多かった。また、キックの精度も欠いていたように思う。キックだけではなく、松島が抜け出すことが何回かあったが、サポートが少なく、松島が孤立する局面があった。うまくサポートしていれば、攻撃を継続、トライにつながったかもしれないので、ここでも攻撃のプランが選手間で共有されていない感じがした。

後、ハンドリングエラーが多かったのも残念。しかし、フランスはこの時期、意外と湿度が高いらしく、ボールがスリッピーになっているとの解説があった。イングランドはスリッピーな状態に慣れているだけに、彼らにアドバンテージがあったということか。

こうやって整理するといろいろ出てくる。今大会、イングランドと再戦することはよほどのことがない限りありませんが、意外と実力は接近しているのかもしれないし、開いているのかもしれない。しかし、ジャパンの現在位置を知るのによい試合だった。課題が多く出たところで、次はサモア戦。きっちり修正し、サモアに挑んでほしい。


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