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お出かけ

予約していたヘアカットの日。月に一回街に出かける。

担当カットマンには何十年とお世話になっている。白髪に色を入れていた頃からヘアスタイルは変身出来ない。
今はシャンプーもおことわりして十五分ぐらい鏡の前に。
子育て、孫のこと、飼い犬、飼い猫、庭づくり等々。老人の話につき合って下さる。
お隣のお客さまは静かに、担当者は手だけ動かしている。

少々美人になり書店へ。気になっていた武田百合子さんの「日々雑記」の文庫本をゲットしてご機嫌。
時間は三時になり、お腹がSOSを発信始めた。
意を決して中華料理店で担々麵をいただくことに。季節的に冷麺がありむし鶏の肉切れも抵抗なく千切りキュウリの歯ざわりよくさわやかな食感を楽しんだ。美味しかった!

無印良品で常備しているキッチンペーパーを探せどみつからず消化不良を感じながら食品売り場へ移動。小豆島のおしょう油、カルピスバター等々を求め帰途はタクシーを利用する。自宅まで十分位の時間を運転手さんとの会話を楽しむ。
お野菜を作っておられる方。
日本中の神社巡りをされている方。
又運転席から同年代とみられ「八十代でも運転手ができるのですか?」と問うと驚かれ「若いですネ」と云われた。
嬉しい一日になりましたと告げ、下車するや即トランクを開け「庭の柿です」と三ヶ。大好きな大好きな柿のこと。自宅にも在庫がたくさんあったが、よろこんでいただいた。

今日の運転手さんは御年七十四才とか。
「あと二年勤めて退社し、女房と車で日本一周旅行をしますネン」とおっしゃる。職業病の腰痛もなく頭痛も肩こりもない「自分はバカですから」とごけんそんあそばす。「いい人生ではありませんか」と私も心から拍手。
さて、どんな日本一周の旅になるか。外野席から興味津々である。お聞きしたいものだ。

久しぶりのお出かけ楽しい一日となった。
心ならずも孫はひじの骨折で手術を受ける入院前夜「これから映画を見て寝ます。おやすみなさいZZZ」とのラインを受けホッとする。
私はまだ動ける。歩ける。ありがたいこと、と思う。
九十二才になる兄は肺が弱くなり階だんや登り坂に息ぎれがするとようやく弱音を出し始めた。週に一回は私の独居を気づかい電話を下さる。彼にはまだつれあいがおり二人暮らし。好物のぬか漬も欠かさず夕食時は二合の清酒も楽しんでいるとのこと。八才違いの2人兄弟。お互い両親の逝った年を越してしまった。
どちらが先にゴールするでしょうか。
気ままにすごせた今日の日に感謝ばかりです。

                            水無月十日

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