その独特な美しさをもつ瞳が完全に光を失った時、オッペンハイマーの絶望を物語り始める〜キリアン・マーフィー〜
ACTORS PROFILE Vol. 9
キリアン・マーフィー
「オッペンハイマー」
長後の都知事が選ぶ代表作
「クワイエット・プレイス 破られた沈黙」
1976年アイルランド生まれ。その独特な美しさをもつ瞳が完全に光を失った時、オッペンハイマーの絶望を物語り始める。
「我は死神なり、世界の破壊者なり」と、男は古代インドの聖典から引用する。自らの立場と重ね合わせるかのように語る彼の目は光を失っていた。この男の名はJ・ロバート・オッペンハイマー、人呼んで「原爆の父」だ。
▲マーフィーが「28日後...」に主演して、ブレイクを得てから20年を超える。マーフィーの特徴と言えば、その美しく、儚げな瞳だろう。現実のものとは少し隔たりがある瞳だけに、ファンタジーやSFの世界に溶け込みやすい雰囲気だ。ハードボイルドで暴力的なイギリスギャングの世界を描いたドラマ「ピーキー・ブラインダーズ」やトランスジェンダーを演じた「プルートで朝食を」などの優れた例外はあるが、彼の出演作はSFなどの作品が多い印象だ。
特にクリストファー・ノーランとの出会いは大きい。「バットマン ビギンズ」以来、「インセプション」や「ダンケルク」といった作品で、ノーラン作品のダークな雰囲気を支える名助演を数々披露してきた。そんなノーランが初めて伝記映画の形をとった作品を作る。それは「原爆の父」ことロバート・オッペンハイマーの激動の人生を描く作品で、マーフィーはオッペンハイマーに扮した。
▲ノーランとのタッグ6度目にして初めての主演、しかも原子力爆弾を発明した人物で有名な映像も多数残っているということで、マーフィーは大幅な減量をし、痩せたオッペンハイマーのフィジカルを体現した。加えて他のキャスト達と距離を置き、メンタル的にも孤立へと追い込んでいく。
▲自らが作り上げたものの威力と脅威に恐れおののき、戦後も政府の公聴会、赤狩りなどで身も心も削られていくオッペンハイマーの絶望を観る者に伝染させる。マーフィーのその瞳の中に、主人公の壊れた心の断末魔の叫びを投影させる。
キリアン・マーフィーの関連動画
・Variety誌恒例のACTORS ON ACTORSよりマーゴット・ロビーとの対談
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・「クワイエット・プレイス 破られた沈黙」での緊張感高まる名助演。
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・祝!英国アカデミー賞主演男優賞受賞!
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