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役と同じく人生の波を乗り越え続けた彼女のボイスに心震える〜ファンタジア・バリーノ〜

ACTORS PROFILE Vol. 2

ファンタジア・バリーノ
「カラーパープル」

1984年アメリカ生まれ。役と同じく人生の波を乗り越え続けた彼女のボイスに心震える。

 セリーは暴力的な父親の下で育ち、しまいには日常的に暴力をふるうミスターと結婚させられてしまう。その苛酷な環境の中でセリーは様々な女性たちと出会い、自らの美を受け入れ、解放していく。

 ▲セリーを演じるファンタジア・バリーノは、ステージネーム「ファンタジア」として活躍するシンガーだ。アイドルオーディション番組として有名なアメリカン・アイドルで優勝し、華々しくデビューを飾る。数々のヒット曲を生み出し、グラミー賞にも輝いた彼女だが、映画出演はこれが初めて。しかも主演。そのプレッシャーは計り知れないが、実は本作の原作にあたるミュージカル舞台劇で数年ほど、同役を演じた経験がある。映画デビューとは思えない、圧巻の歌声を響かせることであろう。

 ▲若くして母になり、デビュー後には薬物中毒にも苦しむなど、バリーノ自身の苦労人の半生が20世紀初頭の混乱を生き抜き、新しい道を切り開いていったセリーのキャラクターにも重なる部分がある。当初はヘヴィーな役柄ゆえに、役を断ることも考えたそうだが、バザウール監督からセリーの持つ想像力のアイデアを聞いたところ即答で役を引き受けたそうだ。ミュージカル舞台劇では沈黙の多かったセリーが、映画版では豊かな想像力を発揮して、人生を歩む一人の女性として描かれる。囚われの身から解放される、そんな彼女の姿に心惹かれたのだろう。

 ▲本作では女性の連帯や絆がいかに特別なものであるかを高らかに歌い上げる。バリーノはそのメッセージの本質をガッチリと捉えることに成功する。セリーというキャラクターは、その本質を理解した者だけが命を吹き込めるキャラクターなのだ。


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インタビュー映像

・アメリカン・アイドル時代の歌唱映像

・人気の曲「When I See U」


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