【MTG】最速3ターンで17点削る方法(赤単バーン・基礎編)【パイオニア】
Q.赤単バーンとはどんなデッキですか?
A.一刻も早く相手のライフを焼き尽くすデッキです!
0.初めに
皆さんこんにちは。
あるばすと申します。
普段は、紙のパイオニア、MTGアリーナのエクスプローラーで遊んでいます。
前回は、一発目の記事ということで、自分のMTG歴について書かせていただきました。
今回は、その中にも登場した、自分が最も愛用しているデッキ「赤単バーン」(パイオニア環境)について書こうと思います。
この記事では、大まかに下記トピックについて扱います。
【トピック一覧】
・赤単バーンってどんなデッキ?
・赤単バーンを支える優秀なカード達に対する見解
(今回ここまで!)
・赤単の限界(最速3T17打点)に挑戦した話
本当は、タイトル通り「最速3ターンで17点削る方法」部分だけ書くつもりだったんですが、色々書いている内に「赤単バーンってどういうデッキなんだろう?」「なんで3Tまでに17点削る事に躍起になったんだろう」みたいな疑問が出てきて、そこら辺の話題を書いていたら最初の二つだけで、5万字超えちゃったので分けることにしました。(本当にすいません)
逆にいうと、まぁ、「赤単バーン」ってどんなデッキなのかみたいな部分まで深く書けたと思っています。(といっても、弱小プレイヤーの戯言にすぎないんすけどね)
「赤単バーン」とはどういうデッキなのか、何が強いのか、弱いのか、その上で「僕の考えた最強の赤単バーン」が誕生したのか、楽しんでいただけれた重畳です。
では、早速行ってみましょう。
※注意※
※スタン、モダン以下の環境のバーンについては扱いません
※この記事では「エルドレインの森」以前の環境について取り扱います
(「エルドレインの森」のカードについては今後の記事で纏めていく予定。一部触れるかも)
※所詮、デッキリスト残せてない素人の記事なので、生暖かい目で見てくれると嬉しいです。
※引用は下記サイトから
1.赤単バーンとはどういうデッキ?(定義をしてみよう)
「赤単バーン」って、一体どういうデッキだと思いますか?
僕がこのデッキを一番最初に手に入れたのは「赤単バーン」という構築済みデッキでした。そのリストをみて、なんとなく回して思ったのは「赤単色のカードを使って、相手のライフを削るデッキ。最後は土地で勝つなんだな~」という感想でした。
まぁ、この前提で話を初めてもいいんですが、ここではもう少し厳密に「赤単バーン」の定義をすることによって、解像度を上げてみようと思います。
まずは「赤単バーン」というデッキ名を分解してみましょう。
「赤単」と「バーン」ですね。
それぞれの単語の意味を明文化すると、こう表現できると思います。
・「赤単」=デッキに使用されている色は「赤単色」であること
・「バーン」=赤の直接ダメージ呪文が主体のデッキであるということ
=「赤単色の直接ダメージ呪文で相手に勝つデッキ」
…ということです。
一気に分かりやすくなりましたね!!
それでは「アーキタイプ」の区分はどうなるんでしょう。
もう少し分かりやすく翻訳すると「現状勝てている「赤単バーン」のアーキタイプは?」ということになります。
結論から言ってしまうと、パイオニア環境における「赤単バーン」は「アグロ」が主流です。
パイオニア環境には「ビックレッド」や「赤単信心」と呼ばれるような、赤単のランプデッキなんかが存在します。
ですが、最近勝っている「赤単」かつ「バーン」というと「アグロ」が殆です。
という訳で、以降「赤単バーン」=「アグロ」だと思ってください。
2.赤単バーンとはどういうデッキ?(「赤」って何ができるの?)
いやいや、待ってくれよ!
なんで「赤単バーン」=「アグロ」が主流なんだよ!
「赤単ミッドレンジバーン」とか「赤単ランプバーン」とかあってもよくね?
みたいな突っ込みは当然あると思います。
この突っ込み、自分でも試したことがあって、アグロ以外のデッキタイプも色々試した事があるんです。けど、実際の所弱かったというのが本音です。
なんで弱かったのか?という話をするために、少しだけ回り道をさせてください。
パイオニア環境における「相手のデッキに対応するのが得意な色」ってなんだと思いますか?
…語弊を恐れず、最初に結論を述べてしまうと「黒」と「白」だと思います。
なぜ、黒白なのかというのは「除去」と「妨害」が強いからです。
例えば、黒は「思考囲い」「強迫」「致命的な一押し」「パワー・ワード・キル」(2コスのクリーチャー除去)に代表されるような、軽量ハンデスと除去の汎用札(黒を採用するなら入れない理由がないクラスのカード)が幾つか存在します。
また、「塵へのしがみつき」「墓所への侵入者」に代表されるような墓地追放も得意です。
そして、4マナ域には「カリタス」や「シェオルドレッド」のような、立っているだけで相手の行動を妨害しながら、勝ちに直結するエースカードや、「煤の儀式」「絶滅の契機」などのラスゴ系カードが複数存在します。
それらに加えて、PWもかなり強力です。
代表的なカードは「ヴェールのリリアナ」でしょう。フィールドに一度でも降り立つことができれば「ハンデス」(自分の墓地も肥やしながらね!)か「対象を取らないクリーチャーの除去」ができます。「奥義」が決まると、相手の土地が半分になったりします。なんでこんな強いんでしょうね?
白は、どのデッキにも採用される汎用カードこそ少ないですが、それぞれのデッキに合った妨害札が沢山あります。
例えば「集団失踪」「太陽降下」「告別」などのラスゴ系カード。コントロールに必須ですよね。
そして、「運命的不在」「冥途灯りの行進」「邪悪を打ち砕く」「魂の仕切り」と言った範囲の広い軽量除去。(なぜだか知りませんが「追放」してきたりするのもミソ)
「粗暴な聖戦士」「スカイクレイブの亡霊」みたいな肉付きの除去も一杯いますね。
また「スレイベンの守護者、サリア」「傑士の神、レーデイン」といったキャスト時のマナコストを多くするカードであったり、「アメリアのアルコン」のような、唱える呪文数を制限したり、土地のアンタップインを阻害するカードなんかもあります。
「ゴバカーンへの侵攻」「精鋭呪文縛り」のような疑似ハンデスも得意ですね。
墓地追放もそれなりに得意で、例えば「安らかなる眠り」といった強力な妨害エンチャントがあったりします。っていうか、ここまで紹介した除去系のカードには「追放する」の一文がついているので、そもそも墓地にカードを送らせないのが得意と言った方が過言じゃないかもしれない。
PWは?…「放浪皇」という化け物がいます。
…とまぁ、ざっと書いただけでも、白黒には妨害・除去手段が沢山あるのです。
という点でパイオニア環境において、相手のデッキに対応するのが得意な色というのは「白」と「黒」であると言えます。
え? なんでこんな話をしたのかって?
「赤」が如何に除去や妨害が下手くそなのか提示するためです。
「赤」には、他の色にはない特色(このあと沢山触れます)が沢山ある一方で「妨害」に関しては「白」「黒」に劣ります。
基本的に「赤」が出来る相手の妨害というのは、以下の3つしかありません。
【赤のできる妨害】
・タフネス/忠誠値を参照したクリーチャー・PWの除去
・呪文の追加コストに追加ライフを要求
・アーティファクトの破壊
(…実は、土地破壊が得意だったりするんですけど、最近刷られないのでここでは不問とします)
先ほど書いた「白黒」のカード達の除去の質やその対応範囲を比較すると、具体的なカードの効果をみるまでもなく、「赤」はあまり妨害が得意な色ではない感じがすごくしませんか?
ということは、ですよ?
「赤単」を組むという事は、自動的に相手を妨害するデッキは組まない。という事になる訳です。更に言うと、自分のしたい動きを相手に押し付けて勝つという戦略を取らざるを得なくなるんです。
という訳で「赤単色のコントロールデッキ」というのは、一部例外(土地コン)を除き、殆どありません。
もし「赤」を使ってコントロールチックに動きたいのであれば、相手のデッキに対応できる・妨害が得意な「黒」/「白」を混ぜた方が強いという話になります。もしくは、相手の行動そのものを打ち消す「青」を混ぜるのが無難ですね。
(「緑」は妨害よりも、マナ加速によって自分の行動速度を過剰に上げる事に長けているので「赤緑」にするなら「自分のしたい動き」を展開しまくって、相手を滅殺する方向に特化します)
それを証明するかのように、赤+色を混ぜたデッキというのは、全部の組わせで環境に存在しており、日々新しいデッキが誕生・進化しているのです。(赤黒=ラクドス系、赤白=追放ボロス、ボロス召集、赤青=イゼフェニ、オパスハルク、異形化&独創力、赤緑=グルール機体)
「赤」+「他のカラー」を混ぜると、環境で通用するデッキになるという点から、赤が持っている、いわゆる「押し付け力」というのは洒落にならないことが分かるでしょう。
つまり、「赤」で押し付けて他の色で妨害する、もしくは「赤」+他の色を混ぜて押し付け力を強化するという形で「赤」は環境に存在しているのです。
それらを象徴するカードが「鏡割りの寓話」です。
「鏡割りの寓話」が採用されているデッキは、基本的に赤+他の色の構成となっています。
代表的なのはラクドス系のデッキです(ミッドレンジ、ラクドスサクリファイス)。
「税血の収穫者」を無限にコピーして、血トークンを毎ターン無限に生成する、凶悪コンボは極めて有名です。
他にも、マナクリを絡ませて2ターン目に鏡割りの寓話をキャストできるグルール機体や、エンチャントという性質をフルに生かしているエニグマ、出てくるゴブリンシャーマントークンや、ルーティング効果を活用しまくる、UR独創力&異形化コンボ…などなど、「赤の入っている多色デッキ」の採用実績は素晴らしいんですが、「赤単」には殆ど採用されないのです。
結論を言ってしまうと「採用しにくい」のです。
なぜ「鏡割りの寓話」が「赤単」に採用しにくいんでしょうか。
…その理由は単純です。「鏡割りの寓話」単体では、相手の動きを妨害できないからです。あくまでも「鏡割りの寓話」はアドを稼ぐカードなので、他のカードのとの組み合わせが必須となるからです。
また、妨害手段に乏しい「赤単」に入れたとしても、プレイ自体をカウンターされたり、ハンデスされたり、除去される事が多いのが目に見えているのもあるでしょう。
一枚のカードとして稼げるアドが壊れているは間違いないのですが、逆にい言うと、どれだけ効果の強いカードであったとしても、プレイ出来なければ・強く使えなければ意味がないってことです。
つまり、「鏡割りの寓話」を強く使う為には、「鏡割りの寓話」を安全にプレイできる状況を作り出りださないといけないのです。
そして、もしプレイできたとしても、先ほど書いたような「鏡割りの寓話」で稼いだアドを使って強力な動きができなければ、意味がないのです。
結局の所、どんなに「鏡割りの寓話」が強いと言っても「他の色」を混ぜ
ないと環境で通用しないという現実から目を背ける事はできません。(という理由から、僕は「鏡割りの寓話」はパイオニアで禁止されないと思ってるんですけどね)
「赤単」には「鏡割りの寓話」を採用しにくいという理由を突き詰めていくと「赤単バーン」がなぜ「アグロ」方向に特化したのかがよく見えてきます。
「赤」は妨害が得意ではない、どうしても妨害したいなら「鏡割りの寓話」を採用するついでに他の色を足した方がいい。
…ならば、ですよ?
「赤」が持っている押し付け力によって相手を蹂躙すればいいのではないか?
この発想が「アグロ」というアーキタイプの思想と非常にかみ合っています。
前置きが非常に長くなりましたが、長くなったのは「赤単バーン」はなぜ「アグロ」なのか?という話をするためにはこの話(赤の妨害の貧弱さ、鏡割りの寓話は赤単色のデッキには採用しにくい)が必要だったという事です。
逆にいうと「妨害」や「鏡割りの寓話」を切り捨てる程の魅力が「赤単」にはあるんですか? という話にもなってきます。
ここが成立しないのであれば「赤単」は環境に存在しえないからです。
大丈夫です。ちゃんと「あります」
「赤」はそもそもの性質として、「鏡割りの寓話」のような押し付け力が強いカラーだという話をしました。
ということは「赤」には「鏡割りの寓話」には負けるかもしれないんですが、種々様々な「押し付け力」を持ったカードが存在するんですね。
赤は、優秀な妨害が貰えない「代わり」に「好き勝手に暴れ散らかしていいよ」と言われているカードが沢山存在するのです。
3.赤単バーンとはどういうデッキ?(「赤単バーン」のアグロ的性質とは)
それでは次に「赤」のカードが持っている、アグロ的性質について話そうと思います。
個人的には大きく三つあると思っています。
【赤が持っているアグロっぽい性質】
➀軽量クロック&火力呪文で打点が稼ぎやすい
②「衝動的ドロー」によって無理矢理序盤からリソースが捻出できる
③➀②のカードを組わせると、お手軽に4ターンキルを達成できる
3-1.軽量クロック&火力呪文で打点が稼ぎやすい
「赤」には先行1ターン目に相手のライフにダメージを与える手段が、大きく2種類用意されています。「本体火力」と「速攻」です。
最近「黒」もバーン的な要素を持ち始めているので、唯一のお株という訳ではなくなりつつありますが「本体火力」呪文…つまり相手にダメージを与える呪文を持っているのは赤だけです。
代表的なカードは「稲妻」(一応言っておきますが、パイオニアでは使えません)です。「最大1つの対象に3点ダメージ」を与える赤1マナの呪文ですが、こんな効果を持った呪文はありません。
また、この「最大1つ」という一文を持っているのは多分「赤」のカードだけです。
「最大1つ」を正確に記載すると「プレイヤー・クリーチャー・PW・バトル」から最大1つを対象に取れるという意味になります。
赤は「妨害」が弱いと書きましたが「本体火力」呪文についている「対象範囲の広さ」は「赤」が持っている最大の強みです。
この「本体火力」の対象範囲の広さが生きるシーンとして代表的なのは「ラクドスミッドレンジ」における「砕骨の巨人」でしょう。
最後の最後に、トップで引かれた「砕骨の巨人」の「踏みつけ」で死んだプレイヤーは沢山いると思います。
次に「速攻」持ちのクリーチャーについてですが、これは言わずもがなでしょうかね。
基本的に、1マナで速攻持ちのクリーチャーというのは、多分、アーティファクトクリーチャーを除いて基本的に「赤」だけ許されています。
相手がどんなに妨害する手段を持っていようが、先行1ターン目に相手がプレイできるカードというのは、パイオニア環境においては「力線」サイクルを除いてありません。
この点から「赤」というのは相手が何もできない先行1ターン目において、最も相手のライフを削るのが得意な色だといえます。
最序盤から攻勢を仕掛けに行く「アグロ」との相性はピカイチなんです。
…というか、この性質があまりにも強いので、最近のセットでかなり弱体化を食らっています。
例えば、本体火力の打点が削られる、本体火力呪文のマナ総量が増える、「本体」が対象範囲が外される、などなど…とはいえ、たまーに面白いカードも刷られたりするので、後程紹介します。
3-2.「衝動的ドロー」によって無理矢理序盤からリソースが捻出できる
「衝動的ドロー」とはこういう効果です。
「アグロ」は定義にあるように「最序盤から軽い脅威を展開」する都合上、ゲームの中盤にさしかかった頃には手札のリソースが枯渇しがちです。
それをカバーする手段が「衝動的ドロー」という能力です。
軽い本体火力やクロックを連打して、手札が枯渇したら「衝動的ドロー」で無理矢理ドローを前借する。前借したカードを使って追加の本体火力や軽量クロックを叩きこむ…この動きがアグロと相性がいいです。
本来であれば、次のターンに引くべきカードを相手に公開して、期限付きでプレイできるという、なんとも前のめりな能力です。
相手に自分の手札を公開するというデメリットや、プレイできないかもしれないという可能性を無視して、とにかく早くプレイする事に重点を置いているとも言えますし、マナを使って強引にドローの踏み倒しを行っているとも言えます。
また、諸々条件はありますが、パイオニアにおいて、1マナ2ドローが容易に出来るデッキは「赤単バーン」だけです。最近収録された、エルドレインの森の「青3マナ/インスタント/2ドロー」が事件になったことを考えると、中々パンチがありますよね。
正に、赤の押し付け力を助長するための能力だと思います。(なお、黒にも衝動的ドロー系の能力を持ったカードはありますが、相手のデッキから奪う能力が殆どなので「赤」とは性質が違います)
また、かなり激熱なのが、最近公式が「衝撃的ドロー」を猛烈にプッシュしている点です。流石に「赤1マナ/2ドロー」みたいな頭のおかしい衝動的ドローは刷られないのですが、その調整版ともいうべきカードが毎セット登場しているのは注目に値すべきでしょう。(最新セットのエルドレインの森なんか特に顕著なので、どこかで紹介したいですね)
とりあえず、最近の「赤」のドロー呪文はもっぱらこれだという点と、この能力がそもそも「軽い呪文を沢山連打するアグロ」と相性がいいという点は押さえておきましょう。
プチコラム:赤のドロー系能力をまとめてみた
赤のドロー系の能力というのは大きく4つあります。
(あくまでも「パイオニア環境」とします)
【赤のドロー系能力】
➀ルーティング
②衝動的ドロー
③キャントリップ
④変則的ドロー
「➀ルーティング」
「ルーティング」で一番有名なカードは、「鏡割りの寓話」の2章でしょうか。
ちなみに、赤のルーティング呪文というのは基本的に「今ある手札を捨ててその分ドローする」という内容になっています。
なぜ、そういう制約が付いているのかというと、手札交換にはリスクが伴うべきだからです。
パイオニアには絶対に来ませんが、ルーティング系の呪文で一番凶悪なのは「信仰無き物あさり」というモダンで禁止されている赤1マナのソーサリーです。
このカードの凶悪な所は、手札を引いてから捨てられる点です。
例えば、手札に相手のライフを極限まで削れるような優秀なクリーチャーや呪文の組み合わせがあったとしましょう。
ですが、手札に「土地がない!」となった時に「手札のカードを捨てて土地を探したくなるか?」というとそうではありません。
折角の最良の手札が悪くなってしまいます。
次のドローで解決するかもしれないのです。
その可能性を蹴ってまで、最良の手札を崩すのは嫌ですよね。
そこで「信仰無き物あさり」の出番がやってきます。
なぜなら、引いてから捨てるカードを考えられるので、最低限のリスクで手札交換ができるからです。
正直、赤1マナで追加のマリガンしてるようなもんなので、ロンドンマリガンの影響を受けたアグロデッキだったり、別にアグロじゃなくても墓地に必要なカードを落としたりコンボデッキからすると、ノドから手が出るほど欲しいカードなんですよね。
はっきり言って、スタン環境にこんなカードきてしまったら、オーバーパワーです。
という訳で、パイオニア環境…というかスタンリーガルにおいては「胸躍る可能性」というカードが、赤のルーティング呪文の基本になっています。
赤2マナ、かつ手札のカードを一枚捨ててようやく2ドローできます。
まぁ、余程の理由がない限りは使われないでしょうね。
一応「苦々しい再会」みたいなカードもあるんですが、こちらが使われるのはエニグマみたいな、エンチャントの性質を生かしたデッキだったり、もしくは速攻付与の部分を活かしたワンショットキルみたいなデッキぐらいでしょうかね。
という訳で、パイオニア環境においては「赤1マナのルーティングは許されていない」「基本的に赤のルーティング=「鏡割りの寓話」がメイン」という事を抑える必要があります。
という訳で、普通の赤単バーンでは「鏡割りの寓話」は採用できないので、ルーティングはほぼできません。
「②衝動的ドロー」
さっき書いたので、あんまり書く事ないっちゃないのですが、パイオニア環境における赤のドローは基本これです。
それから、先ほど少しだけ書きましたが、「黒」にも似た効果を持つカードが無くはないのですが、黒の場合は、相手のデッキからカードを奪い取る方向に特化しているため、明確な差別化がなされています。
自分のデッキのカードを追放領域において使用することが出来るのは、基本的に「赤」だけだと思ってください。
衝撃的ドローは、先ほど提示した定義にも書かれている通り、一定期間デッキトップのカードを追放領域に置いて使用できる能力です。この能力のミソは「一定期間」という点です。(黒は永続的に使えるパターンも多いのですが、赤は使用できる期間が設定されています。)
なぜ「ミソ」なのかというと、その使用期間内にカードをプレイ出来ないのであれば、無意味にカードを追放領域に置いた事になってしまうからです。基本的に、MTGは追放領域からカードを回収する手段(カーンを除いて)があんまりないので、この点から赤の「衝動的ドロー」というのは、プレイするに際し、初めからリスクがついているってことが分かります。
基本的に、赤単で使用される衝動的ドローの賞味期限は「(次の)自分の終了フェイズまで」となっているため、最大2ターン以内に使うように設計されています。ということは、どう頑張っても自分が使えるマナ+1までの呪文までしか、キャストできないようになっているんですね。
この点が「軽い呪文」とシナジーがある一方で、デッキに「重めの呪文」を採用しにくくなるというメリット・デメリットに繋がっています。
具体的な状況を考えてみましょう。
衝動的ドローによって、「稲妻」が引けた場合、次のターン引くべきドローをパスしつつ、浮いた1マナで3点のダメージを相手に与えることができるという訳です。次のドローで追加の「稲妻」を引く確率も上げてくれると思ったら、かなり強い動きが出来たと言える訳だ。ですが、4マナの呪文を引いてしまったらどうでしょうか。マナが足りていたらプレイできるかもしれませんが、開始2ターン目に引いてしまったら、ほぼ使い道がないので、そのまま追放するしかありません。
近年、赤のドロー系の能力=「衝動的ドロー」が定番となっているのは、このリスク付きドローが赤の性質に合っているからだと思います。最新セットの「エルドレインの森」は特に顕著で、「衝動的ドロー」能力を持ったカードが5枚くらい出てたりします。
「③キャントリップ」
「キャントリップ」とは、メインの効果とは別についている、カードを引く効果を指します。キャントリップは全ての色に用意されていること「赤」にも実践級のカードが無い訳ではないので、一応選択肢として入ります。
が、多分今後刷られる可能性は少ないでしょうね。
今回の記事では紹介しないので、ここで出してしまいますが「祖先の怒り」というカードがあります。
墓地に同名カードが存在する場合、その分パワーを上げる能力に加えてトランプルが付きます。追加のドローでおかわりの「祖先の怒り」を引いてくれと言わんばかりなのがいいですね。
この能力を最大限活用した「赤」系のデッキに「ボロスヒロイック」があります。キャントリップ付きのパンプスペルを大量に採用して「巨匠」でただぶん殴るデッキですが、破壊力がすさまじいので是非パイオニア神の動画を見ていただきたいですね。
この動画を見てしまうと、キャントリップ付きの赤の呪文は「祖先の怒り」が限界なんだろうなと思うので、まぁ、今後強いカードは刷りにくいだうなと思います。
「④変則的ドロー」
マジックにおける「変則的ドロー」にはいくつか種類があるのですが、赤的な「変則的ドロー」といったら「Wheel of Fortune」に代表されるような「手札を全て捨ててドローする」系になります。
「変則的ドロー」呪文・能力は、現在も定期的に刷られるくらい、メジャーな赤のドロー系能力ですが、パイオニアではあまり使われません。
実際の所、手札が沢山ある状況だったり、捨てたくないカードが手札にあるシーンって結構あるので、中々、使うタイミングが難しいんですね。(その点、ルーティングの方が、安定感という意味で勝る)
という訳で「変則的ドロー」って基本的に手札0で使う事が多いです。
あくまでも「捨てる」のは効果の一部であり、コストじゃないというのがミソってわけですね。
「赤」は積極的に手札を消費しやすいカラーなので、この手札0の状態はかなり作りやすいです。
…なんですが、手札が0という事は、相手の妨害に対してなんの対応もできないってことでもあります。
カウンターされたら、文字通り死です。
ということは、手札が0に近い状況を作り出しつつ、相手の妨害も飛んでこないタイミングで「変則的ドロー」って使えないと弱いんじゃね?という話になりますが、その通りなんで、中々難しいですよね。
「Wheel of Fortune」は相手の手札もまきこむことから「妨害」という側面があります。ここが非常に優秀なのですが、残念な事に、近年刷られる「変則的ドロー」呪文や能力は「自分の手札を捨てる」だけです。相手の手札を強制的に入れ替えるみたいなことができません。
ちょっとだけ例を出すと「ボーマットの急使」は1マナ無色1/1速攻持ちクリーチャーでありながら、手札のカードを捨てて、アタック数に応じたドローが出来るという面白い能力を持っています。
が、ドローに赤1マナが必要なのがネックです。また、除去が強すぎるパイオニアにおいては的になりがちであること、ドローの枚数もアタック数に依存することから、その貧弱なスタッツとのかみ合い悪いこと、赤単よりは「魂込めビートダウン」みたいな別デッキの方が合っているという現実があります。
リストをあさっていると、たまに「ケルドの炎」なんかも出てきますが、使用したターンに直ぐドローが出来ないという点が非常にネックです。
「騒乱の歓楽者」なんかも、かなり面白い効果を持ってはいるのですが、できれば後半に引きたいカードであることや、パイオニアの墓地メタがキツイ点などから、気軽に4投出来ない所がネックです。
という訳で「変則的ドロー」を多用するデッキを作りたいのであれば、赤のランプデッキにまとめた方がいいというが、通説となっています。「アゴナスの雄牛」というとんでもないカードがあるためです。
という訳で、ざっと赤のドロー事情を見てきたのですが、「赤単」かつ「アグロ」ということになると、現状相性がいい赤ドロー=「衝動的ドロー」という事になる訳です。
という訳で、プチコラムを挟んでしましましたが、次の話題に移りましょう。次は、いよいよ4ターンキルの話です。
3-3.③➀②のカードを組わせると、お手軽に4ターンキルを達成できる
お手軽に4ターンキルが出来る事がなぜアグロ的だと言えるのか?
これは、赤単バーンを色々こすって痛感したんですけど「4ターンまでに勝ち筋を作れないアグロは、アグロとして強くない」からです。
パイオニア環境における「4ターン目」とは、それぞれのデッキが迎えるピーク地点となります。
少なくともトーナメントシーンにおいては、4ターンまでに何かしらのアクションが取れないデッキは勝てないと言っていいでしょう。(これは言い切っていいと思う)
抽象的な話をしてもしょうがないので、以下、パイオニア環境における各種デッキの具体的な4ターン目までの最強ムーブについて書きます。あくまで一例なので、他にもあるとは思いますが、ご了承ください。
【ラクドスミッドレンジ】
1T:思考囲いor致命的な一押し
2T:税血の徴収者
3T:鏡割りの寓話
4T:寓話のルーティング+シェオルドレッド
【ラクドスサクリファイス】
1T:思考囲いor致命的な一押し
2T:魔女のかまどor黒猫or不運な目撃者
3T:税血の徴収者or初子さらい+命取りの論争
4T:鏡割りの寓話or波乱の悪魔orオブニクシリス
→完成したシステムでブン周り
【緑信心】
1T:マナクリ
2T:キオーラorトロール
3T:カーン
4T:王神の立像or収穫祭の襲撃⇒茨の騎兵
→どこかでニクソスが絡むのが前提
【青白コン】
1T:なし
2T:魂の仕切りorソフトカウンター
3T:一時的封鎖or吸収
4T:至高の評決or放浪皇or記憶の氾濫
=(テフェリー着地の準備完成)
【ロータスコンボ】
1T:獣+土地加速
2T:睡蓮の原野
3T:演劇の舞台コピー→コンボスタート
【エニグマ】
1T:トライオーム
2T:トライオーム=力線の束縛
3T:寓話
4T:奇怪な具現or創案の火
【不屈な独創力&異形化】
1T:軽量除去
2T:軽量除去orカウンター
3T:きびしい授業or鏡割りの寓話or大勝ち
4T:独創力or異形化=アトラクサ&青ギアハルク着地
【白単人間】
1T:有望な信徒or徴兵士官orスクレルヴ
2T:サリアor野心家or先兵
3T:エーデリン→サリアの副官or軽量クリーチャー連打+精霊界との接触
・・といった具合に、パイオニアにおける4ターン目=大体のデッキにおける最強ムーブが決まり、ゲームが中盤から後半に差し掛かるターンだと思うんですが、いかがでしょうか。
という訳で、それぞれのデッキには、4ターン目までに、自分の盤面を整えるカード、あるいは相手の動きを妨害できるカードが厚く採用されている印象があります。(よく「テンポ」や「マナカーブ」の話が出ますが、僕的には「4ターン目までに理想的な動きができるのか/盤面が形成できるのか/自分のペースに持ち込む事ができるのか」という話に変換できると思っています)
「赤単バーン」が「アグロ」という戦略を取るのであれば、軽量呪文が沢山採用されている筈なので、ゲームがピークを迎えるであろう、4ターン目までに相手を倒せない(強いお押し付けムーブができない)のであれば、はっきり言って弱いデッキだという事になってしまいます。
参考として、現在ティアの高いアグロデッキ「白単人間」を見てみましょう。
このデッキに採用されている「スレイベンの守護者、サリア」は相手の除去や妨害に対してかなり強いですよね。
コンボデッキ、コントロールデッキ、それこそ赤単バーンみたいに、軽量呪文を連打するデッキに対して、無類の強さを発揮します。白単人間を苦手なマッチアップとして捉えているデッキが結構あるのは「サリアがいるから」というのはあるでしょうね。
押し付け力が強いデッキに対しては「+1マナを」強制させるという点で、相手の動きを1ターン遅らせることが出来、除去や妨害が強いデッキに対しては、そもそも「除去」や「妨害」のマナコストを増やす事で、除去と妨害以外の動きをさせないみたいなプレイができます。
要は、誰もプッシュに2コスなんかかけたくない訳ですが、サリアはそれを強制するのが強すぎるということです。
という訳で、サリアというのは相手の行動を縛るという意味で「押し付け力」がかなり強いのです。また、更に言ってしまえば、「押し付け力が強いデッキ」に対して「強く出れる」のです。
また、厄介なのは人間デッキには「サリア」を守るカードが豊富に採用されている所でしょうか。「スクレルヴ」や「先兵」と言ったカードの登場によって、「サリア」を除去する前に別のカードを除去しないといけないという地獄が発生してしまいました。
ラスゴ系を除いて「手札が枯れるまで除去を打ち続ける事」しかできなくなるというのは、控え目に言って地獄です。(そこに「集合された中隊」なんかをねじ込まれると全てが終わってしまうのですが)
この圧倒的な「押し付け力」を持ったサリアを筆頭にした、攻守に長けた質の高い人間クリーチャーをバカスカ連打することによって相手を蹂躙するのが白単人間なのです。
4ターン目までの動きとして、相手の動きを妨害しながら、無理なく盤面を制圧できるという、アグロデッキが達成したい条件を全て兼ね備えているからこそ、常に環境上位に君臨しているのだと僕は思っています。
一方、赤単バーンの場合は、残念な事に「サリア」のような「妨害」能力を持ったクリーチャーがいません。(ライフコストを要求するクリーチャーはいますが、ライフを払えば唱えられてしまうという点で相手の動きは止まらないので、性質が違います)
では、サリアを採用すればどうにかなるかというとなりません。
「火力呪文」で勝つデッキなので、現実的に無理です。
かみ合いが悪すぎる。
という訳で、赤単バーンが取るべき「アグロ」的戦略というのは、自動的に「赤」が持っているアグロ的性質を持ったカード群をフル動員し「4ターン目をむかえるまでになるべく20点削る事」になります。
優秀な妨害札が赤にないのであれば、赤の除去が貧弱なのであれば「攻撃こそ最大の防御」という言葉を信じて、相手の盤面やコンボが完成する前にライフを0にするしかありません。
「本体火力」には、実はこんな性質があります。
「カウンター」「呪禁」「ダメージ軽減(プロテクション)」以外で止める手段がないという点です。
どれだけ盤面にクリーチャーが並んでいようが、どれだけ強力なPWがいようが、本体火力を止める手段は限られています。
赤には、相手のライフを削る事に関しては極めて優秀なカードがそろっているのですから、相手の事情なんか無視して相手のライフを0にする事に全力になれば、盤面で負けていても勝てるのです。
4ターン目に最強のムーブがきたとしても、一部のアンフェアデッキを除いて、4ターン目までに決着がつく訳ではありません。
相手の妨害を乗り越え、それでもなお上回る速度で、4ターン目以降の、その、あまった残り少ない時間を使って相手のライフをゼロにすれば、別に強い動きをされたって問題ないのです。
その強い動きを使った「何か」をされるまでにどうにかしてしまえば試合には勝てます。
という訳で「アグロデッキの条件」=「4キル」を達成できるような「本体火力」の組み合わせが出来たら?それが安定的に達成できたら?
相手がどんなに妨害をしようが、絶対に勝てます。
そして、この20点を削れる安定的なルートが「赤」に沢山あるのか?
あります。本当に無数にあります。
という訳で、いよいよ本題です。
ここまで書いてきた「赤」の「アグロ的性質」をまとめてみましょう。
【まとめ】
・赤には「本体火力呪文」&「速攻持ちのクリーチャー」が多数存在するので、先行1ターン目に相手にダメージを与える手段が豊富である
・赤には手札リソースを稼ぐ手段として「衝動的ドロー」が存在するので、積極的に手札のカードを使っても困らない
・赤には妨害手段が乏しいが、その代わり妨害手段として大体の効く&相手の妨害手段に強い「本体火力」呪文が多数ある
・赤に存在する「火力呪文」&「軽量クロック」&「衝動的ドロー」を組わせたら「4キル」できるルートが無数に存在する
ということから、導き出されたのが、僕の理想とする赤単バーンの理想形態「3T終了時に相手のライフが3であること」です。
4ターン目以降、相手が最良の動きをしてきたとしても、後は本体火力呪文一枚だけ打ち込めば勝てる状況にすること。
これが達成できたら、どんなデッキであろうと「赤単バーン」の前では無力になるのではないか?
と考えたら…なんか興奮してきませんか?
という訳で次章からは、この赤単バーンの定義「3T目終了時に相手のライフを3点」にするために必要なカード達について、解説していきます。
まずは、まずは現状テンプレで使われている赤単バーンのカード・デッキリストを紹介します。その上で、そこからどういったカードをリストラして今のデッキリストを作成したのか、紹介していきます。
4.赤単バーンを構成するカード達(➀軽量クロック&火力呪文で打点が稼ぎやすい)
この章では、山1マナから出せる速攻持ち1マナクリーチャーor呪文によって、1点~2点のダメージを与えられるカードを紹介します。
所謂、赤単バーンにおける「花形」カードです。
4-1.「僧院の速槍」
「僧院の速槍」というカードがあります。
ゲームスピードが比較的緩やかなスタン環境で、赤単が猛威をふるっているのは、このカードが「兄弟戦争」で再録された事が大きいと思います。
赤1マナ、速攻、果敢持ちという、弱い要素が一個もないクリーチャーです。強いていうなら「クリーチャー」であるため、除去に弱いという点(無茶苦茶すぎる)、果敢持ちのクリーチャーであるため、他の火力呪文との併用が前提となっていることから、単体だと手札が枯れていく3ターン目以降仕事がなくなりガチ、くらいでしょうか。
正に、赤単バーンの特徴が全部入っている、非常に前のめりなカードと言えるでしょう。
赤単を組むなら絶対に外してはいけない一枚というか、このカードから全てが始まると思っても構いません。ってか、赤単かつ「アグロ」戦術を取るのであれば、採用しない理由がありません。
「僧院の速槍」と来たら、それに並ぶクリーチャーとして「損魂魔道士」がいるのですが…
すいません、このカードは僕の手にあまります。
性能としてみたら、絶対に赤1マナのクリーチャーじゃありません。
ですが「速攻」がついていない点、能力が結局の所対戦相手のクリーチャーのパワー・タフネスを永続的に減らす、言ってしまえば「除去/妨害」よりの性質である点が、若干後ろ向きです。
これは対クリーチャーにおいては無類の強さを発揮する一方で、コントロール対面においては「腐る」ということになります。
また、メイン戦では、結局の所、本体火力を除去に当てないと真価を発揮しない点が、足を引っ張ってしまいます。
また、こちらもクリーチャーなんで、除去に弱いです。
ただ、後程紹介する「魔術師の稲妻」を採用するのであれば、絶対に採用すべき一枚という事は言えます。けれど、それ以外のデッキで本当に必要な一枚なのか?というと個人的には懐疑的です。
4-2.「ショック系」呪文
次に「ショック」系呪文です。
パイオニア環境には「赤1マナなんでも2点呪文」が3種類存在します。
「ショック」はその全ての祖というべきカードです。
ショックランドの異名は、このカードが元ネタになっていますね。
性能としては「稲妻」の下位互換という点から、割と舐められガチなカードですが、使ったり使われたりすると、案外バカにできません。
初期ライフが20点から始まるMTGを、赤単バーン風に言い換えるのであれば「ショックを10回打てば勝てるゲーム」という事になります。
より具体的なシチュエーションの方が分かりやすいかもしれないので、簡単な赤単算をしてみましょうか。
1T:ショック 2点
2T:ショック×2 4点
3T:ショック×3 6点
4T:ショック×4 8点
⇒20点
4ターン目までに土地が4枚、ショックが10枚あれば試合に勝てるという事になりますね。
実際の所、マジックの初期手札が7枚であることや、土地を引ける/引けないのリスクは無視しているので、これは机上の空論に過ぎないのですが、この考え方は赤単バーンを考える上で兎に角重要です。
赤単バーンは「ショック」で始まり「ショック」で終わるというのは、過言でないと思っています。
最強最速の赤単バーンを考える時に「ショック系」呪文の存在を無視することは許されません。
「このカードはショックより強いんだろうか」「このカードはショックには劣るが、ショックにはない役割があるだろうか」…常に僕の頭の中はショックで埋め尽くされています。
そんな全ての基本となる「ショック」系の呪文は、少なくともスタンリーガルの中で一枚は存在するように刷られています。
…ちなみにですが「稲妻」は多分絶対に刷られません。その理由は痛い程わかります。試しに赤単算をしてみましょうか。
1T:稲妻 3点
2T:稲妻×2 6点
3T:稲妻×3 9点
4T:稲妻×4 12点
⇒30点
オーバーキルもいい所です。2点が3点になるだけで強さの格が変わってしまいますよね。(これが許されているモダンって、どんだけ魔境なんだよ)…という訳でパイオニアより上の環境では「ショック」はいいけど「稲妻」は許されてはいけません。
ただし、「ショック」と「稲妻」の中間スペックであれば許してもいい。という流れがあります。
最近は「ショック」を再録するのではなく「ショック」+「追加効果」系の呪文が採用されるか、もしくは「本体火力」部分が消えて、対クリーチャー・PW用の稲妻+追加効果or追加コストみたいなカードが沢山刷られています。
パイオニアより上環境で「赤1マナ」が出来る事というのを、多分ウィザーズはかなり慎重に考えているんでしょうね。
なお、最近、指輪物語にて刷られた新規ショック系呪文がパイオニア環境に来たら確実に赤単の強さは1ランクあがります。
この話を掘り下げると、かなり面白い話が出来ると思っているのですが、この点については、現パイオニア神である、ボロスヒロイック使いの松原さんが登場しているパイオニア禁止改定の動画が極めて参考になるので、見ていただきたい。
要は、ロンドンマリガンの影響を受けて、赤の早いカードが作りにくくなってしまった。みたいな話がされています。
閑話休題。
さて、ここから具体的な「ショック系呪文」を紹介していきます。
現在、一番使われているのは「火遊び」です。
対戦相手にダメージが飛んだ場合は、占術ができるというかなり優秀な一枚。まさに「ショック」と「稲妻」の境目を探っているカードですね。
「僧院の速僧」とセットで考えると、たった2枚で2ターン目までに5点削れる上に、次のターンに必要なカードを探しに行けるというのはかなり魅力的です。
4ターン目までにほぼ勝たないといけない赤単バーンが一番困る事は、必要以上に土地を引いてしまうことです。どれだけ多く見積もっても、赤単バーンが必要な土地というのは「5」が限界なので、それ以上の土地を引かないためにも、この占術が付いているか/いないかというのは重要な要素になってきます。
また「ショック系」の呪文が担っている役割というのは、本体火力だけではありません。赤におけるプッシュです。
赤には対応力がない、妨害手段が乏しい色だ、とか散々言いましたが、最低保証として、クリーチャーでもPWでもタフネス/忠誠値「2」以下の存在は「火遊び」で除去できるようになっています。
要は、1~2ターン目までにプレイされる多くのクリーチャーはこのカード一枚で処理することができるんですね。具体的にいうと「マナクリ」、「白単人間(サリア)」、「税血の収穫者」を1:1交換で処理できるのが偉い。
逆に言うと「遺跡ガニ」とか「樹上の草食獣」みたいな「タフ3」には弱いです。
という訳で「火遊び」は赤単バーンに絶対に採用されています。
対象の広い本体火力であり、果敢とのシナジーが激熱であり、おまけに本体火力として使えば占術による不要牌の除去ができる…入れない理由を探す方が難しいですね。
まぁ、現状、白単人間が環境で猛威をふるっているので、最大の天敵、サリアをメインから処理するためにも絶対に外せない一枚になってしまってます。(ちなみに、稲妻が来たら話変わるんですけどね!!!ね!!!)
4-3.「熊野と渇苛斬の対峙」
「熊野と渇苛斬の対峙」は控えめに言って、赤1マナのカードではありません。
先行1ターン目に設置できたら、実質「僧院の速槍」です。またゲームの中盤に仕事をすることもあります。なぜか分かりませんが、PWにも1点ダメージを飛ばすことができるからです。一番強い状況としては、3Tに相手がヴェールのリリアナを出してきて「僧院の速槍」などのクリーチャーを除去してきた時ですね。その場合、残りの忠誠値が1になっているので、返しのターンに「熊野」をキャストするだけで、リリアナを処理できてしまいます。同じ理屈マイナス能力を使った「放浪皇」も取れます。
あとは、緑信心系のPWの忠誠値を減らして「ー」能力の使える回数を減らすみたいなこともできます。ただ、こちらはほぼ焼石に水みたいなもんなのであんまり生きるシーンはないかな。処理忘れだけ気を付けてねくらいです。
2章は+1カウンターを好きなクリーチャーに置ける効果ですが、こちらも魅力的です。自前で+1カウンターを置くためのクリーチャーを用意できないというデメリットはありますが、1T「熊野」⇒2T「僧院の速僧」とするだけで、打点が爆発的に上昇します。(もし、相手が「僧院の速槍」を処理できなかったら「火遊び」を追加でプレイするだけで、合計6点も稼げてしまう。)
一番強いのは3章ですね。速攻2/2のクリーチャーが出て来るだけではなく、赤の発生源からダメージを受けた相手のクリーチャーを殺すことができたら、追放できる効果がおまけで付いています。これが一番刺さるのは「緑信心」です。「老樹林のトロール」「茨の騎兵」といった、死亡時誘発効果を持つクリーチャーを一方的に無効化できます。
また、パルヘリオンシュートにおける脂牙といった、リアニメイト手段を構えているデッキにも一定の効果を生むのもえらいですね。「大牙勢団の総長、脂牙」を場に出てきた瞬間に処理できれば、相手は「脂牙」を再利用できなくなります。
あまりに強すぎたのか、MTGアリーナでは修正が入って「速攻」が取り除かれましたが、まぁそれくらい裏面は凶悪です。
ただ、3Tに出てくるクリーチャーのスタッツとしては貧弱なので「苦難の影」と比べたら強さのランクは劣ってしまうのですが、4T以降のゲームを考えた時の保険や、追加の打点要員として考えた時場合、1マナカードとしては出来る事が多すぎるのです。
言ってしまえば「赤単バーン」における「鏡割りの寓話」ってことです。
こんな性能を持っているので、相手によっては「僧院の速槍」を処理するより、まずは熊野の裏面を処理しないといけない場面が多々発生するため、ヘイト誘導の役割も買ってくれたりします。
そんなカードが、先行1ターン目に出てくる?
意味が分かりませんね。
スタン神のパワー9に熊野の名前が挙がった事があるのですが、赤単使いとしては「でしょうね」という感想になります。赤単バーンのレベルを1ランク上げたカードなので、このカードを抜く未来は絶対に来ないでしょう。
4-4.「批判家刺殺」(絢爛)
さて、ここまでの内容で、赤単バーンの赤1マナには三つの柱(僧院の速僧、火遊び、熊野)があることが分かったかと思います。
次から紹介するのは、先行1ターン目ではなく、2ターン目以降赤1マナで打てる強力なカード群です。
キーワードは「絢爛」です。
赤単バーン風にこの能力を説明すると「相手がダメージを受けたら、赤3マナの呪文が、赤1マナでプレイできるようになる」ということになります。
一番代表的な「絢爛」持ちのカードは「批判家刺殺」です。ソーサリーという唯一の欠点を除き「1マナ何でも1つ3点」を実現している、謂わば「条件付き稲妻」って言うカードですね。
簡単な赤単算をしてみましょう。
たとえば、1ターン目に「速僧の僧院」をプレイ、2ターン目に「火遊び」+「批判家刺殺」をプレイした場合、合計打点は9点になります。
2ターン目までに9点削ることが出来るっていうなら、なんか、4ターン目までに20点削れそうな匂いがしますよね。
それでは、ここまでに紹介したカードを使って、実際に20点削れるかどうか検証してみましょう。ここでは、その威力を大幅に表現するために、敢えて「稲妻」がもしパイオニアで使えたらということを想定してみます。
1T:熊野プレイ 1点ダメージ
2T:稲妻本体+速僧パンチ 6点ダメージ
3T:稲妻本体+批判家刺殺本体×2+熊野&速僧パンチ 16点ダメージ
=23点
事実上の3キル達成です。
なんともおそろしぃですね。
さっきまで書いていた「赤単算」は机上の空論じみていた所があったと思いますが、残念なことに、ぴったり全ての手札を使い切れば、この計算なり立ちます。
一番おそろしぃのは、3点の余力を残しているという点でしょうか。
クリーチャーが1体くらい立っていても、本体火力を除去に使えば特に問題なさそうです。
という訳で「赤1マナなんでも3点」のカードには厳しい制約が課されている訳です。例えば、批判家刺殺に「ソーサリー」がもしついていなかったら、大変な事になっています。相手がショックランドをプレイするだけで、稲妻に化けるので、事実上一枚で5点もぎ取れるカードになってしまいます。
また「絢爛」という相手がダメージを受けていないと、コストが減らない点が「果敢」と若干かみ合いが悪いです。
先ほど赤単算の中で、先に「稲妻」を記載したのは、相手がダメ―ジを負っていないと、絢爛コストでプレイできないからという都合があったります。
初手に「批判家刺殺」が2枚あっても、本体火力呪文が他になければ3コスでプレイせざるを得ません。また、コンバット後に打ったとしても、「果敢」とのかみ合わせが悪い事から、火力が1点下がってしまう事は忘れてはいけません。
という訳で「批判家刺殺」というカードは状況に応じて、先に他の本体火力を使用したり、本体火力を温存して相手が隙を見せた瞬間に押し込む要因として構えるみたいなプレイングが重要なカードという訳です。(お気づきかとは思いますが、この「絢爛」の条件を達成するためにも「火遊び」は抜けないというのが分かってきますね)
所詮「絢爛」を達成しないと、赤3マナなんでも3点火力にすぎないのが「批判家刺殺」というカードなのです。
という訳で、さっきの赤単算を踏まえると、この「批判家刺殺」の相方にふさわしいカードってなんだ?という話になってくるわけですよね。
「稲妻」は絶対にパイオニアにこない、ならばその相方を「条件付き稲妻」シリーズから探すしかありません。
4-5.「魔術師の稲妻」
という訳で、次に紹介するのが、パイオニアにおける、極めて有名な赤1マナの条件付き稲妻呪文「魔術師の稲妻」です。
「自分の場にウィザードが場にいたら稲妻」です。
マジでこれだけなので、本当に条件としてガバもいい所なんですが、このカードの存在がよくも悪くも、赤単に色々な意味で深い影を落としています。
このカードを採用するということは、必然的にデッキ内の「ウィザード」を多くするという事になるんです…が、かなりきわどいんですね。
ダメージを与える手段が豊富にある「赤単バーン」における「絢爛」の達成難易度と比較すると、条件がかなり厳しいです。
まず、「僧院の速槍」「熊野」がウィザードではないこと。つまり、優秀な赤1マナのクリーチャー達の相性が絶望的です。
「損魂魔道士」がいるじゃないか!というツッコミも当然あると思いますが、赤のウィザードで赤単バーンに採用できるカード達って「速攻」が付いてないんです…これが兎に角「絢爛」と相性が悪すぎる。
相手にダメージを与えるトリガーの片翼を担う、戦闘ダメージを与える機会が減ってしまうという点で「ウィザード」系クリーチャーと「絢爛」の相性って、実はそこまでよくありません。
いやいや、そしたら次のターンで、魔術師の稲妻+批判家刺殺のコンビをプレイすればいいじゃないか。という話になると思いますが、大抵の場合、相手は盤面の「ウィザード」を徹底的に処理してくるのです。
こうなったら、新しいウィザードをプレイするしかないのですが、そんな事をしている暇は、パイオニアにはありません。その頃には、タフネス3を超える化け物クリーチャーだったり、シェオルドレッドが着地していたりと、3点火力が霞む展開が待っている事でしょう。
という訳で「ウィザード」=「魔術師の稲妻」の図式を盤面にキープしながら継続的にダメージを与えるのって、実は結構難しいんです。
という訳で、現況「批判家刺殺」の相方として「魔術師の稲妻」は一番条件が緩いんですが、小さい所でかみ合わないというのが現状だと思っています。(まぁ、だからパイオニアで許されるんですけどね!)
ってもですね、赤単バーンを組みたいなら、赤単ウィザードバーンで行くのが無難だと思います。
色々いちゃもん付けはしましたが「赤単ウィザードバーン」って3Tで20点けずれます。
1T:熊野プレイ 1点ダメージ
2T:損魂魔導士プレイ+魔術師の稲妻 3点ダメージ
3T:魔術師の稲妻+批判家刺殺本体×2+
熊野&損魂魔導士パンチ 16点ダメージ
=20点
この計算式をみればわかると思いますが、まぁウィザードに速攻が付かなくて正解です。ってか、多分つけられません。
「赤単に色々な意味で深い影を落としています。」と書いたのはこのためです。ウィザードを新しく刷るってことは、パイオニアに稲妻を許す事になってしまうので、多分軽くて、速攻持ってるような、そんな赤ウィザード?絶対に刷れないと思います。
まぁ、現状でも「損魂魔導士」に限らず、場に出るだけで相手にダメージを与えられるような優秀なクリーチャーや、墓地のインスタント、ソーサリーを参照してスタッツが向上するカードなど、ぶっちゃけ必要なカード殆ど揃っているので、こんな3T最速勝利!みたいなプレイを考えず、4~5Tの勝利を目指すのであれば、正直「赤単ウィザードバーン」で十分に事足りるんですね。
結局の所「批判家刺殺」+「魔術師の稲妻」が無難というのは覚えておきましょう。
4-6.「癇しゃく」(絢爛)
最後に、1枚のカードを紹介します。
限定的稲妻の一種「癇しゃく」というカードです。
こちらは、稲妻達成の条件が「マッドネス」になっています。
手札から墓地に捨てた時に追放領域から赤1マナで唱えられるという感じです。
こちらは、次の章で紹介する衝動的ドローとの組み合わせが悪い点、また、現況赤単には殆どルーティング系の呪文が採用されていないことから、殆ど赤単では採用されません。(僕も色々試したんですが、今一使にくくてやめた)
ただ、赤のルーティングがお手軽にできるようになったら、確実に環境に入ると思います。特に、最近出てきた「魅力的な悪漢」とのシナジーは結構熱いんじゃないかな~と思ってるので、注目の一枚として考えていただければと思います。
5.赤単バーンを構成するカード達(②衝撃的ドローによって無理矢理序盤からリソースが捻出できる)
5-1.「舞台照らし」
赤には、さまざまな衝撃的ドロー呪文があるのですが、現況、採用されているのは、ほぼ一強で「舞台照らし」だけです。(追放ボロスは赤単バーンではないので除外します)
こちらも「絢爛」がついているので、対戦相手にダメージが与えられているターンは、赤1マナで唱えられます。
赤1マナ。衝撃的ドローが2枚できる。プレイできる時間も最大2ターンある。唯一無二の性能です。先ほどから匂わせていた、赤1マナ2ドローの正体はこいつです。
という訳で、何か特別な理由がない限り、赤単バーンに「舞台照らし」は4投されることになっています。
とはいえ、無条件に強いカードという訳ではありません。
まず、このカード自体がしている事は、条件付きのドローであり「本体火力」ではない所。
つまり、赤単バーンの勝ち筋そのものに直結しているカードではないのです。
また「絢爛」持ちなので、対戦相手にダメージを与えないと、3マナ2ドローという弱いカードになってしまいます。
どうにかして相手にダメージを与えないと、コストを軽減できないということは、ダメージを与える手段が枯れている場合や「条件付き稲妻」を多数手札に抱えている時なんかに持っていると、本当に弱くなってしまう。
この点は「批判家刺殺」や「魔術師の稲妻」が抱えている欠点と同じですね。
一番困るのが、手札に火力呪文はないが、クリーチャーだけある場合です。
無理矢理「僧院の速槍」でアタックを決めて、ダメージを相手に与えることで絢爛の条件を達成しようするんですが、そういう場合、大抵相手から除去が飛んできて、絢爛の条件を満たさないように上手く処理されたり「舞台照らし」そもそもをカウンターしてきたりします。
基本的に「舞台照らし」って「僧院の速僧」の果敢をコンバットトリック的に誘発することが出来ないので、できればコンバット前にプレイしたいカードではあるのですが、それが出来ない=手札に本体火力がないというのがばれてしまうんですね。
もし「舞台照らし」が「インスタント」であれば、アタック時にプレイして果敢を誘発、引いてきた軽量呪文で更に果敢を誘発!だったり、相手のショックランド⇒1マナで「舞台照らし」みたいな芸当が出来たんですけど、残念ながら、できません。
また、この「衝動的ドロー」が持つデメリットについても、ちょっとだけ触れておきたいと思います。
というのは、相手に引いてきたカードを公開してしまうので、相手に次の動きが読まれやすいという点です。
赤1マナ浮いていて、追放領域に「火遊び」があった場合、相手は「どこかしらのタイミングで火遊びを打ってくるだろうな~」と思う筈です。つまり、自分が次に取る行動が透けてしまうんですね。
勿論、ブラフみたいな運用もあると思うんですが、ただでさえ手札のリソースを使い切るデッキなので、まぁ基本的にそんな事をしている暇はありません。
続いて、ドローしてきたカードに使用期限がある点です。
「舞台照らし」を採用するということは、マナコストが重いカードを採用しないということになります。
2ドローは確かに強いのですが、プレイ期間内にそのカードがプレイできなければ意味がありません。特に「条件付き稲妻」との兼ね合いがネックですね。手札に本体火力呪文が余っていれば「アド」ですが、なかった場合は、赤3マナの3点の打てない呪文をみすみす虚空においやる事になってしまいます。
いやいや、クリーチャーが場にいたら「絢爛」達成できるじゃないか!というのは「絢爛」発動を狙っている事がばれているので、まぁそんな甘くないっていうのは先ほど書いた通りです。
このドローがもし、通常のドローだったら勝敗が変わった!みたいな事って実は結構頻繁に起こります。
という訳で、この「舞台照らし」を如何にうまく使いこなすのかってかなり重要なんです。
後は運ですね。これで土地2枚めくれることもあるんで、そうなったら白旗上げましょう。
という感じで、滅茶苦茶デメリットを言ってきた訳ですが、実は隠れたメリットもあります。
この「衝動的ドロー」…ハンデスにめっぽう強いです。
ハンデスはその名の通り、相手の手札領域にあるカードを墓地・追放領域においやる効果なので、「衝動的ドロー」には効きません。
「衝動的ドロー」は追放領域にカードを移動させてプレイするからです。
「舞台照らし」⇒「火遊び」+「舞台照らし」みたいな組み合わせを永遠に引き続けると、マジで「無駄省き」系のデッキは泣きますね。対処のしようがなくなるので。
そのかわり「魂力」など、手札から捨てることが起動能力の条件となっているキーワード能力との兼ね合いが悪いのはお忘れなく。
6.赤単バーンを構成するカード達(③4ターン目までに20点取り切れる)
6-1.この章の目的
という訳で、長々と「赤1マナ」系のカードを紹介してきたんですが、この章では「赤2マナ」&「土地」の解説をします。
「赤単バーン」は「赤1マナ」のカードがあれば勝てるデッキです。
これは、何度も赤単算をしてきたことから分かるかと思います。
ですが、残念ながら「赤1マナ」のカードだけで勝てる訳ではありません。ってか、勝てるんだったら、みんな「赤単バーン」使ってます。
勝てない理由は大きく2つあります。
➀採用に値する軽量呪文の数が足りない
②赤1マナで出来る事に限界がある
次章の最後に「赤単バーンのテンプレ」リストを提示しようと思ってるんですが、基本的に赤単バーンって土地が20~23枚、呪文が40~37枚くらいで構成されてるイメージです。
土地がそこまで多くいらないデッキなので、デッキに詰めるカードのスロットが多いんですよね。この40枚全てを「稲妻」と「舞台照らし」に出来たら強いですが、まぁそんな事はできません。
結局「稲妻」の下位互換カードを一生懸命組み合わせて、戦うしかないんですが「批判家刺殺」の相方を探すだけで、一つのコラムが出来るくらいに「赤1マナ、なんでも3点」は枯渇しています。
また、色々な発動条件(「絢爛」など)の制約をはじいて「赤」が「1マナ」単体で出来る事って、正直「1点~2点」のダメージを相手や相手のクリーチャー・PWに与える事だけなんですよね。
基本的に「ショック」以上の事はできないんです。
という訳で、できれば「赤1マナ」で組めたらいいんですが、現状そういう訳にもいかないので、「赤2マナ」以上のカードを採用せざるを得ません。
ただ、2コス以上のカードというのは「速やかに相手のライフを削る動き」とは根本的にかみ合わないという事は忘れてはいけません。また。「舞台照らし」でめくれたカードがプレイしにくくなるという点も覚えておくべきです。
これらのデメリットを踏まえてなお、赤単が4ターン目以降勝ちやすくなる、あるいは勝つ可能性を増加させてくれるカードがここで紹介するカード達となります。
6-2.「大歓楽の幻霊」
「大歓楽の幻霊」は単体では機能しません。
相手が、3コス以下の呪文を連打するデッキタイプの場合に限り、無類の強さを発揮します。
一番刺さるのは、イゼットフェニックス、ロータスコンボに代表される軽量呪文を連打するデッキでしょう。3コス以下の呪文を2回唱えてくれるだけで、ショック2回分のダメージが相手に飛びますから、実質「赤単バーン」における「サリア」と言ってもいいくらいのカードです。
赤が持っている妨害手段として「相手がカードをプレイする時に追加コストしてライフを支払わせる」というのは、先ほど紹介した通りですが、このカードが正にその代表例です。
昔はイゼットフェニックスが流行っていた事も一因としてあると思いますが、一枚2000円くらいの値打ちがありました。
が、逆にいうと、このカードは「常に場に立っている事」が重要となるため、やはり除去が天敵です。
とはいえ、除去のマナコストというのは基本的に3コス以下が多いので「大歓楽の幻霊」を立てておけば、基本的に2点、相手からもぎ取れる考えたら最低保証としては合格点となるでしょう。
また、このカードが場にある状態で「思考囲い」をプレイしてくれると、相手は4点もライフを失ってくれるのがいいですね。
という訳で、このカードは、ハンデスや軽いスペルを連打する系のデッキに対して結構強く、除去には弱いですが、相手に切れ味は与えられるという点で、圧力を相手に与えることが出来るのです。
ですが、マナコスト分の仕事を常にこのカードがしてくれるのか、というと、それは別です。結局、2コスでたった2点しか取れないみたいなシーンが連発するんですよね。
このカードをプレイした返しに相手が「致命的な一押し」を打ってきた場合、2点取れはしますが、結局2点しか取れないのです。これを強いとみるか、どうみるか。
同じ2コスあれば、火遊び+僧院の速槍で、5点ダメージを与えられるという話をしたと思いますが、そういったダメージのバリューでみた時に、ターンを稼がないとあんまり意味がないんですね。
最速4ターンキルを目指すという構成を考えたら、冷静に考えて2Tにショックを2回プレイした方が、どう考えても強いんです。
という事を考えた場合「大歓楽の幻霊」が持っている性質はアグロというよりは、若干コントロールよりなんですよね。
また、前回の記事でも触れたのですが「シェオルドレッド」の前ではかなり無力なのも環境的に逆風です。
まず「シェオルドレッド」プレイする際に、ライフコストがかかりません。次に「シェオルドレッド」を立てておけば「大歓楽の幻霊」のライフコスト分勝手にライフが回復してしまうので、2点ダメージなど痛くも痒くもありません。
逆に「大歓楽の幻霊」を残されて、赤単側が勝手に自滅する事を待たされる事だってあります。
そう、「赤単バーン」は軽量呪文を連打するデッキである以上「大歓楽の幻霊」が場にいると、自分のライフがゴリゴリ減っていくのです。ここが、大歓楽の幻霊にあって、サリアにはない凶悪な赤単バーンとのアンチシナジー部分になります。
4ターン目までに勝負を決めるというコンセプトが達成できたら、自分のライフなんていくら減ろうが関係ないとはいえ、自分のライフの減る量が相手よりも早かったら負けます。
「大歓楽の幻霊」が場にいるせいで、負けた試合って実は結構あるんですよね。
…という訳で「イゼット系」だったり「ロータス系」のデッキが流行っている場合はこのカードかなり強いんですが、それ以外だと正直厳しいですね。
まぁ、勿論プレイのやりようはあって「僧院の速僧」と並べる事で、除去のヘイトをこのカードに向かせたり、「熊野」のカウンターを乗せ「3/3」にすることでクロック要員として運用し、相手のクリーチャーと1:1交換を狙いながら、合計5点もぎ取ることを狙いつつ、「大歓楽の幻霊」が退場した瞬間に「本体火力」を連打しまくる。みたいな感じでしょうかね。
要は、「大歓楽の幻霊」を使うなら無理に4ターンキルを目指すのではなく、ウィザードバーンなどに入れて、5ターン目~6ターン目に勝ちを狙いに行く戦術プランを取りに行くのがベターだと思います。
という訳で、採用実績は沢山あるカードなので、色々書いたのですが触れましたが、最近のパイオニアのリストからは、正直落ちてます。
結局の所、相手依存のカードなので、環境に合うなら入る。合わないなら自分だけデメリットを被るので入れない。という事になります。
6-3.「砕骨の巨人」
「砕骨の巨人」はシンプルに強いカードです。
出来事部分の能力を見ると「2点、ダメージ軽減無効」という、ショックの上位互換カード「乱撃斬」と同じ効果を持っています。
2マナ2点というのは、ショック系呪文として考えると重すぎるのですが、「後2点削れれば勝てる」といった状況が頻発する赤単バーンにおいては、当たりの確率を高めてくれるカードとして考えると優秀です。
また、出来事クリーチャーなのでそもそもハンデスに強いのがいいですね。特に「強迫」には無類の強さを発揮します。
ラスト手札が一枚しかない、それが「砕骨の巨人」だった場合に、相手が
「思考囲い」を打ってきた時はメシウマですね。
スタックして「踏みつけ」をキャストして逃がすと相手から4点もぎ取れたりします。
「砕骨の巨人」がラクドスミッドレンジに採用されている理由の一つとして、マナカーブに無駄がないという点もあるとは思いますが、残りライフ2点まで削れば、トップので引いた「砕骨の巨人」からの「踏みつけ」で勝てるからというのはあると思います。
また「踏みつけ」を使用した後に出てくるクリーチャーのスタッツが極めて優秀です。
3コスで4/3。クリーチャ&呪文の対象に取られたら2点ダメージという、特に白黒系の対象を取る除去に対してかなり強い。(とはいえ、最近は布告除去が増えているので、一概に強い訳じゃないですが)
手札のクリーチャーが尽き、火力呪文も衝撃的ドローも使い果たした後で、追放領域からクリーチャーを出せる、しかもそのスタッツが4/3、除去呪文にも強い…弱い所が一つもありません。
が、なんどもいうようにこの性能の「丸さ」というのが「赤単バーン」に合っているのかというは、まだ別の話になります。
「赤単バーン」のカードとして考えた時に、まず「踏みつけ」はショックの下位互換です。
マナコストが「2」というのが極めて残念。ショックを10回打てば勝てるゲームにおいて、2コスかけて2点だけ与える動きというのは、弱すぎます。
「税血の収穫者」や「ラノワールのエルフ」みたいなマナクリを焼けるのは強いんですが、「サリア」という天敵に対しては無力に等しい点も忘れてはいけません。(3コスで2点火力をサリアに打ってる暇なんてない)
また、クリーチャーとしてプレイできるとはいえ、大体「砕骨の巨人」をプレイしている時というのは、相手の場が沢山のクリーチャーで埋め尽くされている場合が多い(こちらには妨害手段なんかないからね)ので、所詮「壁」としての役割しか果たさないことが多いです。
更に言ってしまうと、4/3というスタッツは優秀なんですが、意外と突破できるカードが少ないのもネックです。「墓所の侵入者」は相打ちできますが、シェオルドレッドの前では無力ですし「緑信心」に採用されているクリーチャーに対しては全面的に不利です。
また、これも何度も繰り返しこすっていますが、やはり「速攻」が付いていないのが痛すぎますね。
結局の所、「砕骨の巨人」は赤単バーンがしたい事にあっているようであっていません。このカードが強いのは、一枚一枚のカードの質の高さが求めれるミッドレンジなんです。
また、赤単バーンが対面的に有利と思われる「青白」コン系統のデッキに対して弱いのもいただけません。一番の天敵は放浪皇ですね。3コスでキャストし、次のターンに殴った際に「放浪皇」で追放されると「砕骨」の為に費やした5マナが無駄になります。
とはいえ、別に弱いカードではないってか強いカードなので、もし赤単バーンに採用するのだとしたら、メインに採用して、サイドチェンジ後に対策カードと交換する要因として活用するのが望ましいと思います。
ちないに、僕がメインで使っている赤単バーンには入っていません。
6-4.「稲妻の一撃」
「稲妻の一撃」は2マナの稲妻です。稲妻というカードが如何に強いのかというのは何度も赤単算の中で書いてきましたので、性能としては充分なのですが、残念な事にコストが重くなってしまいました。
条件付き稲妻カードが沢山あるパイオニア環境において「稲妻の一撃」は強いのか?というと、強いです。特にこのカードの真価が発揮されるのは、3ターン目以降になります。
パイオニア環境にはタフ3の強力なクリーチャが沢山います。
例えば「夜鷲のあさり屋」というカードは赤単の天敵なのですが、タフネスが3あるので、ショック系の呪文では焼くことが出来ません。
また、シェオルドレッドを突破するに際し、これは本当にしたくはないですが、最低限の保証としてショック系+稲妻の一撃でシェオルドレッドを落とすことが出来るということ。
また、環境には強力なプレインズウォーカーが存在しますが、その忠誠値って意外と3近辺でウロチョロしているので、PWをどうしても処理しないといけない場面においてかなり重宝します。
そしてなにより、2マナあればお気軽な本体3点火力になるのがいいですね。
4ターン目以降、トップで稲妻の一撃を引けた時の安心感は計り知れません。相手のライフを他の手段で極限まで詰めて、後は「稲妻の一撃」連打で勝ち。みたいなシーンは、アリーナで日々繰り返されてますが、そういうことです。
ですが、この2マナというのは時としてネックになります。
特に2Tに舞台照らしをキャストして「稲妻の一撃」が2枚めくれると、一枚は無駄になってしまいます。また、このカードもサリアが天敵です。
とはいえ、「2コスで最大1つなんでも3点」というカードは他にはないので、絶対に外せない一枚なのは間違いないでしょう。
それでも赤単バーンに合っているのかというと、合わない場面が出てきてしまうのが難しい所です。
緩やかなゲームを許してくれる環境だったら、入れて問題ないんですけど、パイオニアは本当に序盤の攻防戦が鍵になっているので、この2コスが足を引っ張ってくるんですよね。
本当に、赤単バーンというデッキは1コスか2コスかでカードの強さが変わってしまうんだという事を示す一枚です。
このカードも、まずメインで4枚採用して、サイドチェンジ後に対策カードの入れる為の「交換枠」としてよく使います。
が、逆に抜いた事によって、あと3点火力があれば勝てる!という場面で急に必要になったりすることがあるので、運用が極めて難しいカードですね。このカードを如何にうまく使うかというのが赤単バーンにおいては求められるでしょう。
除去に使うのか、本体火力として使うのか、果敢の上乗せに使うのか、絢爛発動の為に使うのか、それとも最後までとっておいてダメ押しの一枚として保存するのか、サイドカードと入れ替えるのか…使い道は無限にあります。
6-4.「ラムナプの遺跡」
ここから紹介するのは、土地です。
赤単バーンに使われる特殊土地は5つあります。
「ラムナプの遺跡」「反逆のるつぼ、霜剣山」「エンパレス城」「バグベアの居住地」「棘平原の危険」
それぞれ効果を見ていきましょう。
「ラムナプの遺跡」は打消しの効かない「ショック」です。
基本的に、土地を使うシーンというのは、手札が全て枯渇している状況、もしくは、自分の場に存在するクリーチャーでは、相手のクリーチャーに歯が立たない時。つまり、4T以降の話となっています。
4T以降というのは、お互いのリソースが枯れていて、相手の残りライフが0近辺になっている事が多いです。
という中で、ラムナプの遺跡が場にあったらどうでしょう。
相手のライフをどうにかして2点まで削り切れたら???
ほぼ勝ちです。
このカードの弱点というのは、赤マナを出そうとしたら1点ダメージを食らう所です。「白単人間」や「赤単バーン」を相手にすると本当にきつい一枚になります。ただ、それ以外の場面だとあんまり気にならないので概ね強いと言っていいでしょう。
トップが「火遊び」で、残ったマナを使ってラムナプの遺跡で勝った試合が腐るほどあります。
対戦相手にダメ―ジを与えられる土地というと「溶鉄の尖峰、ヴァラクート」が有名ですが、パイオニア環境以上で本体ダメージを与えられる土地=「ラムナプの遺跡」だけです。という訳で、実質「ヴァラクート」だと思ってください。
本当に唯一無二の性能を持った土地であると言えますね。最近は、ラクドスサクリファイスなんかにもピンで採用されているように、たった2点だけですが、この2点がもたらしてくれる恩恵というのは計り知れないのです。
正に「赤単バーン」はショックで始まりショックで終わるデッキというのを体現した一枚なのです。
という訳で、個人的にこのカードへの信頼度というのは高く、最後のダメ押し枠として、また、メインのカードを邪魔しないダメージリソース源として2~3枚程度の採用を推しています。
6-5.「反逆のるつぼ、霜剣山」
「反逆のるつぼ、霜剣山」については、入れないよりも入れた方が強い時があるので入れています。が、本当に必要なのか?というとそうではありません。
このカードの起動コストを下げるカードは殆ど赤単に入っていない上に、起動型能力なので、果敢との相性も良くないです。ただ、「山」より強くて、アンタップインだから入れているような感じですね。単純に入れない理由がないのです。
とはいえ、4ターン目でクリーチャーが横並びしている状況というのが得てして発生しやすいこのデッキにおいては、1/1のクリーチャーが2体並んだ所でブロックされるのがオチですし、このカードを使わないといけないという状況は文字通り負けが決まっている状況の方が多いでしょう。
チャンプブロック要因として使う事もできますが、このカードを使わざるを得ない状況って、大体手札に打つべき呪文がない時か、場にいるクリーチャーがゼンメツしている時なので、本当に1T生存するためだけの運用が殆どだと思います。
一番最悪なのは、緑信心対面ですね。
後半出てくるクリーチャーの多くがトランプルついているので、貫通されて終わります。
…というか、赤単バーンって基本的に伝説系のクリーチャーがいないので、そもそも土地を沢山引いてないと、この能力が使えません。(基本的に「反逆のるつぼ、霜剣山」を使う為に温存なんかしないので、大体置いてしまうし)
という訳で、「反逆のるつぼ、霜剣山」を使っている=呪文が引けていないor事故ってると同義みたいな感じです。
ただ、相手ターンにクリーチャーを出す事のできる能力は唯一無二という事は忘れてはいけません。
例えば、コントロール対面の場合、相手ターンのエンド時に起動することで、返しのターンでPWにダメージを与えるリソース源になったりします。カウンターに強いのは間違いないからです。
まぁ。不屈の独創力みたいなデッキですと、変換の種に使えたりするので、もう少し何か使える運用みたいなのがあるといいんですけどね、赤単バーンにおいては、正直「速攻」が付いている所を活かして、最後のダメ押しに使ったり、あるいは手札で腐ったパンプスペルをつける為に使う。くらいしかできないでしょうね。
「エンバレスの宝剣」みたいなカードと組わせて使うという手段も取れなくはないのですが…パイオニア環境において、4コスで「1/1 2体」が強いかというと、まぁ弱いかなぁ。
まぁ、という訳で「万が一」の時の考慮と「山よりは強いから」という理由で一枚採用しておきましょう。みたいな感じです。
6-6.「エンバレス城」
…このカードは正直採用しなくてもいいです。
「山」が場にあるとアンタップインというのは極めて優秀です。
そのため、山より強いという理由で採用したって別にいいんですが、特殊土地しか手札にない時というのが偶にあるんですよね。そういう時にかなり弱いです。
そういった裏目の部分を抱えながらでも採用する価値があるのかというと、まぁほぼないですね。
このカードを使うタイミングというのは、手札が枯渇していて、且つ自軍のクリーチャーが何体か盤面に並んでいるような状況…つまり「エンバレス城」を起動する事以外する事がない状況です。
が、そういうときって、大体相手の盤面の方が充実してたりするので、「パワー+1」でどうにからない事の方が多いんですよね…「僧院の速槍」の果敢とか乗ったら強かったかもしれないけど、起動能力なので、そんな訳もなく。
起動コストが「赤マナ2」だったら活躍する場面も多かったんじゃないかな~という一枚です。
という訳で、昔はピン刺し採用とかしていたのですが、現在のリストからは抜けてしまっています。要は、このカードを採用するくらいなら、他の特殊土地「ラムナプの遺跡」や「バグベアの居住地」を採用した方が強いので、タップインの可能性を増やすくらいなら入れないのが正解という判断になります。
6-7.「バグベアの居住地」
このカードは、現在の赤系ミシュランの花形カードです。
ラクドス系のデッキに大体、1~2枚程度採用されています。
4マナ起動で「3/2」のクリーチャーになる上に、1/1のゴブリンを生み出します。
とはいえ、基本的に起動できるのは5T以降となるため「3/2」というスタッツは正直物足りないのですが、ミッドレンジ系のデッキであれば、自分の展開しているクリーチャーと合わせた追加の打点役であったり、余ったマナの注ぎ込み先として重宝するので、最後のダメ押し枠としてかなり優秀です。
「ラムナプの遺跡」と「バグベアの居住地」を起動するために5マナが必要=赤単は土地5枚以上いらない
この理屈の元になるくらいには強力なカードですね。
また、特殊土地でありながら2Tまでにプレイすれば「アンタップイン」という条件が素晴らしいですね。実質ファストランドみたいな感じで気軽にプレイができるのが素晴らしい。
ただ、個人的には赤単バーンには不採用でいいと思っているカードです。
このカード自体の性能は、ラクドスミッドレンジ等に採用されていうように、マナが余った状態の時のダメ押しとして強いというのはだれしもが知る事とは思います。
が、赤単バーンがこのカードを起動出来る時、というのは、得てして相手の盤面が完成されており、このカードで殴ったところで勝てない状況が殆どです。
また、このカードの弱い点が、「致命的な一押し」と「冥途灯りの行進」に引っかかる所。
パイオニア環境における2台巨頭(ラクドス/アゾリウス)が持つ優秀な除去によって破壊された日には一たまりもありません。
こちらは手札0、相手は除去(1マナ)を打って1ターンしのいでいる。。。
つまり、たった1マナで追加ターンを与える行為になってしまう訳です。
また、アンタップイン条件が比較的緩めとはいえ、3ターン目以降、タップインという所も弱いです。
以前、自分が負けた試合で、手札に「神々の憤怒」と他の除去札があって、後土地を引けばマナが足りて勝てた試合というのがありました。
が、そこで「バグベアの居住地」をトップで引いてしまい、後1マナ足りなかった―という事件があって、結構トラウマになりましたね。
赤単バーンというデッキは、基本的に単色デッキなので、タップインという要素はあんまりないのですが「バグベアの居住地」を入れるという事は、その中にノイズを入れるという事になります。これは覚悟が必要です。
相手のライフを詰めに掛かる3ターン目にこのカードを引いてしまった場合、また土地がこのカード以外になかった場合、どう立ち回るのか、想定できるのであれば、採用すべきです。
が、それが出来ないのであれば、抜くべきカードだと僕は思います。
結局の所、このカードは赤単バーンのようなアグロではななく、ミッドレンジのような、勝負がある程度長引くような中速以降のレンジで輝くカードだと思います。
ですが、バグベアの居住地を採用して、勝っている赤単のリストも多数存在するので、このカードの採用・不採用については意見が分かれるという事は伝えておきます。
6-8.「棘平原の危険」
「棘平原の危険」は土地付きの「ショック」変形カードという立ち位置です。
痒い所に手が届く「何でも1点+追放付き」という器用さを持ちつつ、裏面がタップインの土地なっている、保証付きな所がいいですね。ただ、タップインの問題については、散々語っているのでむやみやたらに4投すべきかというのは考え物です。
「山」の代わりに入れるべきか?を問われる一枚でしょう。
このカードの真価は、ラスト相手のライフが1点の時に、絶対本体火力を引かないといけなくなった時ですね。
ここが「僧院の速僧」だった時は絶望するんですが「棘平原の危険」を引いたら嬉しいよねってことです。
また、残り忠誠度が1のPW、タフネス1のクリーチャーの除去に気軽に使えるのがいいですね。
火遊び等の本体火力は、出来れば相手の顔に当てたい事が多い上に、タフネス2のクリーチャーやPWの除去に使いたいんです。
そういう時に、このカードを先に打つことで温存できます。追放効果が付いているのもGoodですね。
赤単バーンが苦手な緑信心や白単人間において「マナクリ」「サリア」の除去にちょうどいいのがいいですね。赤黒についても「猫」の処理や、クリーチャー除去を使用したリリアナの除去など、腐る場面がありそうでない所が魅力です。
また、インスタントタイミングで打てるのも魅力ですね。
この性質を利用して、相手ターンに出されたクリーチャー・PWを除去することで、盤面を開けたり、速僧と組み合わせてコンバットトリック的に相手のクリーチャーを処理する時に便利です。勿論、果敢、絢爛との相性は◎です。
火遊びでクリーチャーの除去、このカードで本体1点、絢爛コストで衝動的ドロー、果敢が三つ乗った速僧でアタック!!
く~気持ちいいですね。できれば、緑信心みたいな死亡時誘発のあるクリーチャー達を他の除去呪文と併用して滅殺したい所です。
…とはいえ、一点の火力に過ぎないという点から、能力的にはショックの下位互換でしかない所であることは忘れてはいけません。
また、現況、タフ1の強いクリーチャーというのは限られているので、このカードが後半戦のノイズになる可能性は間違いないです。
また、裏面の土地が確定タップインというのは、基本的にアグロデッキにおいては致命傷だということは忘れてはいけません。(これはバグベアの居住地で述べた通り)
この点を勘案すると、便利な一枚ですが、このカードを厚く採用するのであれば、土地を下手らして「ショック」系呪文の採用を厚くする方が割りに合っているので「初手に絶対に1枚土地は引いておきたい」であったりとか、「土地を引きすぎて負けるパターンが多いので、最後のダメ押し枠として採用する」みたいな発想の元、ピン刺しをするのがベターだと思います。
赤単に採用される特殊土地の中では、かなり面白い特性を持ったカードだと思いますね。
という訳で、紹介してきましたが、実際、赤単バーンで僕が使用するなら「ラムナプの遺跡」が一番丸いという結論になります。
7.赤単バーンを構成するカード達(標準的なリスト)
7-1.リスト紹介(テンプレ)
という訳で、一旦ここまでで紹介したカードで標準的な赤単バーンのデッキリストを作成してみようと思います。(サイドカードはすいません許して)
https://www.hareruyamtg.com/decks/581175?display_token=8de37.98941f8002837d
僕はこのデッキで一度だけ、晴れる屋の大会でベスト8になりました。
(今の所、生涯でこれっきりなのでクッソ恥ずかしい限りではありますが…え? デイリーで勝ってないのって?? 一体なんのことやら)
という訳で、このリストであれば、そこそこ戦えるだろうというかわいい根拠の元、これをベターなリスト&これから話す最速赤単のベースとして提示したいと思います。
このデッキの、基本的な動かし方についてざっくり解説します。
1マナクリーチャー・エンチャントで打点を稼ぎつつ、2ターン目から「大歓楽の幻霊」を着地したり、絢爛、2コス系のカードを使っていって早々に勝負をつける事を狙います。
当時はキルムーブについてあんまり考えてなかったのですが、理想的な勝ち方は、
1T:「熊野」⇒1点ダメージ
2T:「大歓楽の幻霊」⇒(相手多分2点ダメージ)
3T:「熊野」
「速僧」+「火遊び」+「批判家刺殺」
「大歓楽の幻霊」⇒12点
4T:「巨人(踏みつけ)」+「稲妻の一撃」⇒5点
20点エンド
…みたいな感じを狙っていました。
また、ここに相手が文字通り2点ダメージをくれるショックランドなんかを置いてくれると、更に2点分ライフが詰まるので、相手がコンボ・コントロール系のデッキだった場合は、かなり相性がいいですね。
「大歓楽の幻霊」については、現在「強い」カードかというと、そうでもないのですが、このデッキを使っていた当時はイゼットフェニックスみたいな軽量スペルを連打するデッキが多かったので、かなり刺さりました。
あれほど言った「バグベアの居住地を」多く採用しているのは、土地が24枚構成のためです。これだけ土地があれば、初手にもしバグベアの居住地を置けなかったとしても致命傷にならないという所、また、4ターン目以降、土地が4枚揃っている状態になれば、基本的にタップインが怖くないという所から、強気の4枚採用ができます。
このデッキの場合は、願わくば2ターン目までにバグベアの居住地が引けたらアンタップイン、引けなかったら手札の土地や、衝動的ドローで引いた土地を置いて、最後の最後にタップインを狙えます。
そして、願わくばバグベアの居住地が起動するまでには、相手の場が更地であることを祈ったり、バグベアの居住地によって相手のクリーチャーをブロックされないかな~と願いながら、本体火力が引けるまで粘る訳です。
といった感じで、簡単な動き方について自分の見解を述べましたが、このデッキには沢山の問題点があります。
➀マリガンがしにくい
②除去に弱い
③絆魂という天敵
④3点火力が最大値
7-2.➀マリガンがしにくい
➀については、言わずもがなですが、赤単バーンは手札のリソースを全て使い切るデッキなので、できれば土地2枚、1コス5枚から始めたいものです。
ですが、そんなにうまくいくことなどなく、例えば、舞台照らし3、批判家刺殺3、土地1みたいな引き方をした場合、試合ができないので、マリガンをしないといけません。
ですが、ここでマリガンをするということは、赤単バーンの勝率を大きく下げる事になります。
マリガンはしたくない。でも最良の手札にしないと速度が出ないというジレンマが一番最初の壁になります。
軽い呪文が多いとはいえ、このデッキには疑似1コストなど、意外にも2コス以上のスペルがちょっと多いのです。
初手は熊野や速槍といった軽量呪文からスタートして、絢爛の条件を達成したりしつつ、相手のライフをあと1点けずれば勝てるみたいな状況に持ち込みたい訳ですが、現実にはそうはいきません。そこが悩ましい。
理想的な手札から始めないと勝てない。だが、マリガンの基準は難しい。
ここに「ハンデス」の要素が絡んでくると、更に厄介です。
あるいは、相手が白単人間だったらどんなに自分が気持ちよく回れる手札だったとしても、最低限「火遊び」や「棘平原の危険」などの1コスの除去がないと全ての計算が狂います。
といった、初手に求められる要求値をクリアしながら、理想的なドローができるか。に全てが掛かっているので、マリガンとどう付き合っていくのかというのは赤単が抱える問題点の1つだと思います。まぁ、どのデッキもそういう部分はあると思いますがね。
そういう意味だと、このデッキが切り捨てているルーティングという要素がかなり厳しくなっているのは間違いないでしょう。鏡割りの寓話の2章が強いのは、初手が土地だらけだったとしても、要らないカードだったとしても、捨てて必要なカードに交換できる点にあります。だからこそ鏡割りの寓話というカードは4ターン目につなぐためのリレーとして最強のサポートをしてくれますが、赤単バーンには、残念ながら鏡割りの寓話は採用できません。
初手から想像できる最高の20点削る為のゲームプランが立てられる状態かつ、相手のデッキの動きをケアできるハンド、最後にルーティングにたよらないトップでどうにかする運命力が揃った瞬間の爆発力はけた違いですが、現実的にはそうはいきません。この全ての問題が、ゲーム的に許されていてるマリガンというルーティングに詰まっていると考えると、中々深刻です。
7-3.②除去/ハンデスに弱い
これは何度も書いてきましたが、採用されているクリーチャーの全てが「致命的な一押し」で終わります。
このカードがなければ、どうにかなった場面というのは往々にしてありますが、そんな世界線はどこにもないですし、なければ、クリーチャーが強すぎる環境になってしまうので、文句を言ったところで致し方ありません。
また、これも何度も言っていますが、ハンデスに滅法弱いです。
このデッキの初手がいかに重要かという話をしたかと思いますが、初手から連想される、20点如何に早く削れるか?というゲームプランが、ハンデスによって削れれることは往々にしてあります。特にきついのが、相手が先行1Tに思考囲いをプレイしてきて、速槍を抜いてきた時です。
速槍が輝けるのは、コントロールやコンボデッキをぬくと、せいぜい2~3ターンが限度なのでこのカードを抜かれてしまうと、手札に、他の1コスのクリーチャーがいない場合、極めて厳しい状況においやられます。
また、相手が除去を手札に持っていた場合、あまった除去を熊野の裏面に当ててきたりします。こちらの行動なんか筒抜けなので、後はシェオルドレッドでもなんでも立てて終わりです。
相手からしたら1:1交換に過ぎないかもしれないのですが、赤単バーンからすれば、致命傷みたいハンデスって結構あるんですよね。
実は、ちょっと前に、赤単使いの方に初手キープの質について聞いた事があるのですが、ハンデスが入っている黒系のデッキを対面にする時は、敢えて土地多めでキープする事もあるそうです。
それくらい、赤単バーンにおいては、必須級のパーツを抜かれたくないし、抜かれた時ダメージを最小限に抑える事を考えた動きをしないといけないのです。
…結構、脳筋みたいなデッキと見せかけて実は考える事沢山あるんですよね…
まぁ、後、個人的には、思考囲いの方が強迫より嬉しいです。
実質ショックという事もあるので、相手からしたら多分使いにくいと思うんですよね。でも、強迫についてはダメだ。「舞台照らし」なんか抜かれた日には絶望です。
7-4.③絆魂という天敵
さっきから、ライフ20を起点として考える!
みたいな事をアホみたいに言ってると思うんですが、その理由はこれです。
MTGにはライフゲインという手段が無数に存在するからです。
これのせいで、MTGというゲームが、ライフ総量20点のゲームから、25点のゲームに変わっちゃいます。
こちらとしては、なんとしても相手にライフを回復されないように動きながら、20点削らないといけなくなるので、見た目以上の妨害になってしまってます。
また、赤単バーンが目のかたきにしている、白、黒、緑のデッキには、ライフを回復する手段が割と入ってしまっているのもきついですね。
一番嫌いなカードは「才気ある霊基体」です。
2/3というタフネスに加えて接死・絆魂ということで、確定で自分のクリーチャーを相手に取られる上に、ライフまで取られるのか…このタフ3が「火遊び」で焼けないのがきっついですね。
また、「墓地の侵入者」というカードは、②~③の組みあわせカードなので、本当に対処するのが難しいです。基本的に、こちらのデッキは対象を取るカードが殆ど占めていますし、そこにライフゲインがついてくるってなんやねんみたいな感じです。個人的には1:4交換くらいされてる気分ですね。
ライフゲインの種となるクリーチャーについては言わずもがなですね。
墓地に眠る「速槍」当たりを除外されて毎ターン回復されます。
白系の最大の天敵は天使デッキと、救出専門家です。基本的に赤単側は防戦一方にさせられてしまう上に、ライフ回復によって追加ターンを相手に与えてしまうという意味できついです。
救出専門家については、赤単のリソースが切れたところで、墓地に落ちたサリア等を復活しながら、絆魂で殴ってくるので手が付けられません。基本出てきたターンに処理できなかったら負けと思っていいでしょう。
7-5.④3点火力が最大値
「稲妻」の持つ、3点火力は強いです。
ですが、緑信心に代表されるような、タフ4以降のクリーチャーに対してはかなり厳しいということは忘れてはいけません。
また「稲妻」系のカードって本当は、本体火力に当てたいんです。
でも、それらをクリーチャーの除去に当てないといけないシーンって結構あるんです。それは、7-4で示したような絆魂持ちクリーチャーの除去に代表するような感じです。
そんな中で、タフ4以上のクリーチャーが盤面に出てくると、本体火力を2枚使わないと突破できないみたいな状況が出てきてしまうんですよね…
これがちょっと痛すぎる。
勿論、赤には、タフ4を焼けるカードあるんですよ?
でも、軒並み本体火力がないのです。
このデッキの神髄は一刻も早く本体火力で相手のライフをゼロにすることなので、正直デッキに除去って入れたくないんです。
マリガンのしにくさの話も含めて、自分のデッキにノイズを入れる事になってしまうのが、かなりつらい。
その点、緑信心はサイドボードの役割をカーンでになっていることから、メインもサイドもそれほどかえずに、毎回最大出力をぶつけてくるので、ちょっと羨ましいですね。
といった、絶対に除去しなければ勝てない、クリーチャーたちに対して、たった3点火力では何も出来ません。
残念な事に、通常の赤単ではサイドボードから本体火力を抜いて、除去に特化したカードを入れざるをえないのが現状です。
が、これはハッキリ言いますが、全てプッシュの下位互換なんです。
そんなカードを付け焼刃的にいれたとして、バンバン出てくる強力なクリーチャー1体は処理できるかもしれない。
でも、2体目は無理だという結論に致ると思われます。
8.ぼくが考えた最強の赤単デッキ(とりま結論)
という訳で、長々と文句を垂れてきたのですが、じゃぁ何がいいたいのか?という所を語る前に、デッキリストを提示しようと思います。
個人的な赤単バーンの結論はこちらとなります。
このリストが先ほど紹介したリストと違う点のは、下記カードの採用になります。
・「増員された浪人」
・「ヴォルダーレンの美食家」
・「稲妻の斧」
・「爆片破」
・「実験統合機」
この5種類のカードです。これらのカードを採用する事によって、赤単の問題点をケアしながら、安定的に、3T終了時に17点削る事を達成しようとしたのが、次回紹介する「僕の考えた最強の赤単バーン」になります。
という感じで、かなり最後尻切れトンボみたいなってしまいましたが、今回の記事は以上で終わりです。
次回は、このデッキの着想に至った思い出と、なんでこんなデッキが出来たのか、という事について解説したいと思います。
(2023/09/20 誤字、追加画像の添付、一部文章の追加実施)