ひひ

私を私たらしめるものたちは全て死んでしまった。
ただ彼の熱い眼差しだけが私をこの場に留まらせ私の身体が蒸発することを許さんとしている。

均等に並んだ電柱に沿って歩きながら、電柱と電柱のちょうど間あたりに居る爺さんにタバコをねだったが、私がまだ19歳と少しで20歳を迎えると知った途端に顔色を真っ赤にして私をその場から追い出した。

薄暗い街灯を舐める夜光虫になりたい。
背中から乳白色の羽根が生えた夜光虫になりたい。

行きたい場所なんてもう行けない様に、塗りたてのコンクリートに埋もれたい。ちっとも力を使わないように泣いたあの日、電柱と電柱のあいだを覗くと、タバコをプカプカして、タバコを私にくれなかった爺さんは強盗に刺されて死んでいた。

Love Me Tenderさん。

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