31日目

現実があまりにも眩しすぎて伸ばした手が焦げてしまったから、戻ってきた。向こうには行けなかった。

憧れや夢、希望なんか何にもはしごになってはくれなかった。少しだけ登っているうちにガタガタと音を立て崩れていった。足元が揺らぐ感覚は輪郭のない不安だ。足元からやってきて、どうしたって逃れられない、なす術がない、受け入れるしかない、逃げたい、逃げられない。深い霧に包まれる、その霧は晴れない、透けているのに見通すことができない。

あんまりにも眩しくて目が眩んだ。

イカロスとその父は、太陽に羽を焼かれながら何を思ったのだろう。もうすぐ手が届くはずのものからゆっくり、確実に自分が遠ざかっていく視界に何を思ったのだろう。


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