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農林中金、ゆうちょ銀と分かれた明暗

農協の本来の役割はモノの売り買いであり、信用事業の収益ばかりに頼るべきではなかった」。農林中央金庫が2025年3月期に最終赤字に転落する見通しとなり、東北地方の元JA組合長はこう振り返ったとのこと。

要約文

**農林中金(農林中央金庫)**:

- **課題**: 農業融資が思うように増やせず、2025年3月期に最終赤字に転落する見込み

- **現状**: 農協(JA)は信用事業(預金・融資など)が支えとなっており、経済事業(農業関連)の赤字を補填。

- **歴史**: 1970年代には資金運用の7割が融資で占められていたが、現在は貸出金の割合が18%に減少

- **戦略**: 主に外国債券に投資していたが、金利上昇で損失を被る

- **問題**: 日本の農業の衰退が原因であり、農業の競争力を高める努力を怠ってきた結果。

**ゆうちょ銀行**:

- **運用の変遷**: 民営化時には運用先の9割が日本国債だったが、現在は外国債券や投資信託に分散

- **戦略**: プライベートエクイティ(PE)ファンドなど多様な投資先を持ち、金利リスクを回避。

- **成果**: 外債の運用環境が悪化しても、PEが含み益を出して補完。

農林中金とゆうちょの類似点と違い

**類似点**:
- **市場運用**: どちらも大量の預金を市場で運用することで収益を上げる。
- **金融事業の役割**: 農林中金はJAを、ゆうちょ銀行は郵便事業を支える構造。

**違い**:
- **運用の多様性**:
 - 農林中金: 主に外国債券に依存し、金利上昇で損失。
 - ゆうちょ銀行: 外国債券に加え、PEファンドや不動産ファンドなど広く分散投資

- **業績への影響**:
 - 農林中金: 外債投資の失敗で最終赤字予測。
 - ゆうちょ銀行: 多様な運用で損失を補い、一定の利益を維持。

このように、両者は預金を運用して収益を上げるという点では共通しているものの、その運用方法や多様性、そして業績への影響に大きな違いがあります。

プライベートエクイティ(PE)ファンドとは?

プライベートエクイティ(PE)ファンドとは、簡単に言うと「特定の会社に投資して、その会社の価値を高めることを目指す投資ファンド」のことです。

具体的には、次のようなステップで進みます:

1. **お金を集める**:投資家たちから資金を集めます。この投資家たちは、個人や企業、年金基金などです。

2. **会社を買う**:集めた資金を使って、将来成長が期待できる会社を買収します。買収するのは、通常、株式市場に上場していない(非公開の)企業です。

3. **価値を高める**:買収した会社の経営を改善したり、効率を上げたり、新しい市場に進出したりして、その会社の価値を高めるためのサポートをします。

4. **売却する**:数年後に、その会社の価値が高くなったら、他の企業や投資家に売却して利益を得ます。

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