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梟月sideオルタストーリー兄視点閲覧⚠️🔪🩸

僕には双子の弟がいる。とっても優しくて可愛くて、どんなものよりも大切な弟。

僕らは生まれた時からずっと一緒。何もするにもずーっと一緒。

痛いのも、苦しいのも、悲しいのも、全部一緒。

「アンタ達なんて生まれて来なければ良かったのよ!アンタ達さえいなければ、私はもっとあの人に愛してもらえたのに…!○んでよ!今すぐに!アンタ達なんかもう見たくない!!」

母さんはいつも僕たちを見てそういうんだ。
この人は何をそんなに騒いでるんだろう?僕らが居ない方が良かったなら別に産まなきゃ良かったのに。馬鹿な人だなぁ。でももうこの人の声も聞き飽きたし、もういいかな。

「わかったよ母さん、今までごめんね。ここまで育ててくれてありがと。僕、涙奇と一緒なら怖くないよ。だからもう今日でお別れにしよ。」

僕はそう言って、台所にあった包丁を手に取った。
そして弟の涙奇を見てこういった。

「ねぇ、涙奇、涙奇は僕と一緒なら怖くない?僕と一緒に居るの好き?」

「え…?うん…兄さんのこと大好きだよ。兄さんは俺に優しくしてくれるし、俺の事よくわかってくれてるから。だから兄さんと一緒なら○のもの怖くないよ」

涙奇がそう言って僕に微笑んだ。
良かった、涙奇も僕といるの好きなんだ。じゃあもう大丈夫だね。涙奇一緒に自由になろう。

僕は包丁をしっかり握りしめ…母さんの腹を思いっきり刺した。血の匂いが辺り一面に広がり、母さんは床に倒れ込んだ。だけどまだ恨みがましく僕を見ていた。だから僕は何度も何度も母さんに向けて包丁を振り下ろした。なんとも言えない幸福感が僕を包んだ。

「!?兄さん…?!な、なんで…」

「んー?なんでって何が?」

「なんで…母さんを…?」

「だって、涙奇は僕と一緒に居るのが好きなんでしょ?それで僕も涙奇と一緒にいるのが大好き。でもこの人だけは僕らのこと嫌いみたいだったから、この場合邪魔なのはこの人でしょ?だから○んでもらおうかなって。」

僕は怯える弟に笑顔でそう答えた。
血塗れの包丁を床に捨て、震える弟の元へ歩み寄り抱き締める。

「これで僕ら2人きりだね、涙奇、大丈夫だよ。これからも君のことはお兄ちゃんが守ってあげるからね!何も怖がらなくて大丈夫だよ!」

「う…うん…。ありがとう、兄さん…(グスッ)俺も一生兄さんのそばに居るよ。絶対離れないし離さない。」

「ふふっ、嬉しい。これからもよろしくね大好きだよ、涙奇!」

「うん!俺も大好きだよ、兄さん!」

この物語は歪んだ感情を向けられ続けた哀れな双子の危うくも純粋な愛の物語。

𝓉ℴ 𝒷ℯ 𝒸ℴ𝓃𝓉𝒾𝓃𝓊ℯ𝒹