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梟月シャロンLast story②

Last story①の続きです。①未読の方は先に①をお読み下さい。以下本編⬇️


「死神にとって人間の魂の改変なんて行為は決して行ってはいけない禁忌、死神としての力を即刻奪われても文句は言えねぇ程の悪事だ。
シャロンにエンターテイナーとしての道を歩ませ始めた頃、俺はシャロンの事を見守りつつ、行き場を失って人間界を彷徨ってた。そんな折、俺はそこの小娘、アイリーンと出逢った。
アイリーンは死神の俺から見ても美しい娘で、踊り子をやっていた。まだ若い年頃の娘で街中の視線を独り占めしてるような女だったよ。」

「ちょっと、待って、さっきアンタにその頃の記憶を戻されて全て思い出したわ。
これ以上アンタに語られたくないから、アタシの愚行はアタシの口から言わせて頂戴。」

「そうか。好きにしてくれ。」

「とても美しい踊り子だったアタシは、その頃ほんとに色恋に対して盲目で馬鹿な女だった。
すぐに熱を上げて、その相手のことしか見えなくなるような愚かな女だったわ。そんな中アタシはアンタの正体も知らずに入れあげてしまったの。ホントに愚かだと思うわ。正体明かさなかったアンタもアンタだけど、ちゃんと"俺はお前とそういう関係にはなれねぇ。理由は言えねぇがお前の為だ"そう言ってくれてたアンタの言葉を聞きもしないでしつこく迫ったわね。
その頃からアタシは狂っていった。何年も何年もアンタの事を血眼になって探して、見つけ出してはしつこく関係を迫った。踊り子としての地位や名声も捨ててとにかくアンタに執着してたの。
そんな中でとうとうアンタは手に負えないアタシを醜い化け物の姿に変えたのよ。馬鹿なアタシが何を言われてもアンタの事を諦めなかったから。」

「そうだな。」

「そしてアタシはそこでようやく我に返ったの。こんな醜い姿になってしまうなんて。アンタはちゃんと離れようとしてくれていたのに一言も聞かないでしつこく迫って。恋に恋してた馬鹿野郎だって気づいて、とても自分を恥じたわ。
アタシがあんな馬鹿な事してなければ、ちゃんとアンタの言葉を聞いていれば、美しい踊り子のままで居られたのにととても後悔した。そうやって悲しみと後悔に暮れていた時、シャロン団長、アンタに出逢ったのよ……」


マリオネット・アイリーン(過去)の記憶編アイリーン視点Fin③へ続く……