見出し画像

メインstory プロローグ

【本編の前に】
・お話を読む前に前の方の記事にある設定系を読んで頂いた方が多少は物語が理解しやすいかもしれません。
・この話には2人の人物が登場しています。時系列は過去・現在・未来に向けての導入という形になっています。
・メインの語り部はシャロンではない、この物語の鍵を握る人物です。
・この物語はプロローグ(当記事)、物語エピローグへ向けて進展、エピローグの3部後世になっております。
・2作目、3作目の進展とエピローグに関しては別記事で投稿する「sideオルタ」編と共通の作品になります。(プロローグは2作品別のプロローグでスタートするが、その後1つの物語へ統合されていき、共に終わる構成になっています。)
・分かりにくいかもしれませんが理解不能も僕の世界観のうちですのでご了承ください。
・記されていない部分を好きに考察して頂いて大丈夫です。むしろ大歓迎。

【本編スタート↓↓↓】
梟月シャロン物語メインストーリー  プロローグ

「へぇーキミって○○なんだ。じゃあさ、ボクのお願い聞いてくれない?ほらボク、身体も弱くて、なんの取り柄もなくて、誰からも愛されてないじゃない?いつ死ぬかも分からない中、誰からも必要とされず生き続けるくらいなら早く終わらせてしまいたいなと思ってさ」

遠い昔、アイツはそう俺に笑いかけた。死にたがりの寂しがり屋。誰よりも優しくて、誰よりも温かいのに誰よりも恵まれていない可哀想で愛おしい奴。

「気がついたら僕は舞台に立っていたんだ。夜な夜な街を訪れて、観客と話をするという奇妙なサーカスの舞台に。周りには沢山のマリオネットが居て、それらを自由に創り出すことも、自らの姿を変えることも出来た。サーカスの仕事はとっても楽しいし、魔法を使えるのもとても便利だから自分が自分じゃないようで少し不気味だけれど今の生き方自体はとても気に入っているよ。」

僕の過去を問いかけてきた観客に、笑顔でそう答えた。日々楽しく暮らしているけれど、どうも違和感がある。僕は一体何者なんだろう。昔のことは何も思い出せない。ただこの悠久の時の流れに一抹の不安となんとも言い難い気持ち悪さを感じている。
それでも僕は何かに導かれるように今日もまた仮面を被り舞台へ上がる。

「なぁ、俺はオマエを愛せていたか?オマエが心から欲しがってた愛を与えてやれたか?いや、こんなこと言われても困るよな。オマエは俺の事なんて覚えていないだろうし、今はオマエも俺の一部だもんな。俺はさ、不器用だし善良な心なんて持ち合わせちゃいねぇけど、何とかオマエを救いたかったんだよ。人として生きられなかったオマエの、その綺麗な心だけは守ってやりたかったんだ。なぁシャロン、今生きてて楽しいか?」

「うん。楽しいよ。僕が君の一部というのはよく分からないし、君のこと覚えていないけど、すごく懐かしくて温かい感じがするんだ。時々記憶がなくて怖いこともあったけど君のおかげで僕は生きていられたんだね。君は僕のことをどこまで知っているの?僕の無くしてしまった過去も知ってる?僕が何でサーカスをやっているのか、何故魔法が使えるのか、僕が一体何者なのか、君は全部知っているの?」

「知りたがりは良くないぜシャロン。確かに俺はオマエの全てを知っているよ。だけど俺はそれをオマエに明かすことはできない。オマエと俺の秘密の鍵を開ける時、それは俺達の最期の時だ。この世界に、梟月シャロンとしての人生にピリオドを打つ気になったらまた聞いてきな。その時にオマエと俺の全てを教えてやるよ。」

「そっか。わかったよ。まだ僕は僕としての人生を謳歌したいし、まだまだこれから沢山の出逢いがあるかもしれないし、もっともっと愛して貰えるように頑張りたいから、とりあえず暫くはこのことは忘れておくよ。僕らの最期の時が来たらちゃんと教えてね!」

そう言ってオマエはあの頃と変わらない優しく、寂しげな笑みを俺に向けた。

この物語は、不器用な俺から、最愛のオマエへ贈る真実と嘘と愛に溢れた不幸で幸せな物語。


続く…