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家族性地中海熱患者、「その他の診断書」で障害年金を受給する


春ですねえ。みなさまいかがお過ごしでしょうか。今回はタイトルまんまの記事です。もう結構前に障害年金の受給が始まったのですが、このまま忘れるに任せるのももったいないかな、と思って申請の際にやったあれこれについて記事にしてみます。
なお、後半部分に有料記事部分をつけておきますが、これは私固有のケースについての苦労話を開けっぴろげにするのはちょっと…という気持ちから、閲覧制限をつける気持ちで有料にしているだけです。読まなくても問題のない部分ですが、他人の苦労話がお好きな方や、より詳しい個々のケースが知りたい方、投げ銭を投げてみたい方には読んでいただけると嬉しいです。

なぜ「その他」の分類に関する障害年金申請について記事にしようと思ったのか

まず、私のスペックを紹介します。
・家族性地中海熱(以下FMF)患者。結構重症。
・自力で申請をして(社労士さんに頼まず)支給が決定済み
という感じです。
FMF患者の方は現在数千人(正確な数字は出ていませんが私予測では3000人以上)いらっしゃいますが、障害年金を受給している方はおそらくその数%といったところだと思います。
FMFで障害年金を申請する場合、診断書が「その他の診断書」というものを使うことになり、これに関する情報が障害年金に関する本を読んでみてもあまり紙幅を割いていないんですよね。そのせいか、厚労省から気になるデータが出ています。

「血液・造血器・その他」の給付率の低さ。

厚労省の資料(r03.pdf (nenkin.go.jp))からすると、新規の障害年金申請で「血液・造血器・その他」カテゴリで認められるのは、2級3級が大半のようです(より詳しく書くと、令和3年度決定分の「血液・造血器・その他」のカテゴリで基礎年金・厚生年金合わせて申請が5716件中1級が291件、2級が1621件、3級(これは厚生年金のみ)が2321件、非該当が1483件)。
厚生年金に当たる人はともかくとして、基礎年金の人は2級に該当しなければ、年金がもらえないということになります。ちなみに、上記資料によると、基礎年金の「血液・造血器・その他」カテゴリでの非該当率は45.1%、だいたい半数が非該当になっています。
比較のために言及しておくと、基礎年金全体の非該当率は約9.4%(申請数85167件中非該当8054件)、基礎年金と厚生年金全体を通して非該当率は約8%(申請数134720件中非該当10819件、ただし傷病手当金該当者は非該当者には含めていません)なのでとびぬけて非該当率が高くなっているのです。
……いやなんで??
考えてみると、他の障害カテゴリは基準となる数値や、これまでの人生における困りごとエピソードを言語化しやすいというのがあるのかな、と思い至りました。一方で、「その他」の病気は比較的数値化が難しい症状や、疾患の症状と本人が自覚していないケースもままあるのではないのかと考えました。
じゃあ、逆にその辺の部分を、ある程度文章化できれば障害年金って通るのでは?というのが私が考えたことです。しかもそれを自分でできればなおいい。
自分で障害年金申請をやってみようと思った時、「自分にできるのだろうか?」と不安に思われる方も多いのではないかと思います。それになぜか「難病は障害年金が認められにくい」といったことを書いている社労士事務所の記事なんかも見かけますし……(個人的には嘘だと思っていますが、統計上、ある程度信憑性があるとも言わざるをえません……)
別に社労士さんに頼んでもいいのだとは思いますが、聞くところによると、障害年金申請一般だと、6割超くらいは自力で申請ができるようなのです。つまり、頑張れば患者本人でも申請可能なのに、疾患がマイナー気味で「その他」くくりだから専門家に依頼「せざるを得ない」というのはなんだか納得がいかないなあと私個人としては思うんですね。
なので、「診断書の区分上はその他の疾患扱いだけど、他のもうちょっと先行事例がある疾患だったら自力で申請してた……」という方のために先行事例たる私が申請を通すために考えたことや戦略を記録として残しておこうと思ったのです。
Twitter(@Achsoooooooo)では鍵をかけている時にFMF関連の呟きをし、鍵を開けるときは消すケースが今の所多いので、フォロワー各位以外にも見られる場所を設けておくため、noteを利用することにしました。FMFを念頭においた書き方をすることが多くなると思いますが、それ以外の、その他の疾患に分類されるご病気をお持ちの方にも参考になる部分もあると思いますので適宜参考にしていただければ。
よろしくどうぞ!

自力申請、まず情報収集はここで!

私は社労士さんに頼むか、自力でやるかを結構迷ったクチではあります。結局自力でやったのですが、そうなると武器として使えるのが「日本年金機構の年金相談窓口(あるいはそれに近い名前の部署)」もしくは「市区役所、町村役場の窓口(あるいはそれに近い名前の部署)」です。一般的に厚生年金加入の方は年金機構で相談された方がいいそうですが、基礎年金でも年金機構を利用しても問題はありません。
基礎?厚生?なんだそれ?という方は年金機構の方に行けばいいでしょう。
とはいえ、いきなり押しかけてもダメなケースも地域によってはあります(まだまだ疫病の件もありますしね)。ですので、まずは予約相談をしてから行きましょう。申請を考えるのであれば、とりあえず行って相談してみれば何かは動き出します(途中でやめるのも自由ですし)。そんな訳でまずはGO!

予約相談について|日本年金機構 (nenkin.go.jp)

ちょっと待て、これは相談員の罠だ

相談を実際にしてみないとわからないのですが、相談員の方の知識はかなりまちまちです。ですので、相談員の方に正しくない情報を教えられたり、酷い仕打ちを受けるケースというのも残念ながらあるようです。
具体的には「あなた歩けるんだから障害年金なんて出ませんよ」といった類の対応です(確証のないレベルの話ではありますが、女性単独で話を聞きに行くと舐められ対応が増えるなんて噂も……?)。
そういうときは「うるっっっせええええええええ!!!!!」と怒鳴っておきましょう。心の中で。
だって国の定めた障害年金の支給条件(体調面)はこんな感じなのです。

障害厚生年金に該当する状態

障害厚生年金が支給される障害の状態に応じて、法令により、障害の程度が定められています。

障害の程度1級

他人の介助を受けなければ日常生活のことがほとんどできないほどの障害の状態です。身のまわりのことはかろうじてできるものの、それ以上の活動はできない方(または行うことを制限されている方)、入院や在宅介護を必要とし、活動の範囲がベッドの周辺に限られるような方が、1級に相当します。

障害の程度2級

必ずしも他人の助けを借りる必要はなくても、日常生活は極めて困難で、労働によって収入を得ることができないほどの障害です。例えば、家庭内で軽食をつくるなどの軽い活動はできても、それ以上重い活動はできない方(または行うことを制限されている方)、入院や在宅で、活動の範囲が病院内・家屋内に限られるような方が2級に相当します。

障害の程度3級

労働が著しい制限を受ける、または、労働に著しい制限を加えることを必要とするような状態です。日常生活にはほとんど支障はないが、労働については制限がある方が3級に相当します。

https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/shougainenkin/jukyu-yoken/20150401-02.html

「障害の程度3級」は厚生年金の方のみではありますが、少なくとも「歩けるお前、障害年金ねーから!」とはどこにも書いていません。
ですので、そういった対応をされた場合はその場では上記基準を持ち出すか、グッと堪えて後でクレームを入れて担当をチェンジしてもらうかしましょう。なので、事務所で貰った名刺は絶対に無くさずに持っておきましょう。(最初は和やかに進んでいても、終盤でクレームを入れたくなることもあります)
なお、クレーム先は、担当チェンジをすぐして欲しいならその事務所に、後々でいいなら
日本年金機構へのご意見・ご要望|日本年金機構 (nenkin.go.jp)
にクレームを入れると今後の業務改善がなされるかもしれません。
なお、私は「歩けてるから障害年金もらえないですよ」的なことは言われませんでしたが、不正確な情報で不利益を被る事態になったので対面ド直球にクレームを入れたところ、謝罪もないまま(えーだってしょうがないじゃん……みたいなノリで)担当者がチェンジすることになったりしました……怖かったんでしょうね……私がね……(しかし、チェンジ後の担当氏も不正確な情報を言ってきて前担当氏と同じ状況になりかけたので「マニュアルを見せてください」と言って、正しい情報を把握したりしたのでした。なお、この担当氏からも謝罪はなし……謝罪するなと一族の教えでもある方々だったのかもしれません)。

相談員への相談に意味があるのか?

相談員への愚痴大会の様相を呈してきましたが、相談する意味は大いにあると思っています。年金申請に関するおおまかな基礎知識を仕入れるという意味では、窓口に行くのが最も手っ取り早いからです。
しかし、相談員によっては知識にムラがある……そういう場合に障害年金申請に関する本(買ってもいいでしょうし、図書館などのアクセスが容易な方は図書館にも参考になる本が入っている可能性は高いです)やインターネットで年金機構や社労士さんのサイトの情報を拾えばかなり効率は良くなります。
ですのでまずは窓口へ、というのを私はおすすめします。

しかし相談員の舐められが怖い…という場合のあれこれ

おすすめされても、相談員の対応はガチャみたいなものだし、体や心もしんどいし、わざわざそんな無料ガチャ引きたくないよ、という方もおられるかもしれません。そういう舐められが怖い場合、SSRなダメ相談員(ダメ相談員なのだからSSRはおかしいかもしれません)をある程度牽制する方法はあります。
同伴者をつけるなども有効ですが、それが難しい場合(何せ、相談ができるのは大体平日昼間です)、あらかじめスマホなどで録音をしてもいいか聞いてもいいかもしれません。
勿論、黙って録音をした場合、ひどい対応があった場合の証拠にはなります。しかし、ひどい対応の抑止力にはならないのです。あらかじめ録音をしたいと言っておけば、やらかした際に上長にデータが渡って…などの保身が相談員側に働き、抑止力になるはずです。
ただし、録音を断られることもあるかもしれません。そのケースを想定して、年金事務所等に事前にアポイントを取る際の電話で「会話の録音がなされていたか」を確認しておくともしかしたらいいかもしれません。私が年金事務所にアポを取った際は「サービス向上のために録音をする」と言われました。この理屈が通用するのであれば、電話での会話はそちらが録音を一方的にしてくるのに、なぜ面談での録音はダメなのか聞けばいいのです。
なお「舐められ防止に録音したいです」と言っても許可が出ないかもしれないので録音を希望する際は、「ここに出席できない家族も内容を知りたがっていて、家に帰って一緒に検討したい」「社労士の先生に相談を考えているので、その際の参考にしたい」などと言っておけばいいでしょう。それでもやはり録音はNG(他の相談者の方の音声が入ってしまう恐れがあるからなどの理由が考えられます)、と言われたら録音を諦めるか、こっそり録音をして、舐められが発生したときの証拠にするかの二択になります。ここはご自身のお好みで、という所だと思います(他の相談者の方の音声が……という場合は場所移動や集音設定を工夫するなどの対応で許可が出るかもしれませんね)。
ちなみに、(他の相談者の方の音声が入るという事態を度外視すれば)相手の同意なく録音をすること自体は犯罪になる可能性は低いです(悪用してネットにばらまいたりしたら話は変わってくるかもしれませんが)。
そんな感じで、舐められもある程度は抑止できるかと思いますので、ご心配なようでしたら、先手先手を打っていきましょう。

どういう人が専門家(社労士)に頼むといいのか?

さて、この部分は社労士さんにとっては異論のあるところかとは思いますが、個人的な見解としては
・そもそも窓口相談に行くのがキツイ方
・窓口相談で話を聞いてもよくわからなかった方
・窓口で「書いてね」と渡された書類を書くのがキツイ方
・初診の病院が今はもうない、など求められた手続きに対して引っかかりが生じている方
・発症してから長い時間が経っていて、申請を失敗すると経済的損失が大きくなりすぎる方
・主治医が診断書作成に消極的な方
あたりは社労士さんに頼むのがいいのかな〜と思います。ちなみに社労士さんも色々なようで、「ややこしい書類(病歴・就労状況等申立書など)を書いてくれる人、くれない人」「お家まで来て面談してくれる人、ラインや電話、インターネットでのやり取りだけで完結させる人」「成功報酬制の人、着手金も払う必要がある人」など色々です。お願いする際はご自身のニーズに合った方を選びましょう。

障害年金申請を考えた時に陥りやすい罠

窓口に行くと、とりあえず必要書類が何かはわかります。その書類の中でも特に大切なのが医師が作成する診断書です。
ここで思い出してみてください。あなたは医師にご自身の体調を正直に伝えていますか?
めんどくさがったり、うっかり言うべきだったことを省略したことはありませんか? あれができない、これができないと言うのはなんだかカッコ悪いなあなんて思って、「できない自分」を見せたくなくてカッコつけたりしていませんか? 医師はこれまでのあなたの言い分をカルテにちゃんと記録していてくれていますか?
私は障害年金申請までTwitterで来る日も来る日も「障害年金」などで検索をかけてリサーチをしたのですが(ハッキリ言って趣味です)、障害年金申請を考えてらっしゃる方が主治医に診断書を書いてもらって、陥ってるケースが多いなあと感じたのが「診断書が実情を反映していない/実際より軽く書かれている」というパターンです。
これは、医者の方に全面的に非があるケースもあるでしょうが、同時に患者に非があるケース、どちらにも非があるケースもあるなと感じています。なので、患者側の非をなくして診断書を書いてもらうのが重要だと思います(これは社労士さんに依頼をしていたとしても一緒です)。
ごく当たり前の話ですが、医者は患者本人ではないんですよ。つまり「伝えていない場合、診断書に反映されていないのは当たり前」なのです。言わなくてもわかると医者に求めるのは求めすぎですので、言っておきましょう。

じゃあ医師に何を言っておけばいいのか?

困りごとを思いつく限り伝えればいい、といえばある程度その通りではありますが、障害年金申請の基準と関係のない困りごとをどれだけ訴えても年金がもらえる内容の診断書にはなりません(障害年金に詳しくない主治医の方の場合、情報をどう取捨選択していいかもわからなくてピントのズレた診断書になってしまう可能性もあります)。ですので、ある程度障害年金の支給基準を知っておく必要があります。(また、基準を知ることで、自分が認識できていなかった困りごとが存在していることに気づけるケースもありますので、これからの生活を送る上でも基準を知っておいて損はないでしょう)
医師が作成すべき診断書は「その他の診断書」というものです(今話題にしている分に関しては、です)。ネット上に書式があるので見てみましょう。

https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/todokesho/shougai/shindansho/20140421-16.files/08-1.pdf

https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/todokesho/shougai/shindansho/20140421-16.files/08-1.pdf

審査はこの診断書の項目12「一般状態区分表」の記載がどうなっているかでかなり決まってしまうとのことです。
具体的には

ウ 歩行や身のまわりのことはできるが、時には少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの

08-1.pdf (nenkin.go.jp)

にマルがあれば厚生3級(基礎の方は不支給)

エ 身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの

08-1.pdf (nenkin.go.jp)

にマルがあれば厚生/基礎2級

オ 身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの

08-1.pdf (nenkin.go.jp)

にマルがあれば厚生/基礎1級
という目安です( ア イにチェックの場合は基本的には不支給)。
勿論、ここのチェックが全てではなく、あくまで提出書類全体を通して結果が決まりますが、ここがある程度の目安になっているのは確かのようです。
したがって、申請を考える場合、自分がどこに該当しそうかを考え、それを裏付ける事実や困りごとを、診断書を作成してくれる医師に伝えていく必要があります。ここを意識して健康状態を伝えていられれば出来上がってくる診断書と実情のギャップがそうかけ離れることはないはずです(なお、当たり前ですが、該当しない重い区分に該当することにして嘘を伝えるのはダメですよ)。もっと具体的な要素については後述しますが、ひとまずこの枠組みで考えることを押さえておくといいと思います。

イメージをもってみよう

上で、障害年金の認定基準について触れましたが、あれだけではまだちょっとわかりづらいかもしれません。診断書を作ってもらうにしても、どういう診断書なら何級になるのか。そういうイメージを持っておきたい方もいるでしょう。
FMFを始めとする、自己炎症性疾患の患者の障害年金認定事例は、まだあまり多くないと推測しています(母数自体が少ないので)。「その他の診断書」を用いる疾患もそんなに多くはないのですが、その中でも、ある程度認定事例が積み重なっている疾患があります。それを見ることで、FMFや自己炎症性疾患、あるいはそれ以外のその他の診断書を用いる疾患が障害年金を受けられるか否かの指標になるかと思います。というのも、障害年金制度の公平性の観点から、Aという疾患と、Bという疾患で「症状が同じであるなら」同じ認定になるはずなのです(ただし同じ症状でもA疾患は長引くけど、B疾患は比較的すぐ治るという場合は除きます)。したがって、他の疾患の症状が記載された診断書が参考になるはずなのです。
FMFや自己炎症性疾患、その他の診断書に属する疾患にそんなのあるの?と思われるかもしれません。あるんですね、これが。
化学物質過敏症、線維筋痛症、脳脊髄液漏出症、慢性疲労症候群の診断書の記載例や認定事例等|日本年金機構 (nenkin.go.jp)
が参考になります。
FMFの症状は、発熱以外ですと上記ページの中からいえば、化学物質過敏症、線維筋痛症、慢性疲労症候群などが近いように感じています(人によって似ている度合いに差はあると思いますが)が、線維筋痛症は診断書の形式が異なっていますので、他2つの疾患の診断書の方がより参考に値すると思います。
たとえば、慢性疲労症候群で2級認定された方の診断書の裏面をみてみます。

https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/todokesho/shougai/shindansho/2021040101.files/08.pdf
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/todokesho/shougai/shindansho/2021040101.files/08.pdf

⑮の「自覚症状」に色々書いてありますね。全て一緒ということはないかもしれませんが、重なる部分があれば、それを医師に訴えて診断書に反映してもらうようにする、といったやり方をすればいいんです。「倦怠感が強くて台所仕事を少しするために立っているだけでその後寝込んでしまう」というように。
人の診断書を見ることで「そういえば、こういう症状、私にもある!」となることもありますので、参考に色々見てみて、診断書に反映してもらえるように医師に報告しておきましょう。個人的には⑧⑨⑩⑮⑯が特に参考になると思います。
この程度の記載があれば、○級になるのだ、ということが分かっていれば、ある程度は確信をもって医師に現状を伝えられるのではないかと思います。病名が違うし…と思わずに、大いに参考にすることをお勧めします。

診断書⑫の「一般状態区分表」の話

さて、症状として伝えるべき要素などは他の疾患の診断書を見ることで参考にすることが出来ますが、まだ問題はあります。序盤、「血液・造血器・その他」の疾患は特に障害基礎の方の年金支給率が低い、という話をしましたが、ここから、2級の基準となる

エ 身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの

08-1.pdf (nenkin.go.jp)

に該当するのであれば、絶対に甘い診断書を書かれては困るという点を自覚しておくほうがいいですので、ここに関する補足をしておきます。ここのひとつのポイントは「日中」という表現です。
ここの記載については、年金事務所職員を通じ、厚労省に問い合わせをした際に言われたのですが、この「日中」というのは「多くの労働者が働いているような時間帯」のことを指すのだそうです。イメージとしては「朝9時から夕方の18時まで」といった感じでしょうか(勿論8時~17時や10時~19時という発想もあるでしょうが)。ですので、その時間帯に50%以上就床(寝込んでいる)状態ならここは該当するということになりますし、日中の定義に当てはまらない(例えば)18時以降の就床についての話は想定していないそうです。
つまり、9時から18時の間に(労働者の休憩時間を除いて)50%である4時間以上寝込む状況がある場合は、ここに該当していると言えます。該当している場合は、医師に「日中も寝込んでいます」といったことを伝えればいいんですね。他にも、FMFや自己炎症性疾患の方々は発熱する時間帯というのが結構決まり切っている人もいますので、その場合は、その時間帯を伝えて、「この時間帯は確実に寝込んでいます」といった感じで伝えるといいでしょうね。ちなみに「エ」の「日中」は上に述べた通りですが、「オ」の

オ 身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの

08-1.pdf (nenkin.go.jp)

「終日就床を強いられ」の「終日」というのは「24時間」のことを指すので、実は「エ」と「オ」の間にはものすごく差があります。
ここまで書くと、これだけしんどいのに、働いてたら基本的に障害年金2級は無理ってことでは?!と思う方もおられると思いますが、そうでもない、という話を以下でしていきます。

働いていたら障害年金2級は受給できないのか?

「障害年金2級は働いていたらもらえない」というのも障害年金の申請を考える人に蔓延している代表的な誤解だと思います。
私が軽く(Twitterで)探ってみた感じ、週5フルタイムくらいなら障害年金2級受給者はおられる印象ですね。ただ、診断書の書き方、その前提となる病状の伝え方がまずいと不支給になることも当然あるみたいです。
重要なのは、なぜ働けているのか、というのを伝えることです。
これがないと、医師は(でもこの人、働いてるって言ってるし、あんまり悪い状態で診断書書くとこっちの信用性が疑われるよな)となるのです。なので、ここは絶対にきちんとコミュニケーションする必要があります。
仕事がそもそもリモートワークだとか、職場からの配慮を受けているだとか(受けているならどんな内容の配慮を受けているのか)、家族からの支援を受けているだとか(受けているならどんな内容の支援を受けているのか)、仕事の後の体調など、この辺を伝えるのがとても大事です。
逆にいうと、上手に伝えて診断書に反映してもらえれば、フルタイムで働きながらでも障害年金を受けられるので、経済的にはかなり助けになりますね。
という訳で、働いている場合は医師に受けている支援を伝えるのがとても大事になってくるので、ここをもう少し掘ってみます。

家族からの支援について

職場からの配慮、というのは職種によって全く話が違ってくるので割愛するとして、家庭での支援についての押さえておくといい考慮要素を挙げておきます。この点は、書式は違いますが、精神障害の診断書が参考になります。これですね。

https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/todokesho/shougai/shindansho/20140421-23.files/04-1.pdf
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/todokesho/shougai/shindansho/20140421-23.files/04-1.pdf

障害年金制度の支給基準はどの疾患でも究極の所では同じなので、客観的な状況が同じなら、結果も同じになるはずです。精神障害は内部障害とは異なりますが、FMFや自己炎症性疾患のように不調を数値等で示しにくい(自己炎症性疾患群は炎症反応などはありますが、それですべての不調が定量化されたわけではないですよね)という点で共通していますので、ここに書かれている事項に沿って受けている支援を書いていくのは有効です。
具体的には裏面の(1)適切な食事、(2)身辺の清潔保持、(3)金銭管理と買い物、(4)通院と服薬、(5)他人との意思伝達および対人関係、(6)身辺の安全保持及び危機対応、(7)社会性などの項目があります。なお、ここの項目の多くは障害年金の申請者自身が作成する必要のある「病歴・就労状況申立書の裏面日常生活状況とかなり酷似しています。診断書で書くか、ご自身で書くかという位置づけの違いはありますが、この点を障害年金支給の考慮要素にしているという点は共通しているので、やはりここの部分に焦点を当てて支援を伝えるというのは有効なのではないかと思います。なお、精神障害の方の診断書を参考にするのは、病歴・就労状況申立書には書かれていない、記載上の考え方が記されているからです

例えば精神障害の診断書裏面

2 日常生活能力の判定(該当するものにチェックしてください。)

04-1.pdf (nenkin.go.jp)

という項目の下にこういう注釈があります

(判断にあたっては、単独で生活するとしたら可能かどうかで判断してください。)

04-1.pdf (nenkin.go.jp)

この点、非常に重要な仮定なのだと思いますが、病歴・就労状況申立書の方には書かれていません。なぜでしょうね?
けれど、年金事務所職員に問い合わせたところ、(精神疾患に関する診断書と同様に)単独生活を念頭において回答するという点は異なりませんでした。
そして精神障害の診断書はこう続きます

(1)適切な食事―配膳などの準備も含めて適当量をバランスよく摂ることがほぼできるなど。

04-1.pdf (nenkin.go.jp)

めちゃくちゃ重要な記載では?!と思うのですが、これも病歴・就労状況申立書には書かれていません。
ここからわかることは、食事というチェック項目は一見「食べるシチュエーション」だけを考えて、(まあ、噛んで呑み込めるし自発的にできるかな?)と考えてしまってはいけないということです。
例えば、食事の支度や配膳を家族に任せてる場合は「1 自発的にできた」にチェックを入れるのは絶対におかしいです(一人暮らしだったら家族が食事の支度や配膳をしてくれることもない訳ですから)し、医師には「体がきつくて、食事の支度はできません。家族に任せっきりです」といったことを伝える必要があるわけです。
という風に、精神障害の方の項目を参考にすると、かなり支援の内容なども言語化できるかと思いますので、参照することをお勧めします(それでもわからない場合には、相談員の方などに聞くといいと思います)。
ちなみに、一人暮らしの場合の方も「ヘルパーさんに食事作りを任せている」「食事はもっぱら冷食や宅配、出来合いの総菜で済ませている」場合はそう書けば、食事の項目が自発的にできたとはいえなくなるという話でもあります。
こんな感じで、「働いていられる理由」「生活を送れている理由」を伝えていくと、(そうか、この患者さんは色々できないことがあって、それを周囲がフォローして生活しているのだな)という認識になり、必然的にご自身の状態に合った内容の診断書ができるということなんですね。
あ、精神障害の診断書を参考にするといっても、ご自身の状況と全く関係のない部分は別に無理して触れる必要はないです。あくまで、自分にとって支援を受けているなどの判断材料になる部分を取り出して使えばいいと思います。

医師に伝える際の伝え方

こんな経験はありませんか。「言っていることは間違っていないんだろうけど、なんか言い方がムカつく!」というような(笑)。
人は感情がある生き物ですので、医師にご自身の状況を伝えるにしても、伝え方というものも無関係ではないのではないか、というのが個人的な意見です。
例えば「障害年金を受けたいけど、基準がこうなってて、私の状況がこうだから、こういう診断書を書いてクレヨン」と言ったとしたらどうでしょう。「なるほど、わかりました」となる医師もいらっしゃるでしょうが、いくらクレヨンとか可愛く(?)言ってみてもそうはならない医師も結構な数おられるのではないかと思います。(この人、障害年金欲しさに、基準に自分の体調をこじつけてものを言っていないか?)などと疑念を持たれるのは医師と患者の信頼関係において大きくマイナスになることでしょう。ですので、医師に健康状態を伝える際は、障害年金の基準のことは露骨には匂わせない方がいいかと思います。
なので、可能であれば、障害年金の申請を切り出す前に色々と健康状態のみを伝えておく方が医師との関係が悪くなりづらいのではないか思います(障害年金の申請にいい顔をしない医師というのは残念ながらいまして、申請を切り出したばかりに関係が悪化するケースもあるようですしね)。
そのためには、可能であるならば申請に余裕をもっておくほうが良いということだと思います。

「言う」だけではダメかもしれない場合

診察の際、患者が言ったことを医師が逐一カルテに書いていないな?と思ったことがある方もおられるかもしれません。こちらの話すスピードが速すぎたり、医師側のカルテに記録するスピードが話についていけていなかったり、そもそもそんなに大事ではないから記録に残す必要性なし、と医師が判断して情報が削ぎ落とされていたり。
しかし、本気で障害年金の受給を狙いにいきたい患者側としては、既に述べたような事柄については、「ふんふん(スルー)」では困るのだということはご承知のことと思います。
ですので、特に障害年金申請に絡むあれこれを伝えるときは、あらかじめ症状を紙に書くなどして、医師に渡すようにするとよいと思います。なお、紙には日付を入れておくのが無難かと思います。
また、FMF患者を始めとした自己炎症性疾患患者の場合は熱型表を付けているケースが多いので、それをより詳細に記載し、それを参照に診断書を書いてもらったり、他にも日記やTwitterに体調の記録があるのであれば、適宜それを利用して、ご自身の不調を伝えるようにすると、実情に沿った診断書になりやすいかと思います。いわゆるツイ廃で、ご自身の体調を逐一ツイートにして垂れ流している人の方が、診断書作成の際は有利になるかもしれませんね(笑)。

小手先テクニックについて

ここからは、小手先の話です。主治医の性格にもよりますが、診断書を軽く書かれてしまった場合に対処できるようにあらかじめ証拠を固めておきましょう。
ひとつに、症状を伝える際は、前にも書きましたが紙に書いておいて、それを医師に渡すこと。口頭でも伝えた方がいいですが、診断書ができた後で「こういう内容を伝えているのだから、診断書にこう書かれるのはおかしい」と言いやすくするためです(自分で言うのが難しければ、社労士さんに交渉をお願いした方が心理的な負担は軽いかもしれませんね)。なお、ここの書きぶりからもわかるように、診断書は必ずご自身の目で確認しましょう。封緘されていたとしてもです。絶対に確認せずに提出してはいけません(更に言うと、診断書のコピーを取っておくと役に立つこともしばしばあります)
ちなみに私の場合は、医師に渡す書類を全てPDFにした後で出力して同じものを渡していました。PDFにすれば、データ上は最終更新の日付が残るので、万一言った言ってないでもめた場合に有効かと思ってやっていました(結論からいうと全然揉めませんでしたが。が……)。
万一に備えて、診断書の書き方がわからない(から書かない、空白にしている)という場合には、先にリンクを貼った、慢性疲労症候群等の診断書見本等のコピーを持って行って、参考にしてもらうといいと思います(まあ、ここまでしないと書けないような医師はそうそういないでしょう)。
そうそう、忘れてはならない点についてひとつ言及しておきます。

医師は障害年金のスペシャリストではない

言われてみれば当たり前かもしれませんが、医師はあくまで医療のスペシャリストなのであって、障害年金のスペシャリストでは必ずしもありません(勿論、専門によってはお詳しい場合もあるでしょう)。
この状態が何を招くか、といいますと、障害年金についての知識に誤解をしたまま対応してしまうケースがありえるということなんですよね。「あなたは歩けているのだから障害年金は出ない」レベルの認識の方も中にはいらっしゃるようです(なんでみんなそろいもそろって歩けていていたら障害年金の対象にならないっていうんでしょうね?歩けるということは大事ですが、そのファクターだけがことほどさように大事なのでしょうか??)。
そういう場合はですね、「素人は黙っとれ――」と心に城島茂氏(TOKIO)を召還してください。多分、実際に言葉に出してしまうと、大乱闘スマッシュブラザーズが始まってしまいますので、あくまでクールに障害年金支給基準を示す(年金事務所等に相談に行くと、基準が書かれた冊子がもらえると思います)なり、社労士さんに間に入ってもらって誤解を解いてもらうのがいいと思います。他にも、社労士さんの書かれたウェブページなどを印刷してみせることで対処できるかもしれませんね。
ちなみに、私の主治医は結構な高齢で、障害年金についての知識はあったのですが昔から情報が更新されていなかったので「私も先生と同じような認識でいたんですけどね、しかし!な、なんと!!調べてみると最近は運用が変わってるそうなんですよ!」とテレビショッピングの販売員か?というレベルの調子のよさを披露して相手の顔をつぶさないように伝えました。茶番ですね。でもいいのです。これで主治医との関係が悪くならないのであればなんということはありません。
自力申請の助けになるものは沢山あります。が、最終的に自分で調べて判断しなくてはならないシチュエーションにしばしば陥ります。困ったら相談員さんへの相談、図書館等で障害年金関係の本を借りて読んでみる(あるいは買って読んでみる)、インターネットで検索して社労士さんや年金機構の情報を確認する、を徹底してください。めんどくさいですね!(社労士さんに払う対価というのはそういうめんどくさいをスキップするための料金なのだと思います)

病歴・就労状況申立書について(あっさりと)

これでお伝えしたいことは概ねお伝えした気がします。あ、病歴・就労状況申立書についてはあまりふれていませんね。まあこちらはインターネット上にいくらでも情報があるので、わからなければそちらを参照した方が余程みのりのある内容に仕上がると思います。私から言えるとしたら、診断書と矛盾しない内容で書きましょうということと、あと、よくある間違いパターンとしては、「○○で悲しかった」といったような「それ、あなたの感想ですよね?」はこの書面では求められていないということを肝に銘じておくといいと思います(苦しい、悲しい、つらい、という気持ち自体は障害ということを考える上で決して軽視されるべきものではないと個人的には思います。しかし、障害年金を受給させるか否かという審査においては、少なくとも「その他」の診断書に関しては、申請者の内心は関係がないと言わざるを得ないのです)。私の場合は発熱が何日あって、倦怠感による気絶が何回あって、というような数値面を細かく書いたりしました。

とりあえずまとめ

いかがでしたか?
これで「その他」の診断書でも障害年金をもらえるかも!という気持ちになっていただけたならこんなに嬉しいことはありません。
……とか言ってあれですね。長えんだよ、と途中で挫折された方の方が多いのかもしれません。ここまでで16000字以上あるそうですからね。
つたない文章をお読みくださった方、ありがとうございました。お疲れさまでした。ここがわからない、わかりづらい、という点がありましたら、Twitterからリプライを飛ばして頂ければ可能な限り対応いたします(DMはフォローフォロワー関係の方との間でしか送れない設定にしておりますので、どうしてもDMを送りたい方はフォローをお願いいたします)。Twitterの鍵はかけたり開けたりまちまちですが、リプライは届いておりますのでどうぞ常識の範囲であればご遠慮なく。

当然の話をしておきたいのですが、私は決して、障害年金の受給に値しないような健康状態の方に障害年金を受給させることを推奨している訳ではありません。不正受給、ダメ、絶対。
そうではなく、現状、受給できる状態なのにできていない方が多い現状に問題があるなあと感じているのですね。だって、世の中の障害年金に対するイメージって何度か書きましたが「歩けるなら受給資格なし」レベルの雑さなのですよ。
その言葉を真に受けて、日々苦しい思いをしておられるご病気の方、障害がおありの方のことを思うと、そういった妄言を流布する世相が許しがたいなあと思います。
ですので、私の経験や考え方ことが、少しでもどなたかの一助になればなあ、と思ってここまで書きました。そのことをどうぞご理解頂き、悪用などゆめゆめなさらず、受給できる状況の方には少しでも状況をよくするための参考として頂ければ幸甚でございます。

さて、以下は、私個人の障害年金受給記です。
ここまでのことを考えて実践したんだから、さぞスムーズに障害年金の受給に至ったのではないの?と思われる方ももしかしたらいらっしゃるかもしれませんが、そんなことはなかったですね……という話をしています(ただしやや特殊なケースだと思いますので、個別の障害年金申請の参考になるかならないかで言えば、ならないのではないかと思います)。
冒頭の繰り返しになりますが、私固有のケースについての苦労話を開けっぴろげにするのはちょっと…という気持ちから、閲覧制限をつけております。読まなくても問題ありません。他人の苦労話がお好きな方や、より詳しい個々のケースが知りたい方、投げ銭を投げてみたいというニッチな方向けの内容です。なお、この内容は誰にでもに流布したい内容ではないことから、返金設定は行っておりません。

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