見出し画像

2022年振り返り

新年明けましておめでとうございます。おかげさまで、旧年はLive Extremeにとって、技術的にも配信実績としても、着実に成長できた1年となりました。今回はこの1年を各ウェブメディアに掲載されたニュース・トピックとともに振り返ってみようと思います。


年間配信公演数の増加

2020年10月の初配信以来、Live Extremeを使った配信は通算68公演となっています(2022年12月31日現在)。1年あたりの配信公演数も年々増加しており、2022年は年間45公演を達成しました。

Live Extreme年間配信数

配信公演数が増加した背景として、知名度がアップしてきたこともその一因ですが、実は以下の2つが大きく影響しています。

4K配信への対応

放送サービス高度化推進協会(A-PAB)によれば、4K以上のテレビの普及台数は2022年6月末時点で約1320万台。これは日本の約5950万世帯(2021年1月1日時点、総務省調べ)の2割に相当します。Fire TV, Apple TV, ChromecastなどのSTBも4K対応が当たり前となっており、NetflixやAmazon Prime Videoのようなサブスク型の動画配信サービスでも4Kコンテンツが増えてきました。

一方、コンサートのライブ動画配信サービスでは、まだまだFHDでの配信が一般的で、4Kに対応した配信プラットフォームは限られています。

Live Extremeはサービス開始当初から、最大3840 x 2160p (30fps)でのライブ配信に対応してきました。2022年は音質とともに、この4K解像度でのライブ配信を目的にLive Extremeを選択して下さる方が多かった印象で、45公演中8公演が4Kでの配信でした。

ライブ配信拠点への常設

「業界史上最高音質のライブ配信システム」などと謳うと、何か特殊な設備が必要になるのではないかと思われるかもしれませんが、Live Extremeは、市販のWindows 10 PCで動作するソフトウェア・エンコーダーであるため、既に配信環境が整備されたライブ会場の場合、ソフトウェアを追加インストールするだけで利用が可能です。

2022年は、コルグ系列スタジオ以外で初めてLive Extreme Encoderが常設された年となりました。特に和歌山県の LURU HALL は「Binaural LIVE powered by Live Extreme」という配信サービスを通じて、毎月何本ものロスレス/ハイレゾ配信を提供してくれています。

高音質配信システムとしてのトピックス

Live Extremeはウェブ・ブラウザで再生が可能な唯一のハイレゾ音声対応ライブ配信システムです。ここでは"高音質"という側面から、2022年を振り返ってみます。

ブルーノート東京からの配信が実現

Live Extremeの発表当初より、ブルーノート東京からの配信は大きな目標でした。一音楽ファンとしても、この会場で演奏するようなアーティストは、圧縮音源ではなくロスレスで聴きたい。今年遂にその念願が叶いました。

2022年8月にジャズ・レジェンドであるRon Carter、10月には日本を代表するフュージョン・バンド CASIOPEA (P4) を4K映像 + 96kHzハイレゾ音声で配信させていただきました。開発者としては感無量の瞬間でした。

5.1chサラウンド配信スタート

近年、空間オーディオが注目を集めています。空間オーディオと言うと、ハイト・スピーカーも含めた3次元のスピーカー・レイアウト、またはヘッドホンでの視聴を思い浮かべますが、従来からある5.1ch/7.1chサラウンドであれば、ロスレス/ハイレゾ品質で、しかもPCウェブ・ブラウザだけで再生可能です。

Live Extremeでは、2022年1月に初めて5.1chロスレス配信を実施。1年で計4公演が5.1chサラウンド配信されました。特にコルグが配信管理で入ったdip in the poolの2公演は、ライブ時はステレオ・ミックスとバイノーラル・ミックスの副音声同時配信、オンデマンド時にバイノーラル・ミックスを5.1chサラウンドに差し替えるという、Live Extremeの機能をふんだんに活用した画期的な配信となりました。

オーディオ/楽器系イベント配信での活用

リアルのオーディオ・イベントでは、視聴室に設置された大型スピーカーで、新製品の細かな音の違いを聞き分ける機会がありますが、これをオンライン・イベントでAAC配信で再現するのはなかなか無理があります。

Live Extremeは昨年、2つのオーディオ・イベントでご利用いただきました。1つ目はオーディオビジュアル・プレゼンターの逆木一氏が主催する「Audio Renaissance Online 2022 Summer」で、Live Extremeの利用は2021年秋に続いて2度目。今回は初めて生配信を行いました。

2つ目は日本オーディオ協会が主催する「OTOTEN 2022」の2日間のセミナー配信で、こちらはLive Extremeの副音声配信機能を活用して、バイノーラル音声も同時配信しました。

どちらのイベントも、Live Extremeが提携している「eContent」の原盤利用オプションを利用し、CD音源を使った空気録音を合法的に配信しました。

電子楽器メーカー「KORG」としては、KORG, Roland, YAMAHAが参加するシンセサイザー・イベント「MARKS SYNTH GROOVE 2022」の配信にLive Extremeをご利用いただいたのも感慨深いです。シンセサイザーも各社が細かい表現力に拘って開発しているので、開発メーカーとしてはお客さんにできるだけ良い音声で届けたいと思っています。

オーディオ/ビジュアル・メディアの各賞を受賞

Live Extremeはエンド・ユーザーが購入するハードウェア製品やアプリケーションではなく、配信事業者が利用する裏方のソリューションに過ぎないのですが、ありがたいことに長い歴史を誇るオーディオ/ビジュアル・メディアの各賞を受賞することができました。

  • オーディオ銘記賞2023: 特別賞

  • VGP2023: 企画賞(4K/ハイレゾでブルーノート東京ライブを生中継するなど、高品位なライブストリーミング/アーカイブ配信への取り組みに対して)

  • 第38回 HiViグランプリ2022: 技術特別賞(「高音質ライブストリーミング技術『Live Extreme』の本格実用化」に対して)

評論家の先生方にお墨付きをいただけたことで、より多くの方にLive Extremeによる高音質配信をご選択いただけるのではないかと期待しております。

Live Extreme機能強化

Live Extremeは現在でもアクティブな開発フェーズにあり、常に機能強化されています。ここには、Live Extremeがソフトウェア・エンコーダーであるという利点はもちろんのこと、コルグとして現場で直接配信管理を行なっている経験が活かされています。以下に2022年に行なったアップデートから、代表的なものを紹介します。

音声のみの配信に対応

従来のライブ配信システムでは、音声のみの配信が想定されていないため、ダミーの映像もつけて配信するのが一般的でした。Live Extremeは2022年1月リリースのv1.6にて、音声のみのHLS, MPEG-DASH配信に対応しました。音声のみの配信時は、映像機器やキャプチャボードが不要となり、Windows PCとASIO対応オーディオ・インターフェイスさえあれば、すぐに8chまでのロスレス/ハイレゾ配信を実現できます。

この機能は、総務省の「タイ王国工業団地内におけるローカル5Gを活用したアプリケーションの実証試験」に採択された、日本工営とKDDIによる実証事業でも活用されました。

Direct ABR

2022年9月にリリースされたv1.8では、映像のadaptive bitrate配信にも対応しました。これは、低速インターネット環境しかないユーザーでもLive Extremeを視聴となるだけでなく、ライブ配信の高画質化も実現できる画期的な技術で、現在ではほぼ全てのLive Extreme配信で活用されています。

追いかけ再生

2022年最後のアップデートとなったv1.9では、「追いかけ再生」に対応し、ライブ配信中でも巻き戻し再生が可能となりました。セミナーやイベント配信に特に有効な機能で、2023年1月に開催される小岩井ことりのASMRレーベル「kotoneiro」2周年記念イベントより利用していく予定です。

まとめ

2022年は多くの配信を行っただけでなく、初めてLive Extreme単独でInter BEEにもブースを構えました。そこで様々な業界の方とお話しするうちに、2023年に取り組むべき技術テーマも見えてきました。

2023年も引き続き "進化を続ける配信システム" であるLive Extremeにご期待ください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?