ほしい自由はつくろう、自分の手で。 旅する可動産『モバイルハウスのつくり方』連載マガジン
どうも、荷台の夫 しうんです。
ここ最近暮らすように旅してるはずが、旅先で荷台に引きこもりがちな夫です。
旅しててどこでもドアのように、荷台の我が家にいつでも帰れる有難みを噛みしめるようになったのはつい最近のことです。
たくさんの試行錯誤を繰り返しながら、ここまでコツコツとDIYで動く小さな家を一人でつくり続けてきた甲斐がありました。
最近、竹による雨よけと縁側をつくりました。
ロフトベッドから見たモバイルハウス『ゆんゆん号』の室内でくつろぐ様子。
モバイルハウスとは?
アメリカでなんでも大きいほうが良しとされる経済発展の方向性に疑問を投げかけ、タイニーハウス(小さな家)に住んで、お金や時間のしがらみから解放され、自由で豊かに暮らす人たちが現れました。
タイニーハウスの中には、動かないタイニーハウと動くタイニーハウスがあり、モバイルハウスは動く小さなおうちのジャンルに入ります。
モバイルハウスのくくりだけでも、バンライフ(箱型の車を改造した家)、バスライフ(バスを改造した家)、トレーラーハウス(車で引っ張る牽引型の家)、コンテナハウス(船で運ぶ貨物用の金属箱を改造した家)、キャンパー(トラックの荷台に建てた家)と多種多様なタイプのモバイルハウスが存在します。
ようは車輪がついた何かしらの車体に建つ家の総称を「モバイルハウス」と呼んでいます。
日本では建築家で作家の坂口恭平さんがモバイルハウスの先駆者として有名で、従来の不動産という世界観に車輪をつければ“可動産”になって固定資産税を払わずに済む抜け道を考えつきました。
それから、ここ近年で軽トラの荷台に小さな家を建てた「軽トラキャンパー」がテレビや雑誌で取り上げられて注目を集めるようになりました。
田舎に行けば多くの人が所有する軽トラックを有効活用できるという点においても、日本に適したモバイルハウスだと思います。
なぜモバイルハウスをつくるのか?
モバイルハウスが従来のキャンピングカーとの明確な違いは、モバイルハウスは小さく暮らすことがテーマなのに対して、キャンピングカーは住まいとしてではなくレジャー用として使うものだという点です。
また販売されているキャンピングカーは軽トラキャンピングカーでも300万はかかるのに対して、手づくりのモバイルハウスはなんと約20万円(廃材ならタダ同然!)でつくることができます。ただし、お金がかからないからといって容易に手に入るわけではなく、自らの手を動かして作っていく時間と手間暇、工具を扱う知識、それに多少のお金が必要です。
最近はDIY(Do it Yourself)の日曜大工がテレビの企画などでもよく放送されるのをよく見かけますし、一般人の中でもお金で買うのではなく、あえて時間をかけて何か手づくりするのは楽しいことだという価値観を持った(お金より経験や体験を大事にする)人が増えてきていると思います。
そんな中、注目を集めるようになった手づくりのモバイルハウスですが、やはり小さな小屋レベルのDIYになるとハードルは一気に高くなり、興味はあるものの自分でいざやってみよう!と決心できる人はなかなかいないのが現状です。
現在わたしたちは、1トントラックの荷台にDIYで建てたモバイルハウス『ゆんゆん号』に夫婦で暮らしてますが、モバイルハウスをつくろうと決心した当初は、大工経験もなく、工具も何一つ持ち合わせておらず、知識ゼロの状態でした。
それでもなお、やってみよう!と決心できたのは、モバイルハウスを作ってどんな暮らしを送りたいかという夢やビジョンは明確に持ち合わせていたから最後までやりきれたといま振り返ってみてそう思います。
自分が思い描く理想の住まいとライフスタイルはどんなものなのか。想像して、完成後にモバイルハウスで実際に暮らしてる自分の姿をイメージしてワクワクすることが大切です。
ぼくの場合は、こんなコンセプトを元にして、ゆんゆん号を製作しました。
・住まいの概念を拡張し、生活に必要最小限のインフラとエネルギーを自給する
・家を借りるでも、買うでもなく、“旅する小さな家”をつくる
・小さく暮らし、最小限のミニマムな暮らしを実践する
・大きなシステムに依存せず、オフグリットな生活を実現させる
・旅するように暮らし、暮らすように旅する「現代ノマド遊牧民的暮らし」
など製作前からいっぱいイメージを膨らませて、それをノートに書き溜めていきました。
それから、こんどは出会う人や友人に自分がつくりたいモバイルハウスのイメージをとにかく話して聞かせて、夢を共有することで、自分自身に技術や知識がなくてもひょんなところから協力者が現れてくれることもあります。
実際ぼくの場合は、インドの空港で出逢った旅人にモバイルハウスの夢を熱く語り、そうしたらなんと彼が神棚をつくる木工職人で意気投合し、日本帰国後に工房を借りてモバイルハウス作りに協力してもらえることになった経緯がありました。
それから長野にご縁があって、セルフビルドの宿とレストランを運営しながら、農的暮らしを営む「シャロムヒュッテ」というコミュニティに居候させてもらうことになりました。シャロムオーナーの健二さんが自作した軽トラキャンパー「足るたる号」に住まわせてもらいながら、スタッフとして働き、空いた時間を見つけてはコツコツと裏庭で1トントラックキャンパー「ゆんゆん号」の製作に励みました。
実は当初、軽トラキャンパーを製作する予定で中古の軽トラをネットの中古車屋さんで約16万で買ったのですが、健二さんから「ディーゼルの1トントラックなら、軽トラより広く空間を作れるし、何より廃油で走れるように仕様変更できるからいいよ!」と助言されました。
その当時まだ1トントラックでさらに廃油で走れるモバイルハウスを作ってる事例がなかったので、これはおもしろい!と思い、買ったばかりの軽トラを転売して、ヤフオフで見つけたディーゼルの1トントラックをオークションで17万円で競り落とし、はじめてのオークションでまさかの車を買うことになったのでした。笑
その際に書いた記事はこちらをご参照ください。「軽トラキャンパーを超えた、廃油で走るディーゼルのトラックキャンパーづくりに挑戦します」
軽トラキャンパー製作ワークショップとキャンパーフェスを主催する。
ゆんゆん号を作りはじめた翌年には、大工経験ないド素人だった自分が、滞在先のシャロムで年間開催の「軽トラキャンパー製作ワークショップ」を主催する運びとなり、男女10名を超える参加者たちと一緒に毎月一泊二日で安曇野に集まって、計3台の軽トラキャンパーを半年間でつくり上げました。
ワークショップのフィナーレには、参加者が半年間つくってきた自身のモバイルハウスをお披露目できる場を用意したいと想い、日本全国の北は秋田から、南は沖縄まで手づくりの個性豊かなモバイルハウス合計22台が安曇野に大集合する「キャンパーフェス 2017」を開催して、大いに盛り上がりました。
そして今年2018年は、キャンパーフェスのさらなる次章として、いま新たな夢を見つめています。それは、可動産のモバイルハウスが集まれる村『モバイルビレッジ』をつくることです。
好きな時に、好きな場所で、好きな人と自由に多拠点で暮らせるコミュニティをつくりたい。
日本のモビリティカルチャーを再構築する。
日本人に宿る禅や、わびさびのミニマリズムと住まいを融合させた新しい住まい方として、不動産ならぬ可動産の移動可能なモバイルハウスの文化を日本に根付かせて、そして日本独自のタイニーハウス文化を世界に向けて発信していきたいと思ってます。
モバイルビレッジでは可動産の利点を活かし、モバイルハウスに乗って村民が旅するように暮らせる。そしてみんながオフグリッドで自立しながらも、自由に多拠点で暮らせる新しい村のあり方を提唱してます。
日本のあちこちにモバイルビレッジができて、みんなが自由に多拠点で暮らせる日々を夢みて、モバイルビレッジプロジェクトを進めていきます。
現在参加者1000人を超えた「モバイルビレッジ」のFacebookグループはこちら。
ほしい自由はつくろう、自分の手で。
ここまで、モバイルハウスによって人生が変わったぼくの話を長々と話してしまいましたが、このnoteの本題「モバイルハウスをつくりたいと願う人に、実際にモバイルハウスをつくってもらう」そのアクションを起こすところまでサポートしたいと思い、ぼくがゼロからモバイルハウスをつくるに至るまでと、これまでの試行錯誤の工程を、連載マガジン形式の有料noteで販売してみようと思います。
きっかけはツイッターで、
「モバイルハウスのつくり方」を有料noteで売ったら買いたい人いるかな?(10人以上いたらnote書きます!)
と投げかけたところ、思いがけず21名から回答があって、そのうちの14名が「それは買いで自分で作ってみたい!」と返答があったので、まずはこのnoteから書きだすことにしました。
連載マガジンの内容
連載マガジンでは、手始めにモバイルハウスをつくる前の心構えと基本。それから軽トラと1トントラックの規定範囲内でつくれる制限の違いをご紹介し、またつくる際に参考になる書籍や情報サイトをまとめてご紹介します。
これ以降は、各回に分けてモバイルハウスの製作プロセスを週1回ペースで連載していきます。お値段は550円です。
この連載マガジンを通して、モバイルハウスをいま本気でつくりたいと願ってる方、もしくは興味があっていずれ自分の手でつくってみたいと思ってる方に、自分の経験(たくさんの失敗の積み重ね)を共有することで、できる限りのお役に立てれば嬉しいです。
またぼく一人で書き上げるマガジンと言うよりかは、こんな情報が知りたいとか、ここはどうするの?といった皆さんがつくる上で知りたいことを聞いてもらって、双方フィードバックしながら一緒に一冊の「 #モバイルハウスマガジン 」を完成させていけたらなと思います。
さて、お話が長くなりましたが、最後まで読んでくださり有難うございます。
これからモバイルハウスをつくりたいあなたの手に、人生を変えるツールをお渡しします。
旅する可動産「15万円でモバイルハウスをつくろう!」
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初号:あなたの人生を変える「モバイルハウス」をつくる前の手引き
モバイルハウスマガジンはつづく