読書メモ:盛り場はヤミ市から生まれた

「盛り場はヤミ市から生まれた」橋本健二、初田香成 青弓社

ヤミ市とか遊郭のような、アンダーグラウンドな歴史やカルチャーってみんな好きで、単にノスタルジックに物珍しく振り返る対象にされがちである。そうではなく、都市形成史としてきちんと研究し、文献を残していく価値があると思う。
最後についているヤミ市研究の文献リスト、フィールドワークと資料研究からまとめためちゃ良い本。
ウィキペディア「ヤミ市」はこれを典拠に加え、加筆した方がいいなぁと思ったけど、言葉がでかすぎて、、、とても突っ込んでいく気にはなれない・・。名古屋の駅西もこうした形で本にならないかなぁ。

例えば、新宿のところでは、土地区画整理事業が始まると、ヤミ市は解体されていくのだが、露天商が協同組合をつくり集団で店舗をつくる、それが駅ビルになっていくという過程がいくつかある。そのように街の姿は形成されていったというところが面白い。
新宿西口のビル建設では、小田急、国鉄、交通営団、京王4社で協定が結ばれ、店舗は立ち退きになり、きれいに整理されていく。
それにも関わらず、思い出横丁は残っていたというのは、営業者が地主から土地を買い取っていたから・・
地主が持っていたら、ディベロッパーが入って、開発されてしまうところであったが、営業者が持っていたから思い出横丁は残った。
これって今の街づくりでも、同じような話をしていたなぁと思う。こんな街になるといいのにとか、街並を残さないと・・って夢見がちに語られるんだが、土地の利権取得というレイヤーのことで、夢を語ってもどうにもならないんだよね。
換地による土地の動きを復元とか、当時の写真や地図から、お店の見取り図を再現していたり、もう興味深くて楽しい本。


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