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Live2Dクリエイター紹介#12 無頼【たに なつみ】さん

こんにちは、Live2D noteです。
今日はLive2Dを使って活躍されている個人クリエイターの方をご紹介します。

今回ご紹介するクリエイターは 無頼【たに なつみ】 さんです。

無頼【たに なつみ】さんはLive2Dデザイナー、ディレクター、講師、イラストレーターとして幅広く活躍されています。

今回はそんな無頼さんにLive2Dデザイナーやクリエイターとしての大きな想いをたくさん話していただきました!Live2Dに留まらない内容になっておりますので、クリエイティブに関連する方やその道のプロを目指す方はぜひご一読ください。

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プロフィール

お名前:無頼【たに なつみ】

ご職業:Live2Dデザイナー、ディレクター、講師、イラストレーター

連絡先:yataya2000.burai@gmail.com

Twitterアカウント@BURAI_VC2008

個人サイトhttp://yataya2000.com/

――自己紹介をお願いいたします。

無頼です。2年半ほど前にWebエンジニアから独立し、Live2D、イラスト制作を中心としたフリーランスをしております。

Twitter等では「たに なつみ」として特に内容を定めずに何でもかんでも自由にありのままに活動しています。最近私を知られた方は「たに なつみ」の名前が馴染み深いかと思います。

Live2Dの活動内容やお仕事は
・「専門学校のLive2D講師」
・「アズールレーン 水着ホノルル Live2D制作」
・「Live2Dを使用した個人映像制作(fantia)」

をさせていただいております。

――Live2Dをどこで知りましたか。

Live2D社さんの導入実績の初期のほうにあるのですが
・[ましろ色シンフォニー あんどろいどあぷり]
・[MiraiClock3]
・[俺の妹がこんなに可愛いわけがない ポータブル]
の登場したころにLive2Dを知りました。

2011年くらいのことで、当時は「こういうものがあるんだなぁ」程度の印象でした。

――Live2D歴を教えてください。

2014年の夏ごろからだと思います。そこから数えるとそろそろ6年くらいですね。Live2D社主催の勉強会がPixiv本社であって、思い切って参加してみたのが最初になります。

お仕事で使い始めたのはその後少し経った2017年の春ごろです。

――実際にLive2D(Cubism)を使い始めたきっかけはなんですか。

先にあげたLive2D社主催の勉強会とは別にもう一つきっかけがあって「Pixivのうごイラランキング」に掲載されたことがきっかけでした。
Live2Dを使わない従来の紙芝居形式のGIFをつくって、Pixivに投稿していてそれがランキングに載っていい気分になったとき、ふと「そういえば…?」と思い出し、以降のうごイラ作品にLive2Dを使い始めました。

お仕事で必要になったから、最近話題だから、という理由は特になく、完全に趣味でLive2Dを使っていました。同人仲間やネット上で作品を見つけてくれた人たちに少しずつ応援されて、どんどん使い込んでいった感じです。

――どうやってLive2D(Cubism)を学びましたか。

当時発行された「Unity5+Live2D ノベル&アドベンチャーゲーム開発講座」(栗坂こなべ 著)を読んで勉強しました。
この本にはほんっっっっっっとに助けられました。何度も読みました。。。

私の初Live2D作品はテンプレートになんとなく当てはめるだけの動画で、とりあえず動いた…って感じのものでした。

次の作品は最初から作って顔の角度なり、体の回転なり、腕なり色々動かそう!と思ったのですが方法がわからず、当時はネットで調べても手順を丁寧に解説しているサイトや動画が見つかりませんでした。

そんなときにこの本では手順を含め、どうしてここではこの変形をするのか?などが理由を含めて丁寧に書いてあり、作品をつくる中で何度も見返したくなる内容になっていて、とてもお世話になりました。。。
(現在のバージョンより古いLive2D Cubismの情報となっている点はご注意ください)

また、当時のLive2Dの先人たちをTwitterでフォローし、情報を追いかけました。中にはクオリティの高い趣味モデルを配布している人もいたので、すぐに飛びついてくまなく研究しました。

と、こんな感じでとにかく夢中で学んでおりました。
元エンジニアということもあり、本を買って読んで学ぶ、ネットで調べる、といったことには慣れていたようです。

――Live2Dを利用した仕事を受注したきっかけがあれば教えてください。

私がお仕事のきっかけを掴んだのは、基本的に自分からのアピールが主になります。

企業でLive2Dデザイナーをしていた経験はなく、個人制作をしていて声がかかるといったこともほぼありませんでした。

なのでalive(※)に参加していた企業さんや、TwitterのLive2Dデザイナー在宅案件募集などに積極的に声かけをしておりました。
いままでnoteで紹介されている他クリエイターさんとは違うタイプで、割と泥臭めな感じだと思います。

※:Live2D社が主催する年に一度のカンファレンスイベント
alive 2019:https://alive2019.live2d.com/

その中で最初のきっかけは初参加のalive 2016でした。セッション後の質疑応答でとても熱心に質問をしていた方がいて、その人に興味をもってセッションの終了後に声をかけてみたんです。企業の方だったのですが、偶然にも自分が好きなゲーム「リトルバスターズ」のムービーを制作している会社で話題も合って話が盛り上がり「映像内のイラストを動かしてほしいというお話があるのですが…」といったことになり、それが初仕事になりました。美少女ゲームが好きで良かったです。

他にも、アプリ向けのLive2Dモデル、アニメーションのお仕事はTwitterで募集されていたLive2Dデザイナー在宅案件から経験しました。
・アニメ塗りで正面向き
・様々なキャラクターデザインの顔の角度XYを作る
・人間以外にも動物やモンスターなど
といったモデル制作で、幅広い種類のイラストを動かしました。

副業を始めたてのわたしにとってはちょうどよいレベルで、案件をくださった企業さんにはとても感謝しております。以降の案件ではここから腕を動かしたりなど、より高いクオリティが求められる案件に挑戦していきました。

お仕事を受ける前の私の技術力は、粗はあるものの「前腕を下から顔まで上げる、いろんな構図のイラストを動かす」くらいはできていたと思います。案件をこなして行く中で、モデルの粗が少しずつ消えていき「大体こんな作り方をすればいいかな?」という感覚的なことがわかるようになっていきました。

・デフォーマ構造の順番は?ここは回転のほうが良さそうだ!ここはワープデフォーマだろう!
・パラメータはデフォーマか?アートメッシュに直接か?
・デフォーマの格子やアートメッシュのポリゴンは均等に動かせばキレイに変形するんだな!
・あとから見直して、自分でわけわからない構造のモデルになってない?

など、あげたらもっといっぱいありますがLive2Dを使い慣れた工具のように、自在に適所で使うことができるようになりました。技術力をあげるのにお仕事はやはりおすすめですね。

――Live2D制作で得意なことを教えてください。

2つあって「イラストから描いて、動かし、実装まで一括に作れること」と「教えること」が得意です。

1つ目はもともと趣味でイラストレーター、本業がエンジニアだったので、Live2D作品の工程を一括で制作することができます。

直近で作った作品はコミケで頒布したもので「ARでLive2Dを楽しめる本」「Web SDKを使ったLive2D ICカードステッカー」を作りました。これらはイラスト・デザイン~実装まで制作しました。

なにかを「作品」として整えるときは必ず自分の知らない知識が必要になるものだと思っていて、特にLive2Dはその拡張性の高さから様々な知識が必要になります。私はそれを楽しむことができるようです。

コミケの頒布物を例にすると
・まずイラストが必要
・そしてモデリング、アニメーション
・アプリに実装、必要なプログラミングを行う
が必要になりますよね。それがすべてできるのが得意なところです。アプリを例として上げましたが、映像その他もたしなんでいます。

Live2D以外の個々のスキルは専門の人に比べると高くはありませんが、扱える道具や語れる分野が多彩な人として覚えてもらえると嬉しいです。

2つ目ですが、私は学校でLive2Dの講師もしております。学生のころに塾講師のアルバイトをしていた経験があり、人に教えることが得意です。

Live2Dを使いたい生徒の技術指導に加えて「実際のスケジュールと相談して…この日までにイラストを、モデリングは○体だからこの日までに終わりそうだね」といったディレクションのようなこともしております。

私自身色々作って遊んで(ときにはお仕事して)いるので、生徒さんからの個々の希望を聞ききつつ、その生徒さんが自身を伸ばせるような作品の提案、指導を心掛けています。

――Live2Dをやっててよかったことはなんですか。

3つあります。
・フリーランスとして活動するきっかけになって、夢がかなったこと。
・イラストレーターとしての付加価値がついたこと。
・絵がうまくなったこと。

1つ目ですが、実はフリーランスや独立といった働き方には子供のころから憧れがありました。Live2Dでフリーランスという生き方ができているので、今まさに夢を実現中ですね。

もちろん辛いこともありますが、この働き方だからこそできたお仕事のご縁もあり、充実した人生が送れています。

2つ目に、実力の高い人が多いイラストレーターの世界で「イラストを動かす」という自分の特技を手に入れられたことです。

比較的早い段階でLive2Dに出会えたことも大きく、これが2D Vtuberが流行り始めた2018年初期であったらだいぶ結果が違ったことでしょう。

3つ目は結果的についてきた、みたいな感じなのですが前より絵がうまくなりました!

Live2Dを触っている方であればなんとなく感じているかと思いますが
キレイにモデルを作るにはデッサン力がすごい大事です。

私がLive2Dを触り始めたときは、デッサン本や無料の3Dツールなどを必ず用意するようにしていました。

イラストのパーツがそれぞれ動いたときの形状(立体感)を意識するうちにイラストの方にもデッサン感覚が反映されていたようです。

腕の長さや太さ、体全体のバランスという基本のデッサンから、今流行しているイラストのテイストってなんだろう?…と。。。独自の感覚でなんとなく描いていたところに「理論」や「流行」が自然と入っていきました。それらを勉強することが楽しくなったのでしょうね。
 
今も大変お世話になっているイラストレーターさんに以前、「どうやったらイラストが上手くなりますか?」と聞いたとき、「無頼さんの描くイラストは○○さんという神絵師のイラストに倣ったものであって、人間を描いたイラストではない」という衝撃的なコメントを頂いたことがありまして、それだけLive2Dを触る前の私のイラストはデッサンが狂っていました。
 
今ではその方や同人仲間からとても絵がうまくなったね!と感想をもらえています。すごく嬉しかったです。

――Live2Dに関することで特に思い出に残っていることがあれば教えてください。

やっぱり作品に良い反応がもらえたときですね。

長く専門的に扱っていると忘れがちな感覚なのですが、絵が動いている、その絵を動かせることってすごいことなんだなぁって感じます。

特にリアルタイムモデルの作品、今だとARやティラノビルダーなどで作ったゲームって一般の人にものすっっっごくウケがいいんですよ。

TwitterやPixivで作品を投稿したり、コミケで作品を頒布したり、学校の卒業制作の生徒のLive2D作品の反応に聞き耳を立ててみると…「えっ?すごい動いてる!どうなってんの?」「知ってるこれLive2Dでしょ。すごー」「最高です」という言葉をもらえることが多くて嬉しいですね。

生徒の作品は自分のことではないんですが、なんか嬉しくなります。やめられませんねコレは。今はLive2D公式さんが映像の分野へ力を入れているので、まだ新しい反応がありそうですね。

あともう一つ最近だとクリエイティブな作品作りにLive2Dが手段として入っているのも記憶に新しいです。学校の卒業制作では昨年まで私のゼミの生徒さんだけLive2Dを使用していたのですが今年度(2019年度)は他のゼミの生徒さんも使用しているのを見かけました。

クリエイターの一般的な表現方法の一つとして広まったということでしょう。感慨深いですね。

――これからLive2Dを始める方へひとことお願いします。

1つに…【作品作りを楽しむこと】
なによりも大切です。Live2Dの技術そのものはあとからついてきます。

もし、つまづくことがあれば調べましょう。勉強のための情報は今たくさん整っています。わからないことは簡単に調べることができます。

公式マニュアル、書籍、ネット講座、Youtube講座、学校…それぞれ自分の目的に合う方法を選びましょう。どれもLive2Dの習得に大きな差はありません。

また、先人の経験も非常に参考になります。私含め他のLive2Dクリエイター紹介のnoteも読んでみてください。「これが私のなりたいクリエイター像だ!」という方を追いかけてみましょう。


2つに…【学習方法について】
王道なものかもしれませんが
・毎日のなんとなく過ごしてしまっている10分をLive2Dに当てましょう。
・Live2Dに「あなたの好き」をプラスしましょう。

です。

少しでもLive2Dを起動し、モデリング、アニメーションを作る。
地味ですが一番最強です。あなたのLive2D世界戦闘力はみるみる上がります。

そして継続するためにLive2Dに「あなたの好き」をプラスしてください。
好きな絵を動かす、アプリづくりが趣味だからLive2Dモデルを入れて動かしてみる…などなど色々ときっかけがあることでしょう。「あなたの好き」はLive2D制作のエネルギーとなります。

絵が描けない!という人はイラストレーターさんへ依頼しましょう。
モデルが作れない!という人は公式サンプルモデルを利用しましょう。

どうやって依頼すればいいのかわからなければ調べましょう、相手に相談しましょう。

3つに…【作品を世の中に公開し、仲間を見つけてください】
作品公開はTwitterとPixivが今おすすめの広場です。「Live2D」タグをつけて世の中に公開しましょう。出来は関係ありません。

これを継続していき、志を同じくする「Live2Dを学ぶ仲間」を見つけてください。

恥ずかしがっていてはいつまでも練習の筋肉しかつきません。投稿して本番の筋肉をつけましょう!一緒に頑張る、語り合える仲間がいるだけでモチベーションがかなり違うはずです。

――「どうしてもこれだけは言わせてくれ!」というお話があればお聞かせください。

私が今以上にLive2Dの可能性を見たいので、Live2Dの今後について個人クリエイターの目線でお話しようと思います。

Live2Dに限らず「技術」というものすべてに言えることでもありますが…
「あなたの得意 or 好き」で「とにかく行動を起こす」ことがLive2D初心者、経験者ともに共通して大切になると思っています。
その結果「作品を見る人を熱狂させる」ことができればベストでしょう。

Live2Dは数年前に比べて多くのデザイナーへ浸透しました。一般のユーザーも知っている人がいるほどです。経験者からすれば知名度が上がって楽しい限りです。

ですがこれは「Live2Dが使える」というアピールだけでは難しいフェーズが来たとも言えます。なぜなら、今やLive2Dの勉強がしやすく、情報を入手しやすい環境になり新しいクリエイターが生まれやすい状況になったからです。その中で自分のことをより尖らせて、存在感を示すフェーズに入っています。

「技術の知名度が上がり、情報を入手しやすくなる」ということは
裏を返せば「業界全体の技術力が高いレベルで平均化していく」といえます。

オンラインゲームの対戦をする人は「最近全然勝てない!みんな強い!」って思うことはないでしょうか?それはYoutubeなどで強いゲーマーの動画を見ることができたり、常にゲームのwikiが更新されて情報が共有されているからです。

まさにLive2Dもそのような状況になっています。私の予想ではLive2Dつよつよマンが一気に増えるだろうと思っています。というか現在進行系でそうなってきていますよね。。。

ならどうすればいいの?これから始める人はLive2Dは諦めたほうがいいの?
というとそうではありません。むしろ新しく学ぶ人にチャンスがあると思っています。こうするといいんじゃないのかな?という私の勝手な予想になりますが…
① Live2Dで得意な分野、こだわりをさらに伸ばす。
② Live2D以外の「あなたの得意 or 好き」を組み合わせて作品を発信する。
③ Live2D以外の技術を新規に習得する。

という道がLive2D経験者、未経験者ともにあるでしょう。特に②はこれから始める人が大きな可能性を秘めていると思っています。

例えば「イラストレーターで○○なコンセプトのイラストが得意です。Live2Dをはじめました」というタイプの人は得意な「○○なコンセプト」とLive2Dを組み合わせることで、オリジナリティあるLive2Dデザイナーを展開できます。「○○なコンセプト」の数だけ可能性があります。

「○○の二次創作を中心に活動しているイラストレーターです。Live2Dをはじめました」となれば二次創作の数だけ可能性があります。こうなるとほぼ無限になりますね。Pixivで検索してみると、たとえ有名な二次創作タイトルであったとしてもどれだけ数が少ないことかがわかるでしょう。

Live2Dが踏み込んでいない領域のほうがまだまだ大量にあります。
だから「あなたの得意 or 好き」にLive2Dをプラスするのが、特に未経験者におすすめなのです。

もちろん経験者の人も②の可能性を十分に秘めています。もし伸び悩んでいると感じたら改めて自分を見つめ直してください。
生まれてから今まで…どんな細かいことでも良いのでメモしてみましょう。

「得意 or 好き」以外にも、あなたの「性格」や「望む生き方」、「自然に生み出せるもの」もヒントになるかもしれません。
私の場合であれば「フリーランスという働き方に憧れていた」ということが様々なLive2D作品を生み出す動力になっています。

そして行動を起こしてください。
誰よりも早く、あなた自身がオリジナルとなりましょう。もし先人がいたとしても悲観することはありません。同じくLive2Dを学び、使う仲間を見つけたのですからね。

”あなたという世界に唯一の一人”× Live2D」でコラボレーションをするのです。そのコラボをどうやって発信するか?ということにじっくりと時間をかけてみてください。これからLive2Dを始める人、すでに経験者の人、全ての人からの発信を私は見たいですね。

今が一番早いのです。Just do it. です。
あ、忘れずに自分の宣伝するとLive2Dの制作全般、講師のお話やその他ご相談などありましたらぜひご連絡ください!
フリーランスで活動したい人の人生相談もお気軽にご相談どうぞ!

こんなことお願いしても、聞いても大丈夫かな?ということも、まず相談してくれたら嬉しいです!

――今後の目標をお聞かせください。

Live2Dに限らず「毎日とにかく試して、とにかく飽きて」面白いこと、楽しいことを追求していきます。
私自身もとにかく行動を起こしていきます。

Live2Dに関することであれば、パーツ分け、モデリング、アニメーション、組み込みなどなど…少しずつ自分のできることをこれからの世代に伝えていきます。

伝わりたいという人、募集してます。。。

―― 無頼【たに なつみ】さん、ありがとうございました!

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株式会社Live2D
広報担当:nishi

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