劇場版 少女☆歌劇レヴュースタァライト初見感想

※2023/07/07追記(今更!?)
初観賞後に勢いで書いたもので、密度の高すぎる映画だったこともありまだうろ覚え状態だったため、実際の内容・流れと違っている箇所があるかもしれません。

舞台少女の血肉となるのはトマト=キリン=観客(の喝采や反応)。自分の感想もまた彼女たちの血肉となるトマト。なれば、まっさらな状態で観た1周目の感想を、まだ覚えているうちに、2周目やアニメ版の履修の前に吐き出しておこうと思います。

ちなみになんでこんな仰々しい書き出しかというと、書き出し思いつかねー→とりあえず書きたいことぶち込んで後で手直ししよ→もうこれでいいや、という流れです。こういう文を書く上で一番難産な開幕を勢いで乗り切ろうという算段でしたてへぺろ。

[事前知識]

スタァライト自体は舞台・アニメ・漫画・ソシャゲのいずれも未履修。キャラの名前さえ全く知らない状態でした。

関連がありそうな作品としては、まずTwitterでよく挙がっていたエヴァをある程度。序→破→(数年)→Q→シン1周目→TV版21〜26話→旧劇→シン2〜3周目、というかなり歪なルートを辿っています(序破はほぼTV版1話〜19話のリブートらしいのでこうしました)。

後はシンデレラガールズのアニメ版も履修済。というかデレステの民です。舞台少女とアイドルは完全に同じではないにせよ相似する部分はある程度あるはず、という事前想定。

この2つを軸にして、多少は読み解ければいいなぁ、と思いながらあえてTV版未見で突撃。シンエヴァの時に旧劇未見だったけど「それも一興」と突っ込んでいったのと全く同じノリでした。

[冒頭]

🍅💥

↑で開始1分足らずで「!?」となる事態に。横たわる主人公ポジっぽい女の子(華恋)、凛々しく迫る相方っぽい女の子(ひかり)、疾走する謎のキリン、崩れ落ちる塔。「わかんないよ…」という言葉に深く頷き、「わかります」に「何が!?」とツッコミを入れ、脳内は早くも大パニック。よくわからんが何か凄いものが見れそうな気配だけはわかるという状態。

とはいえ思考停止にはまだ早い。わからないなりに文脈を追う。トマトの破裂は明らかに死のメタファー。「アタシ再生産」と合わせて、精神的・概念的な『死と新生』はありそう。必ず別れる悲劇、塔を降りる、というキーワードは『新たな門出』『安住の地を捨てる』みたいな展開を繋げてきそう。そうなると、アニデレ20話以降の話に近いものになりそうかな、と読んだ。

[レヴュー開始前]

ありがたいことに進路調査という体裁で主要キャラの自己紹介をしてくれた。初見勢への配慮であると同時に、『この映画でやるのは進路の話ですよ』と示してくれている。親切。華恋は空欄のままかなと思ってたらビンゴ。華恋にガンバリマスロボ状態の卯月が被りだす。ひかりが自主退学して海外に戻ったのは流石に予想できなかった(帰国子女なこと自体知らなかったし…)。

華恋とひかりのすれ違いすったもんだが主軸かなと思っていると、京言葉の子(香子)もなにやら不満を抱えている様子。電車の中でも他の子の進路や在り方に疑問を抱く子がちらほら。流石に全員掘り下げるか、2時間尺の劇場版だしなー。駅に着いた後、どんな風に話が動「列車は必ず次の駅へ。では舞台は? あなたたちは?」ん?  えっ???? は??????

[皆殺しのレヴュー]

唐突に出てくる衣装、変形する列車。まさかの日常パートからシームレスに異空間に突入する展開で再び頭に飛び交うハテナ。どうして無限列車編になっているのだ。これが突然おっ始まったことに戸惑う子はいてもこの異常事態・謎空間そのものに戸惑う子はいないので、恐らくこれがこの作品の平常運転。

ここでの主役はさっきまでニコニコしてた鳥っぽい髪型の子(なな)。『大場なな』なので通称『ばなな』とのこと。字面を考慮してこの感想では『なな』で統一する。ななは言う、「私たち、もう死んでるよ」と。やはり死と新生の話。新たな道に進む前に、この精神世界で自分の心に決着をつけ、舞台少女として生まれ直さねばならない。

「なんだか強いお酒を飲んだみたい」とななが繰り返したのに対し、真面目そうな眼鏡の子(純那)がマジレスにしても微妙にズレてる言葉を返したのは少しウケた。直後の血が噴き出る演出が「デデーン、アウトー!」にしか見えない。それに対して 「狼狽えるな、舞台装置だ!」と学年トップらしき子(真矢)が言うのもまた脱力してしまう。演出自体は全然ギャグではないはずなのに。

[怨みのレヴュー]

初手から何が起こっているのかが分からず頭を抱えるアタシ。いや、話の流れは分かる。さっき毒づいてた香子と、その相方らしきボーイッシュな子(双葉)の進路に関する痴話喧嘩だ。それはわかるのだが、何故かバーでの語らいになり、浮気の問い詰めじみた様相に。「これはお前のためでもあるんだ」ともっともらしいことを言う双葉に対して「本音晒せや、うっとうしなったんやろ」「表出ろや」とキレ気味に言う香子に、女ってこえーという気持ちになる。というかもしかしてこの2人そういう仲なの? そしていつの間にか場所はお寺の舞台に変わり、デコトラが向かい合う中で名乗りを上げだす2人。理解が追いつかない…! 

ワガママとワガママのぶつかり合いは、愛情を確認したかっただけであろう香子が折れる形で終幕。ラストの体勢がどう見てもおせっせなのでやはりこの2人はそういう仲なのか。たいへん豪華な百合痴話喧嘩、実に美味しゅうございました。

[競演のレヴュー]

「剣をぶつけ合いながらオリンピックをしていると思っていたらいつの間にか脱出ホラーになっていた」な、何を言ってるかわからねーと思うが(略) 

華恋の変調を知って戻ってきたひかりが、まひると対峙し、本音を引き出される話。対決というよりは華恋と向き合うための準備の意味合いが強かったと思う。女ってこえーPart2でもあり、向き合おうとせず逃げの一手なひかりにまひるがキレだす辺りからどんどんホラーチックになっていくのは怖かった。皆殺し→怨みと来て次は競演だから穏便な話かと思ったのに。というかよく考えたらこっちも痴情のもつれじゃねーか! 百合三角関係! 

[狩りのレヴュー]

今度は打って変わって王道バトル。追い詰められた純那が見失っていた『自分』を取り戻し、頼っていた他人の言葉を捨て、自刃を迫るななに「殺してみせろよ、大場なな!」と啖呵を切って身一つでガムシャラに立ち向かい、逆にななの弱さを暴くに至る流れはシンプルに熱い。ななが光を感じた星見純那という女は猛獣であり、「回り道して今は力を蓄える」なんて手堅い道を進むタマではなかったのである。

レヴュー中は一貫して露悪的で上から目線のやな奴だったななだが、レヴュー後に見せた姿が恐らく本来の性分なんだろう。そうじゃなきゃわざわざみんなに問題提起なんてしないだろうし。ところで短刀返してもらわなくていいの…?

[魂のレヴュー]

とにかくact.Ⅳに魂を打ちのめされ、語彙は尽く燃え落ち完全敗北を喫した。もちろん、これまでのダメージの蓄積やact.Ⅲまでの布石あってのことでもある。

メイン2人以外では恐らくこれが最後、真矢vsクロディーヌ。揃ってイケメンで、実に絵になる2人。戯曲『ファウスト』をモチーフにした舞台で華麗に戦っていた2人はしかし、真矢の象徴として顕現していた空っぽの神の器をクロが破壊してから、様子を一変させる。変形していく舞台の上で、感情を剥き出しにして言葉と剣戟を激しくぶつけ合う2人。先ほどまでの優雅さはカケラもない。言葉の内容はあまり覚えていないが、濃厚な百合告白合戦だったことだけは覚えている。「観客はそれ(感情に塗れた姿)が見たいのよ!」Exactly(そのとおりでございます). 

上がり続けるテンションは、決着前後で最高潮へと達した。「英雄には試練を」「聖者には誘惑を」「「私/あたしには貴女/あんたを!」互いに最後の一撃を繰り出す2人、その間に額縁が割り込む形になり、真矢の目にはクロの姿が1枚の絵画のように映る。「クロディーヌ、貴女は美しい…」契約が履行され、炎上する舞台。2人は互いを掴んだまま落ちて行く。 「私たちは共に、燃えながら落ちていく炎」 あまりにも、あまりにも言葉選びが見事すぎた。さらば語彙力。

[最後のセリフ]

愚直すぎた華恋。5歳の時から「約束」を目指してわき目も振らずに走り続け、恐らくTV版のラストでそれは果たされた。結果、約束が終わってひかりが去った時、約束だけのために生きてきた華恋は空っぽになってしまった。細部は違うが、やはりデレの卯月に近いものを感じる。

答えを見つけられず、約束の塔でついに華恋のトマト=命は破裂し一度は死を迎えるが、ひかりに本音を打ち明けられ、アタシ再生産して蘇る。この時点でも、はっきりと答えが見えていたわけではないだろう。ただ、空っぽだと思っていた胸に何かがあることに気付いた。だからこそ新生して光を放つことが出来た。その後の2人の戦いはきっと、華恋の感じた答えをはっきりと言葉にするための儀式。

対決自体は割とあっさり目だったが、この2人に重要なのは「再び舞台に上がるまで」だと思われるので、必然的に過程に重きを置く形になったということだろう。皆殺しのレヴューで舞台に立ってすらいなかったし。

[観終えた後]

これはリピらねばいけない、出来れば次はTV版を履修した後で、と強く思った。理解出来ていない部分は山ほどあるだろうし、単純にこの熱量を何度も浴びたい。特に魂のレヴュー。全部凄かったけど特にアレがブッ刺さったので。

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