函館の夜景
函館に旅行に行く前に、本当は卒論を終えておく予定だったけど、結局半分しか終えられなかった。背に腹はかえられぬということで、パソコンを持って行くことを覚悟した。そもそも行き帰りを新幹線にしている時点で、車内でパソコン広げる気満々だったなと思う。1ヶ月前の時点で書き終えられる気なんてしてなかったんだと思う。
函館に行く目的は何かと言うと、函館の夜景を見に行きたいの一つ。他に目的はなくて、夜景さえ見れればよかった。
1月13日(土)
函館前日。バイト先の社員さんに「明日北海道だよね」と言われ、いつだかに話の流れで喋ったことを覚えててくれたことに驚きつつ、自分もそうありたいなと思った。
1月14日(日)
結局オードリーのオールナイトニッポンを聴きながら徹夜で卒論を書き、朝方に適当に服を詰めた。一応コートと、手袋と、ネックウォーマーと、ニット帽を入れ、「かさばるなぁ。ムカつく」と思いながらの荷造りだった。
電車に乗り、数度の乗り換えを経て東京駅へ向かった。あと数駅というところで隣に座ってた人が自分の肩にもたれかかって寝始めた。駅に着くたびに起きて寝ている。席も空いてるし場所を移ろうかとも思ったけれど、北海道に行くが故の寛大な心で「まあ肩借りて寝ててくれや」と思いながらpeanut buttersのツナマヨネーズを聴いていた。
せっかくなら駅弁を買おうと思っていたのだが、普通に新幹線のホームに入ってしまい、適当にKIOSKでおにぎりを買うに留まった。確かネギトロと、鮭ハラミを買ったと思う。
東京から新函館北斗まで、約4時間。すぐさまパソコンを開いて卒論を書き始めた。大宮あたりに差し掛かった時、右前に座ってたマダムたちが駅弁と缶ビールを出し始めて、ノイキャンを貫通するほどの楽しげな会話をしていた。心の底から「缶ビール買えばよかった」と思った。しかもマダムたちプレモル飲んでやがった。羨ましい。
特に車内ではこれと言った特筆事項はなかったが、車内は空いていたし、青函トンネルに入る前にはご丁寧に車内アナウンスがされていた。
決して捗ったとは言い難い卒論に一度ケリをつけ、北海道に上陸した。
新函館北斗駅から函館駅の区間はICカード利用不可ということで、久しぶりに切符を買った。今思うと、記念に一枚余分に買っておいても良かった気がする。
函館駅を出るとすでに雪がチラついていた。おにぎりなんてとうに消化しているのでとりあえずラーメンを食べた。塩ラーメン良いね。
ラーメンを食べた後はホテルにチェックインし、天候的に望みは少ないが一応函館山に向かった。もちろん見れるわけもなく、2泊3日にしておいて本当に良かったなと思った。夜景が見れなかったこともあり、雨のちらつく函館を傘も刺さず徘徊した。家の近所を散歩する時は音楽やらラジオやらを聴いているけど、せっかく函館なら街の音を聞きたい。雪を踏み締める音があるだけで、気分は自ずと上がって行く。
流石に寒すぎるので一旦ホテルに戻り、後に予約しているお寿司屋さんの時間まで卒論を書きつつ時間を潰した。
路面電車で向かった先、湯の川にあるお寿司屋さん(大寿し)に向かう。堅苦しすぎず、男子大学生のペーペーが1人でノコノコ入っても受け入れてくれそうだった。
お通しのたらの料理が本当に美味しかった。人生で飲んできた出汁の中で1番美味しいのが多分あれでした。
特上寿司10貫、4400円。躊躇うことはなかった。なぜならここは北海道。もうほんと、一貫食べるごとに笑ってしまう。人生で初めてウニを食べたけど、あれやばい。
アサリのお味噌汁も飲みたくて注文したら、想像の3倍の大きさの貝でニヤけることしかできなかった。
北海道の日本酒の「五稜」の辛口、すごく読みやすくて、後に注文したお刺身がすすんだ。
最後、ネギトロ巻きをテイクアウトした。2200円もした。世界が違いすぎる。
お会計は11000円。これも悪くない。本当に良い誕生日だった。函館の夜景が見れていたら、昇天していただろう。
ホテルに戻る途中、凍結した歩道で滑って冷や汗かいた。
1月15日(月)
朝から雪。天気予報では夕方から晴れになっているが心配が勝つ。見れなかったらどうしてくれるんだ。
朝はミスドに行った。ドーナツが安い店舗がある、と見たことがあるから調べて行ってみた。3つもドーナツを頼んでしまったし、コーヒーもおかわりしてしまった。
席に着いた時、店内BGMがちょうど「Olivia Newton-John/Take Me Home Country Roads」でとても良い朝だった。
ミスドを出た後、せっかくなので五稜郭タワーにも行ってみた。
バイト先の人へのお土産を買いつつ、ホテルに戻ろうと歩いていたら、立ち飲み屋を見つけたので入った。
店主の方とお話ししながら、ビールを2杯飲んで良い気分。「どこから来たの?」とと言われて色々話していたら、「あたし3月にそこにライブ観に行くよ」「あそこにライブ会場あるでしょ」と言われた。そしてどうやら去年までお孫さんもその街に住んでいたらしく、下手したら大学同じだった可能性もあるなと思った。
予報では夕方17時に雪が止むとなっていたので、それまで卒論を書くことにした。
17時前、部屋の窓を開けたら雪が止んでいて、コートを着てすぐ部屋を飛び出した。見れる。ついに見れる。
ロープーウェイ乗り場まで行くと、昨日の5倍くらいの人がいて、ほぼ海外からの観光客の方だった。
山頂に着き、1段飛ばしで展望台へ登る。建物を出た先の極寒の中で目に飛び込んでくる夜景に、息を呑むとはまさにこのことだなと思った。これが見たかった。スカイツリーからでも東京タワーからでもしっくりこなかったのは、この夜景を見にくるためだったと言っても、過言ではないなと思う。周りの人がどんどん入れ替わっていく中、30分くらいただただ見ていた。
ロープーウェイを降った後、「星野源/光の跡」を聴きながら雪を踏み締め歩いた。
本当はジンギスカンを食べたかったけどどこも閉まっていたので、道中で見つけた居酒屋に入った。
ここで飲んだ「ましろ」という日本酒がとても美味しかった。あと、七輪なの最高でしょ。めちゃくちゃ温かった。
本当はもう一軒海鮮居酒屋にでも行こうと思っていたけど、思ったより満腹になったのでホテルに戻った。
1月16日(火)
気がついたら朝だった。なぜかエアコンが除湿になっていて寒くて目が覚めた。サッとシャワーを浴びて、チェックアウトの時間ギリギリまで卒論を書いた。
重たいカバンを背負い、塩ラーメンを食べにあじさい本店に行った。このお店、五稜郭タワーの目の前にあるので、ついでに寄っておけば良かったなと思った。(偶然見つけたあの立ち飲み屋も良かったけれど。)
腹ごしらえを済ませ、日本酒を買いにデパートの丸井今井へ。日本酒(五稜辛口と郷宝)2本と焼酎の飲み比べセットを購入。とてつもない重さに辟易とした。
その後、函館駅へ戻りコインロッカーに全てをぶち込み、新函館北斗行きの電車の時間まで、最後の散歩。
駅前にジンギスカンのお店があったので、お腹なんて空いていないけど食べに行った。
電車の時間を調べて改札を通るが電光掲示板に想定していた時間の表示がなく、よくスマホを見ると新函館北斗駅の時刻表を見ていた。改札を引き返すこともできず、極寒の屋内で卒論を泣く泣く進めた。地獄の40分だった。
無事に新幹線に乗る駅行きの電車に乗れ、指が体温を取り戻る頃に新函館北斗駅に到着した。
乗り換えに時間があったので駅前を散策したらきっしょいオブジェがあった。“すーしーほっきー”って名前らしいです。夜になるとシャリが光るらしいです。
行きの反省を生かし、ちゃんとビールを買ってから新幹線に乗り込んだ。
自宅の最寄駅に着き、死ぬほど重い日本酒を抱えながら歩いた。翌日右腕だけ死ぬほど筋肉痛だったのが不思議だったけど、普通に考えたら日本酒のせいだよな。
見たかった函館の夜景が見れて、心の底から満足です。楽しかった。
#398 函館の夜景
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