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【復路の足取り】

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“僕はこういう人だから”
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遠回り

 急に土曜日が休みになった。恋人に会いたいなぁと柄にもなく思ったけど友達と出かけちゃうらしかったので言うのをやめた。そもそも「言えなかっただけ」だけど。  ご友人との時間の邪魔するのが申し訳なくてLINEの返信を控えたりした。会合が終わったであろう恋人から「せっかく釜飯さん明日も休みだから会いたいな」と言ってもらって、自分の最寄りまで来てくださることになった。駅で合流したあと歩きながら、素直に「家来ますか?」という旨を伝えられればよかったんだけどそれがどうしても言えなくて、

四の五の

============  仕事終わりの飲みの後、もう四の五の言わないと決めて、「今日電話かけても良いですか?」と言って自らの逃げ道をなくしたはずだったのに、結局最寄り駅の2駅くらい手前で降りちゃって、なんて言おうかをすごく考えながらメモ帳に書き出してみたりして、翌日見たそれは穴があったら入りたいくらいで本当に不誠実だったけど、その言い訳をしたくなる気持ちを抑えるのに精一杯だった。  まだ勘違いの可能性があるんじゃないかってめちゃくちゃ考えた。  電話をかけたら、バイト

告白できなかった話

 昔に書いたnoteで「確定演出」という単語を用いたことがある。よくないワードチョイスだったなと思う。書いている内容もとても失礼で、自分本位でしかなかったなと思う。  元バイト先のとある後輩と最後のシフトの日、「なんで辞めちゃうんですか」と涙目になっていたように見えて、翌日にご飯に誘ってみた。自分の記憶では「明日ご飯誘ったら来ますか?」って言い方をしていて、良くなかったなと反省している。「このあと渡したいものあるんで」とバイト終わりに選別の品をもらったり、「LIVE行きまし

アルバイトを満了した話

 アルバイトを始めた時は「一年で辞めよう」と思っていた。下手に長く働いて、より重たい責任を背負うのがめんどくさかった。それとあと、バイト先の人と距離を縮めようという気もなかった。更衣室の出入り口で先輩が立って待ってたりするのをすごく嫌に思ってたし、家の方向が同じだったりしたら「何話したらいいんだよ」と思っていた。「自分、家こっちなんで」と言うタイミングも掴めなくて家を通り過ぎたりしたし、「そっちだと〇〇さんと家近いね」なんて言われた日には「バイト同士仲良い雰囲気なんだ…1年耐

忘れさせてくれない

 何年か前の自分は、ラジオを聴けば、音楽を聴けば、本を読めば、街を歩けば、なんとなく現実逃避ができていた。嫌なこと全部忘れて、笑い、その世界に浸ることができていた。  そのどれもが、今の自分は、嗜んでももちろん素晴らしいのだけど、“逃避”をさせてくれなくなってきた。自分の好みで選りすぐって生き残っているからこそ、自分の思考や感覚に近いパーソナリティやアーティスト、作家や主人公が多くなる。  でも、“自分に似た感性”が自分を励ましてくれなくなってしまった理由が、正直分からない

“卑屈”と“会話”

 俺はお前を追いかけている節がある。心から尊敬しているし、指針にしている節がある。だからお前とか言ってごめん。  1月1日の1時ごろ。除夜の鐘が鳴り響く中、「2024年を味わおう」なんて言いながら散歩に繰り出した。紅白歌合戦の『星野源/生命体』を堪能しきった俺たちは颯爽と玄関を飛び出した。  喋りながらも俺は「久しぶりに2人以上で散歩をしているなぁ」、とか思っていた。  友人と知り合って七年が経とうかという今、こうして地元から離れた地の極寒の中で散歩していることがとても嬉

雑記㉒「一貫性のない話」

1.自分の話をしたいと思えない 自分の話をあまりしたいと思えない。そもそも話す事柄がないし、話すにしても脈絡を持たせて話すことができないし、聞いていただくのも申し訳ないし、何よりも聞いてる側は「床見てる方がおもろ」いと思う。  少し前「やっぱりコミュニケーション難しいな」と色々考えていた時、フワちゃんのラジオのとあるトークが刺さった。多分noteに書いたけど、とどのつまり「コミュニケーションはサービス精神と時間潰し」であって「何を話すかよりもお互いの利益の最大公約数さえ叩

趣味の話も難しい

 雑談の話題として、何も考えずに思いつくのは”趣味”。ただ、これが一番手軽で、一番厄介で、人によって線引きがしっかりしていて難しいなと思う。  趣味の話をする場合、まず絶対に相手のそれやスタンスを否定したり下げるようなことは絶対してはいけないし、それを好きな人なりに引いている超えてはいけないラインや言われたくないこと、言われ飽きたこと、答えにくいことがそれぞれあると思う。  「趣味ある?」と聞かれた時、僕は”読書・散歩・音楽・テレビ・ラジオ・”の中から相手の人と話せそうなこ

良くないところ。そういうところ。

 バイト先の同学年の女性の先輩と久しぶりにシフトが被ったので、「内定式どうでした?」というような会話をした。自分はまだ催されておらず話せることがなかったので聞き手に回るしかなかったのだけど、先輩は内定式と懇親会の後に飲み会があったらしく、帰宅が終電ギリギリになったと言っていた。本当はすぐ帰るつもりだったけど、インスタのDMで誘われて二次会まで行ったそうな。  インスタ。  「あ、もうそういうの交換してんすね」と聞いたら、“偶然席が近かった人と交換したら、そいつが奉行タイプ

雑記㉑「自分の視線に唾を吐け」

1.雑談バナシ⑦ これはこの一年の成果報告と思っていただけたら幸いです。  自分なりにバイト先の人との雑談で頑張ってはみたけど、コミュニケーション能力が身についた実感はない。大学での友人が増えていないこと、ゼミの人との親交もこれといって深まっていないことを鑑みればこれは明白でしかない。  「一年経ってこれかよ」と思うとこの1年で無駄なことをした気しかしなくて、ずっともやもやしていた。  この前、CreepyNutsとMy Hair is Badの対バンを見に行った。マイ

“人生の夏休み”より

 人生の夏休みと称される「大学生活」が、残り半年もいいところとなってしまった。この3年半は、 “柄じゃないこと” を頑張ってさも当然顔でやろうとしてみただけの時間だったなと思います。結果から言うと、身になったことは一つもなかったです。ふとした時に自己嫌悪に陥れてくるきっかけを、日々蒔いていただけでした。  自分に向いてないことは、どれだけ頑張っても人並みにすらなれない。柄じゃないこと、人じゃないことは、やるもんじゃない。  何もできるようにならないと最初から分かっていたけ

誰の心にも響かなくていい話③

 街を歩くと「今の自分にないもの」と「これからもないもの」ばかりが目につく。俺が夜の散歩の好きなところは街の明かりが消えていて人とすれ違うこともないところで、理由を言語化すると“「自分にないもの」と「これからもないもの」を見る回数が少ないから”になる。  正面から来るおそらくカップルであろう二人組。歩きの女の子に合わせて男がグラグラとよろけながら自転車を漕いでいる。自分があれをすることはこれからもない。  制服を着た男女が手を繋ぎながら歩いている。自分があれをすることはこれ

チーズナン

 "生きること"とは、とどの詰まり「居心地の悪い場所を増やすこと」だなと思う。地元を散歩している時なんかは特にそれを強く感じるし、今住んでいる地域はそうならないまま出ていきたいなと強く思う。  不意に訪れた街で、場所で、この先の人生に全く糧にならない記憶を掘り返される時がある。「せっかく今日は一人でよろしくやってたのによ」と腹がたつ。俺はただ歩きたかっただけなのに、ゲームセンターを見かけて他人の太鼓の達人を3時間眺めさせられたことを思い出す。俺はただ時間が潰したくてドン・キホ

思い出についての個人的な考察

 自分の言動が「思い出が欲しい」に突き動かされていることにふと気がついてしまう時がある。人生の中でそれを経験した、という事実の欲しさが前に出てしまっている自分が正直見てられない。  そういえば自分はバンジージャンプをしたことがないけれど、そういえば自分は富士急などに代表されるような弩級のジェットコースターには乗ったことがないけれど、「経験しないまま死ぬのは勿体無い」という原動力でそれを体験しに行くことは自分はしたくない。なんとなくの雰囲気で富士急などに行くことになり、そこでの