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機械男のおもひで第二部!   ④え、お酒もう出せないの?編

酒が悪いんじゃない。
悪いのは頭だ。


世の中ではすっかりお酒が悪者になっていた。

酒好きにとっては地獄のような日々。


もともと酔っ払い自体は
人に迷惑をかける前提で存在してるし
歓迎されるようなことはあまりない。

しかし、酒そのものが悪のような
飲み会が不謹慎であるとか
そんな風潮すら漂う世の中。

完全に間違っている。

しかし、どうすることもできなかった。


機械男は全員喫煙者である。
しかし全員酒を飲むわけではない。

たむさんは全くの下戸だし
内田さんはいつも車なので飲まない。

基本的には僕と化け物の2人が
ライブ前またはライブ後に飲んでいる。

これはある意味儀式のようなもので
いいライブができた日には格別の味がする。

ライブ後は基本的に空きっ腹なので
酔いが回るのもそこそこ早い。

でもそれがまた醍醐味なのだ。


なんとなく、バンドマンしてるなと

バンドマンの自分に酔ってるわけではないが
ひとときの安らぎタイムだったわけだ。


しかし世は大自粛時代。
ライブハウスも対応に追われていた。

全く酒が出せなかったり
時間が限定されていたりと
その都度忙しそうで。

1番悲しかったのは自分の出番と同時に
酒類の提供が終わるところを見てしまったことだ


打ち上げがあるらしいけど
ソフトドリンクで乾杯なんて
爽やかすぎて死んでしまうかもしれない。

ぐっと涙を堪えてステージに上がった。


ステージドリンクお酒がいいな(死んでしまう)
とか思いながらも気を取り直して歌う。


全員マスクの客席。
ビールを片手に見ている人。
それを見て羨ましがってる僕。

今はまだこんなもんだ。
それでもこうして有観客でライブができる。

それだけが救いだった。


酔っ払ってない分視界は良好で
お客さんの表情がよく見える。

マスクしてても笑顔ってわかるんだなぁ

なんて感心しながら歌う。

案外シラフも悪くないじゃない。


演者だけになったバーカウンターで

え?お酒もう出せないの?

と、誰かが冗談混じりに言う。

それに答えるスタッフさんも
なんだか楽しそうで。

いつも通りのにぎやかな風景を見ると
酒が無くても楽しいじゃんという気持ちになる

僕も腹を括って
乾杯のドリンクを注文する。

コーラひとつ下さい


なんだかなぁと思いつつも
乾いた喉に流し込んでいく。


格別の味がした。


でもやっぱり寂しいので
もう一回だけ聞いてみる。

え?お酒もう出せないの?


完。まだまだ続く。

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