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【カラダ】“当たり前”(ベース)の質を上げる

注)今回の内容は完全に「本多論」。
  一般論だったりどこかの文献に載っている内容ではありません。

私のトレーニング指導は細かいです。
重箱の隅をつつくような感じかもしれません。

そんなことをしなくても、そんなことを知らなくても今ちゃんと生きて生活しているよ、と言われたこともあります。

私が細かく指導をする理由は「“当たり前”(ベース)の質を上げる」ことにあります。


“当たり前”(ベース)とは

普段私たちが当たり前のようにしていることです。

呼吸をする
歩く
など。

当たり前に行っていることは人それぞれ違います。
歩行困難の方もおられるでしょうし、寝たきりの生活を余儀なくされている方もおられると思います。

とりあえず歩くことができる人にも歩き方はそれぞれです。
その歩き方おかしいよと言われたとしても、でも歩いて会社へ行っているし、遊びにも買い物にも行っている。別に不自由はないかなと思ったりします。

呼吸は生きてさえいればしているはずです。
「その呼吸方法は質が悪いから改善したほうがいいですよ」と言われたとしても、でもちゃんと生きてるよ。生きているってことは呼吸しているってことでしょ?と思う人はたくさんいます。


どうして“当たり前”(ベース)の質を上げるのか

当たり前に必要な筋肉はだいたい小さな筋肉

私の示す小さな筋肉とは、姿勢を司る筋肉たちのことを指しています。
体の奥の方、骨の近くに存在して、骨を支える筋肉たちです。
とてもたくさんあります。その一つ一つを動かすのに多くのエネルギーは必要とされません。

体の外側には大きな筋肉があります。これはパワーを生む筋肉です。
私たちの体は、小さな筋肉で骨を支えなくても、外側にある大きな筋肉で支えることも可能です。大きな筋肉にはたくさんのエネルギーが必要です。

今、あなたの体を支えているのはどちらの筋肉?

ズバリ〇〇の筋肉です。と教えてあげることができたらいいのですが、関わったこともない方にそんないい加減なことは言えません。病気になった時、ケガをした時、年をとった時に気づくきます。

呼吸筋(特に横隔膜)

小さな筋肉(横隔膜)を使わずに大きな筋肉(肩や胸)で肺を押し潰して息を吐く人が多くいます。
肩や背中にケガをするどうなるでしょうか?
肺を押し潰す動作ができなくなり、途端に呼吸が浅くなります。

本来、呼吸に使われる筋肉の一つ横隔膜。
この横隔膜がが全く働かないことはありませんが、使わなければ筋力はつきません。
何かしらの原因で大きな筋肉が使えなくなった時、当たり前に行っていた呼吸が当たり前ではなくなります。

呼吸法はいくつかあります。どれか一つが必ず正しいわけではなく、私たちは場面によって自然に呼吸の仕方を変えています。
トレーニングである一つの呼吸法ばかり鍛えてしまうと、他の呼吸法ができなくなる人がいます。

少し前に、宇宙戦艦ヤマトを歌う ささきいさお さんが話題になっていました。80歳になられたとは思えぬ声量。鍛え抜かれた筋肉!
それでもきっとご本人は「若い頃より衰えたな」と思っておられると思います。

病気と姿勢

体は病気と戦うためにエネルギーを使います。

大きな筋肉を動かすことは生命維持の最優先ではないため、病気になると大きな筋肉にはエネルギーが回りません。

体調が悪くなった時の姿勢に違いがでます。
普段から小さな筋肉を鍛えて姿勢を作り出している人は、病気になった時でも姿勢はあまり崩れません。普段大きな筋肉で姿勢を支えている人は、大きく姿勢が崩れます。

当たり前にカッコよく歩いていたはずなのに、当たり前ではなくなります。

年齢と姿勢

年を重ねるとともに必ず筋力は衰えます。

最初に大きな筋肉の筋力が衰えます。小さな筋肉から衰えていくのはあまり感じたことがありません。おそらくですが、生命維持に必要なものはパワーを生む筋肉より、骨を支える筋肉だからだと思います。

これまでスポーツなどを継続して行ってきていない高齢の方に、パワー系のトレーニングを指導することはあまりありません。少なくとも私は行いません。ケガをするリスクの方が高くなるし、それを維持するのが大変だからです。パワーがついたとしてもすぐに衰えてしまったり、生活に役に立つとは思えないのです。

*パワー系の筋肉トレーニングでも、上手に行えば(質の良い指導者のもとトレーニングを行えば)大きな筋肉と共に小さな筋肉を鍛えることができます。
私の知る限り、これほどまで上手に指導ができるトレーナーは数少ないと思います。

75歳を超えてから小さな筋肉を鍛えることは可能ですし、ちゃんと姿勢に変化が現れます。そして向上もするし維持もできます。少しの間体調を崩しても姿勢が崩れたとしても、元気になるとちゃんと戻ります。
さほど大きなエネルギーを必要としないし、何より生きることに役立つから効果が現れるのだと思います。

若い頃に当たり前にできていたことが、年を重ねると当たり前ではなくなります。


病気で筋力が発揮できなかった時の話

昨年9月にバセドウ病を発症しました。
幸い早期発見だったので、症状に苦しんだ期間は1ヶ月程度で済みました。

症状の中に「筋力低下」があります。

私の体の中で、特に弱いのが左の臀部(お尻)です。長いこと間違った使い方をしていたので、しっかり鍛えて筋力が思うようについたのはここ数年です。

病気になり、筋力低下が顕著に現れたのが、この左臀部でした。
歩く時に、目線をあげようと思っても、状態が下を向いてしまいます。「お尻をプッシュして姿勢を作って歩く」と言い聞かせても、どうしようもないのです。

階段は地獄のようだし、少しの距離を歩くだけて息切れするし、全身痛いし。
立っている時だけでも姿勢を維持しようと思ったのですが、たったそれだけでも脚(下肢)がジンジンしてきて、その晩にはひどい筋肉痛になりました。

それでも多分、鍛えていたおかげで「見た目には」大きな崩れはありませんでした。
また、治療開始するとすぐに姿勢は元に戻りました。

改めて“当たり前の質”をもっとあげよう!と思いました。


86歳伯父の話

近くに伯父が住んでいます。
年末に手術をしました。

その手術をする前の数年間、腰痛がありずっと杖をついていました。
この頃、私はほとんど顔を見せていたなかったので、全くお会いすることはありませんでした。昨年春頃から、月に一度くらいお昼を一緒に食べるようになりました。

手術の後、腰痛が治りました。病気のせいで腰痛があったようです。
とても前向きで明るい性格の伯父です。
退院後から、私が脚のマッサージをして、上半身を軽くストレッチをして、それから歩行補助器を使って外に散歩に出ることを週に2回行いました。

すると、歩行補助器で歩く姿勢も良くなり、2週間くらいすると杖なしである程度の距離が歩けるようになりました。
手術前は家の中でも杖をついていたのですが、今では全く杖は必要ありません。家の中はトコトコスムースに歩いています。

ところが、投薬治療が開始されるとその副作用で体調が悪くなってしまいました。副作用だとわかってはいても、食べたくないし動きたくない。
それでも週2回マッサージとストレッチは行っていました。血流を滞らせてはいけない!

ちなみにこの期間中も、家の中で杖を使うことはありませんでした。

投薬治療1クール目が終わるころ、体調が回復してきました。
するとやはり、歩けるようになるんですよ。
約1ヶ月全く外出しなかった、玄関のドアさえも開けることはなかったのに、歩行補助器を使って近所をウロウロ。

手術後から投薬治療開始までの間に、“当たり前の質”をあげておいてよかったー!と私が喜んでいます。


当たり前のように歩いて、当たり前のように呼吸をして、当たり前のように生活をする。そんな当たり前は、怪我や病気、年を重ねることで必ず当たり前ではなくなる時がきます。そんな時に「当たり前の質をあげておいてよかった。」と思えるように、できるだけ若いうちから鍛えておきましょう。

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株式会社りとるジム
カラダとココロのメンテナンス
www.littlegym.jp

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