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【ココロ】森の中にある木 ー 木を見ると森が見えない

木をみて森を見ず と言います。
部分的なところばかり見ていると全体を見落としますよ、という意味。

体も同じです。

筋トレである一部分に囚われすぎると、体全体のイメージが見えなくなります。
体全体を改善するための部分トレーニングであることを認識しましょう。

私はトレーナーとして「足」の機能をとても大切にしています。
「足」の機能改善トレーニングをしていると、かなりの確率で言われます。

「歩いている時にも、このくらい足を意識しないとダメですね。帰りに気をつけようと思います!」

そこで私は必ず伝えます。

「歩くという動作は体全体で行うものです。足だけで行うものではありません。足だけに気を取られると、歩くという動作全体がおかしくなります。そしてどうやって歩いたらいいのかわからなくなります。」
「足のトレーニングを行うのは、例えば、歩く動作を改善させるため。歩いている時に意識をしなくても足が機能することを目指しています。歩きながら(全体の運動をしながら)足(部分)の強化トレーニングは不可能だと思ってください。」
だから、歩行中は何も意識しない。歩くことだけを考える必要もありません。もしくは、“モデルのようにかっこよく歩く“など何かになりきって歩く方が良いでしょう。もしくは歩いてこれから何をするのか、どこに行くのかなど、その先を考えながら歩いてください。

森の中にある、ある一本の木を見ていると、森が見えなくなります。ヒトの脳は部分と全体を同時に見ることはできません。見えていると思っても、それは高速で交互に見ているだけで同時に見ている訳ではありません。

「何のためにスクワットをやっているのですか?」

ある講習会で講師を行なった時に
「スクワットの正しいフォームができません。」という質問を受けました。

その方が通っているジム?スタジオ?でスクワットのフォームを指摘されのですが、どうしてもできないとのこと。

そこで私は「何を鍛えたくてスクワットをしているのか理解できていますか?」「もしくは、スクワットをすることで、普段の生活の何に役立つと思いますか?」と質問をしたところ、ポカンとしていました。そこまで考えてトレーニングをしている人はあまりいないので当然のリアクションではあります。

私のこだわる「足の機能」は、全体動作「スクワット」の一部です。同時に、スクワット運動は、たったりしゃがんだりする生活の動作という全体の一部でもあります。

「スクワット」という部分にとらわれると、スクワット上手な人が出来上がるだけで、全く生活の役に立たない結果になります。

「スクワットは大きな筋肉を動かすからダイエットになる!」と思うかもしれませんが、1週間の中でスクワットをトータルで何回やりますか?

でももしそのスクワットをすることで、生活の質が良くなるのだとしたら、スクワットトレーニングをする時間以外でもエネルギーを効率よく燃焼することができます。

「腰を落とせ!」「ハンズアップ!」

スポーツの試合を見ている時に、指導者が選手に「手が下がっている!」「腰が高い!」などのアドバイスをするのを見かけます。これは部分的なアドバイスです。全体とは“試合の流れ“。

選手が、脳内に試合全体をイメージ(集中)していたとします。そこに、体のある一部についてのアドバイスをされると、脳内には自分の姿のみ、もしくは自分の体のパーツのみが映し出されます。視野が一気に下がり(狭くなり)試合全体の流れは見えなくなります。そしてパフォーマンスが落ちます。競技レベルの低い試合で特に見られます。

脳内イメージがアドバイスによって変化する

それが指導者が原因であるとは、ほとんどの人は気づきません。

「いや、こういったアドバイスで上手くいった!」と言う人もいると思います。
それは、そのアドバイスが全体の中の部分であると、無意識にわかっている選手の場合です。思考力がある選手です。指導者のアドバイスのおかげではありません。

大切なのは、指導する側が全体を“見せながら“部分の話をできているかどうかです。

トレーナーとして気をつけていること

トレーニングを指導しているときは、できる限り「何を鍛えているのか」「何に役立つのか」を伝えるようにしています。

もっと先を言えば、その人自身が生活の質を上げることによって、どのように生活を豊かにしたいのかまで考えて欲しいと思います。

そのほうが効果は圧倒的に出ます。

意味が分かりにくい、もっと知りたいという方は、コメントしていただくか、りとるジムまでお問い合わせください。

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