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『Neutral ニュートラル』ー #5 芸術の必要性

今回は自分が考える芸術の必要性について書いてみたいと思う。

なぜこの世界に芸術があるのか。

これに答えるために、私なりに仮説を立てている。

それは、
「現実の世界」と「こころの世界」の行き来ができなければ、人は生きていけない
という説。

私たちは普段主に「現実の世界」に居ると思う。
言語やジェスチャーを介して人と接する。

一方、頭の中で考えごとをしたり、ボーッとしている時、眠っている時などは「こころの世界」に居る。
「こころの世界」は、頭の中で起こっていることなので、色や形などの実体がない。
でも頭には、はっきりと色付きの映像が浮かんでいたりする。

「現実の世界」は他者との関わりの中で、喜怒哀楽があり、平和な時があり、単調な時があり、時に疲れもする。
疲れたままで「現実の世界」にずっと居ると、時々ぼーっと一点を見つめて、いつの間にか空想 ( こころの世界 ) が始まり、楽しかった出来事に浸ったり、昨日あったことを回想したりしている。

また、「こころの世界」でネガティブな考えに支配されてしまっているときは、人に話を聞いてもらったり、飲みに出かけたりして、「現実の世界」で自分以外の人や物に助けてもらうことも多い。

こんな風に、私たちは日常的に二つの世界を行ったり来たりしていると思う。
行ったり来たりは、私たちに必要な作業のようだ。

以前、心理学の本で、目の前にある直近の出来事に目を向けると、
考えごとの悪循環から抜け出しやすくなると読んだことがある。
この時の直近とは“超直近”である。

例えば道を歩いているときに、何か考えごとに走るのではなく、
「今日の空は青色が澄んでる。」
とか、
「あそこのグラウンドで野球の試合やってるな。」
などのように、
「たった今」目に映ることに意識を向けると、
「こころの世界」の悪循環から、しばしの間は抜け出せるそうである。

「こころの世界」は、自分だけの空間で、
「現実の世界」からその空間に行く時は、

いつの間にか行っているときと、
自ら「たった今」を切り替えようと努力するとき、
そしてもう一つ、ある「乗り物」に乗って行くときがあると思う。

それが芸術だと思う。

喜びや楽しみ、時に哀愁などと一緒に
世界を自由自在に行き来する方法。

人がつくった色んな「乗り物」( 作品 ) に乗って
「こころの世界」を旅してみたり、
自分で「乗り物」をつくり上げることもできる。
つくる過程では、何度も何度も、
二つの世界を行ったり来たりできる。

アート、音楽、文学、舞台、ファッションなど、芸術は
「こころの世界」への旅をさせてくれる「乗り物」
芸術は私たちの味方だと思う。

味方はいてくれた方がいい。

私はこれまでこの「乗り物」( 作品 )制作に結構助けられてきた。
心身のバランスを保たせてくれたり
自分が何者か分からなくなった時は手を動かし、「こころの世界」に行って気持ちを落ち着かせてきた。
「現実の世界」で人とのつながりもつくってもらえたし、
豊かな人生の上に立たせてもくれた。

自分が好きになったし、いろいろ楽しくなった。

やっぱり自分には必要なものだと思う。

これからも芸術と一緒に年を重ねたい。

10月の個展『Neutral ニュートラル』では、皆さんとそんなお話もできればいいなと思う。



小原 緑 個展『 Neutral  ニュートラル 』2020年10月24日㈯~11月1日㈰

at STUDIO DIFFUSE MAKE+  http://studio-diffuse.jp/


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