書きなぐり読書感想文~古谷田 奈月『神前酔狂宴』
いきなりだけど、今年のお盆休みは「夏休みの自由研究」と題して本6冊と論文数本を読むことにした。
本に関しては読むだけだともったいないのでこうして記録として残してみることに。
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※読了時間:約7時間(サクサク読める)
感想に入る前に、まずこの本を読むことになった経緯を説明させてほしい。
唯一聞き続けてる「文化系トークラジオLife」のBBQ(オフ会)が7月に開催され、出演者の書評家・倉本さおりさんとお話することができた。その中で、最新回「ポスト熱狂の組織論」が面白かったと伝えたところ、直に叩き売られた(結構色んな所で推してるご様子)。
さて、ざっと要約。
前半は「結婚披露宴」の建前と、その本質のギャップを面白がっていた主人公が、どんどん建前側に引き寄せられていく。と思ったら戻ってくる。この主人公の「ゾーン(建前)」に深く潜って行ったと思ったら「素面(本質)」に返ってくる、また潜る、の行ったり来たりで、こっちがめまいを起こしそうになる。自分の本心はどっちだ?
後半は、やっぱり本質側に立ってしまう主人公がどう社会と折り合いをつけていくのか、終盤では建前への反逆、してやったりイベントとの出会い。そしてまた仕事を始めた頃の感覚に戻り、現実を生きていく。
感想五月雨式。
・ほんと数年間振りに小説を読みきれたくらいには軽やかな筆致。というか次をどんどん読みたくなる欲を喚起させる。
・組織論、というよりは「建前と本質(本音)」というのが主題といったところか(確かに組織の中でもその論点はあるけど)。この視点自体は前からあるので特段新しいわけではないし、結婚に関しても前から言われてる気がするけど、ちゃんと文学作品として落とし込まれていることが本作が評価されるポイントか。
・建前って改めて、どこまでいっても引くほど精神論だなぁ!その建前のために、人々は歓喜し、落胆し、狼狽する。まさに「酔狂」なのであった。
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