姉とラジオ

小学生の頃、中学生の姉が骨折だったか靭帯損傷かして入院した。
優しくて大好きな姉だったから、姉が怪我をしたのがとても心配で心配でたまらなかった。
お見舞いに行ってもふざけられるわけでもなく、なにか渡せるでもなかった。
入院は長く、姉の不在にも慣れたころに父がラジオをくれた。なんでも父が入院している姉のためにラジオを買ったが本人が使わないと言ったらしい。
新古品のSONYのカッコいいラジオが手元に急にきた。
眠れない夜ラジオをつけた。とりあえず有名そうなラジオ局にあわせればおもしろいのかな、そうも思ってチューニングした。
野太い声のよく笑う男の人、それが伊集院さんだった。すごく変でおもしろくてこの放送がいつやっていてなんという名前かを朝日新聞のラテ欄で調べた。
姉が松葉杖に慣れて退院するころ、ぼくはすっかり伊集院さんの虜になっていた。
姉はラジオが嫌いな訳ではなくFMを聴きたかったらしい。
退院してきた姉はちょっと強くなっていて安心した。

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