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#1_アジア事業における、日本企業の成長の踊り場

我々はこれまで、様々な日本企業のアジア展開支援を行ってきた。それぞれの企業が展開する事業は非常にユニークで、日本国内でのそれよりも、バラエティに富んでいる。

一方で、最近アジア事業が成長の「踊り場」に到達し、悩んでいる日本企業が非常に多いように感じる。

このコラムでは、我々コンサルタントが経営の現場で考え、感じていることを、連載という形で出来るだけ多面的に描いてきたい。取り扱うテーマの幅広さ故、直接的には役に立たない話もあるかもしれないが、多面的に捉えることで、「停滞感」に悩む皆様の一助となればと思う。

今回は初回ということで、足元10年ほどのアジアの事業環境の全体感を、簡単に数字で見ていきたい。(ここでは、誌面の制限の都合上、アパレル/消費財/化粧品/食品加工のtoC市場のみを見ることをご容赦いただきたい。)アジア市場の成長性を改めて見てみると、大半の市場が大きく拡大していると分かる。

(グラフ1.)個社の見るべき厳密な定義における市場においては個別事情があるかもしれないが、大半の日本企業が手掛けるアジア事業においてもこの追い風が吹いていると考えて間違いがないであろう。

1.国別の急成長・成長市場の割合

次に、競争環境を見てみよう。日本・ミャンマーを除くアジア各国ではシェアの上位争いが頻繁に行われていることが見てとれると思う。

(グラフ2.)5~7割の市場において、シェア上位企業の入れ替わりが起きている。

2.2010年から2019年でシェア上位4社の入れ替わりがあった市場の割合

また、グラフ3.を見てみると、シェア上位企業の入れ替わりは、企業が多数乱立する分散市場だけではなく、それなりのシェアを持った企業の間でもドラスティックに起きていることが見て取れると思う。

3.シェア上位4社の入れ替わりがあった市場において、上位4社のシェア合計が40%を越える市場の割合

ここでは簡単な分析の紹介にとどめるが、アジア市場は、上手く立ち回ることが出来れば大きく事業を拡大できる魅力的な市場であることは改めて見ても間違いがないと思う。

それでは、なぜ、アジア事業について「停滞感」で悩む日本企業が多いのであろうか?

連載第2回の次は、まずは我々の考える「停滞感」について、とある企業の事例を見ながら、より具体的に捉えていきたい。皆様にとって共感できる事象もあるのではないかと思う。







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