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NPO法人グリーンズの共同代表に就任しました。

こんにちは、正太郎です。突然ですが2021年4月1日をもって、NPO法人グリーンズ(@greenzjp)の共同代表に就任しました。ファウンダーでありこれまで代表だった菜央さん(@suzukinao)と共同経営体制になります。ちなみに菜央さんと僕は干支が同じ辰年です。

2006年7月に創刊したWEBマガジン「greenz.jp」はこの夏で15周年を迎えます。共同代表に就任するにあたって創刊当初の記事をいくつか漁ってみると、菜央さんによるCWニコルさんへのインタビュー記事がありました。

今、読むとだいぶ荒削りな記事ですが、15年前からグリーンズが大切にしていた価値観が変わらずにあることが分かります。冒頭のやり取りだけ抜粋。

菜央さん:ニコルさんが考えている理想の社会、夢、ビジョンを聞かせてください。
ニコルさん:僕の人生の大部分は日本です。私が望んでいる日本は、美しい、平和な国。そのために三つのことが必要です。治安、健康、美。これは私が考えた事ではなくて、地中海の小国マルタ共和国が独立した時、その副大統領が私に教えた事です。そしてその三角の頂点は、安らぎ。それは、お年寄りが安心して死ねるということ。金持ちのための治安や人間の治安だけではなく、この国の生き物すべての治安。じゃ、鹿、魚を穫る、野菜を採る、山菜を採るというのは、治安は良くないんじゃないか。でもちょっと待って。種は絶滅させません。この治安っていうのは、暴力的な犯罪をできるだけ無くす。それから、日本の中の生物の種の安全は絶対、守る。どっちが大事か、という馬鹿な話じゃない。蟻も大事だし、人間も大事。

菜央さんの一言目が「ビジョンを聞かせてください」という質問であることや、ニコルさんの「生き物すべての治安」という言葉が印象に残ります。

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WEBマガジン「greenz.jp」は今年中に7000本目の記事が公開される見込みです。もちろんこれらの記事の中にAIが自動で作成したものはひとつも含まれていません。greenz.jpに関わってくださるみなさんが、ひとりの人間として、社会に伝えたいことを1本1本、カタチにしてきた積み重ねです。

そして、創刊から現在に至るまでのgreenz.jp訪問者数をGoogle Analyticsで見てみると約3762万人にのぼります。これは、思いのこもった記事を受け取ってくださった読者の皆さんの足跡でもあります。

15年という時間を耕してきたgreenz.jpの歴史に思いを馳せると、正直なところです「やっぱ代表、いいです・・・」と尻込みしたくなる気持ちがいまだにあるのも事実です。

ただ「大きなものを継がねばならない」というプレッシャーよりも「グリーンズが培ってきた資源を、より良い未来のためにさらに生かしたい」という気持ちが勝ったことが、共同代表を引き受けさせてもらった一番の理由です。

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グリーンズは創刊から「自分たちのほしい未来は、自分たちの手でつくることができる」という信念を貫いています。

気候変動が悪化の一途を辿っていても、地域社会が少しずつ崩れていっても、民主主義の理念が揺らぐような出来事が起きても、それを乗り越えていくためのポジティブで、自分の暮らしから実践できるようなアイデアを発信し続けています。そして、ただ発信するだけではなく、グリーンズに関わる人は、自らも実践者の一人として思考錯誤を繰り返しています。

その結果、グリーンズが得たものは、全国の読者のみなさんであり、寄付で支えてくださるgreenz peopleのみなさんであり、共にメディアを育てるライター・エディター・カメラマンのみなさんであり、取材を通じて出会うことのできた実践者のみなさんであり、共に学びの場をつくる講師・コーディネーターのみなさんであり、事業を推進していくスタッフのみんなです。

そんなみなさんを一言で言えば「持続可能な社会をつくるために、自ら探究して、実践する仲間たち」と言えると思います。

その存在は、記事の本数や掛けてきた年月という「数字」以上に、グリーンズにとって大切なことだと思っています。

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NPOグリーンズは2019年からビジョン(理想とする社会像)を掲げて、事業の刷新に取り組んでいます。「いかしあうつながりがあふれる幸せな社会」は、人を含めた生命のニーズに基づいて、すでにある資源を生かすように関係性をデザインすることで、実現できると信じています。

行き過ぎたグローバル資本主義経済によって、僕たちはすでに多くのことを失ってきたし、これからも失い続けると思います。

少しでもその速度を落としていくためには「成長がすべての問題を解決する」「人は生態系に含まれない」といった思考を「Unlearn」することが大切だと考えています。社会全体に染み付いてしまった思考は、自分自身にも等しく染み付いていると感じます。

日本国民の一人あたりのGDPが急速に増えていったのは1950年以降です。現在に至るまでのたった70年の間に社会は劇的に変わっていった訳ですが、21世紀末までには同じだけの年月がまだあります。その間に「良い方向」に劇的に変わっていくシナリオもあり得るのではないでしょうか。そのためには、私たち自身が社会を担う一市民として、地球に暮らす生物の一員として、メンタリティからアップデートされていく必要があります。

15年目のグリーンズが今、設定している課題はそこにあります。世間で「サステナビリティ」というテーマで扱われることよりも抽象的で、少しとっつきづらい印象があるかもしれませんが、将来世代のためにとても大切なアジェンダだと考えています。

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今月から共同代表になったわけですが、僕自身のやることは変わりません。いきなりgreenz.jp編集長になるわけでもありません。3年前に二代目事業統括理事/COOに就任してから、今までやってきていることを続けていくだけです。

一言で言えば「グリーンズの培ってきた資源を生かすように事業を育てて、社会への貢献価値を高めていくこと」であり、そのために必要不可欠な「社外の仲間も含めた関係の質の高い組織づくり」です。

まだまだ明確な答えに行き着いているわけでもないし、目覚ましい成果に繋がっているわけでもありませんが、3年もがいたことでようやく糸口が見えてきた感覚はあります。引き続き、生暖かく見守ってくださったり、たまには「なんか一緒にやろうよ」と声を掛けてくださると嬉しいです!

以上が、共同代表就任にあたっての所信表明なのだか、コラムなのだか分からないご挨拶でした。

最後に、僕が学生時代にライターインターンとして声を掛けてくれたモリジュンヤさん(@junyamori)、「ほしい未来」の大切さを教えてくれたYOSHさん(@whynotnotice)、NPOグリーンズの社員1号として招き入れてくれた小野さん(@ono_chi)にはこの場を借りてお礼を伝えさせてください。ありがとうございましたm(_ _)m

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※就任記念に盟友 山中康司(@koji_yamanaka)がポートレート写真をギフトしてくれました。心から感謝・・・。

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ここで「One more thing」。我が家も大きなアップデートがある予定です。長らく東京で暮らしてきましたが、5月末に「熊本県南阿蘇村」に移住することになりました。桃鉄のぶっとびカードくらいの移動距離ですが、これからは妻と娘とカルデラの中で暮らします。この話はまた別なnoteで。

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掟破りのOne more「One more thing」。実は今日、33歳の誕生日です。年齢を重ねることにあまり喜びを覚えない数字になってきましたが、お祝いされるのは変わらず嬉しいです。グリーンズのチャレンジをこれからも応援してくださる方がいましたら、よかったら月額1000円の寄付会員「greenz people」にご祝儀入会してくださると嬉しいです!

入会してくださった方にはもれなく「いかしあうつながりデザインカード」をお届けできるよ!

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植原正太郎 NPO法人グリーンズ 共同代表
持続可能な社会づくりのヒントを発信するWEBマガジン「greenz.jp」を運営するNPOグリーンズで健やかな経営と事業づくりに励んでます。都会のど真ん中に畑をつくるURBAN FARMERS CLUBの理事もやってます。山で暮らしたいけど、海釣りもしたい一児の父です。サステナビティを学ぶスクール #サスカレ 運営中。

Twitterやってます。よかったらフォローしてね→ @little_shotaro

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