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スイッチを探して

◆集中力ってなんだろう

集中力がない

そう指摘された日の夜、私は悶々としていました。
集中力がないと言われた娘でしたが、全くないわけではなかったからです。

昔から、クラフトが大好きな娘。クラフトをしているときは、何時間でもやり続けています。
最近では模写が楽しいらしく、よく絵を描いていますが、これもまた凄まじい集中力とクオリティを発揮しています。
それこそ、「寝食を忘れて」という言葉が相応しいかもしれません。

その代わり、興味がないことや嫌いなことはトコトン向き合わない娘でしたから、幼稚園や小学校の生活は不思議なものでした。
みんなで歌う歌は全く覚えることができないのに、長いナレーションのセリフや教科書の物語はあっさり暗唱できるのです。

じゃあバレエはどうなんだろう。
実はバレエが嫌いだから集中できないのかな?

基本的に、我が家は「本人がやりたいこと」を習い事の基準にしています。
私が続けて欲しいからとか、3年は辞めるなといった理由は一つもありません。

バレエは、娘がやりたくて続けている習い事です。
本人もそれは分かっているだけに、謎は深まるばかりでした。

◆夢中になれないノイズ

様々な原因を考えていく中で、バレエとクラフトに決定的な違いを感じていました。
バレエの時は、ノイズがあるのです。

うまくできないかもしれない
やり方が違うのかもしれない
私はダメなのかもしれない
でもどうすれば良いかわからない

「とにかくやれ、真面目にやれ、不真面目だからわからないんだ」
そう言われ叩き上げで育だった私に言わせれば、じゃあ先生の話をよく聞いて自ら考えて練習するしかないんじゃない?としか初めは思えませんでした。
でもそれは「私」の話。
娘にとってこの様々な不安や自信の無さが、体を硬くさせ、気持ちを細切れにしていたのでした。

これに気づいた時、私に反省すべき点がたくさんある事を痛感しました。
娘に対して、叩き上げ丸出しでダメ出しをし過ぎたのです。

年少から始めて5年、色んなことがありました。

練習の仕方を覚えないこと
振り付けを覚えないこと
姿勢がかなり悪いこと
先生の指示を受け止めきれていないこと

特に初めの3年間は、発表会の練習が始まるたびに苦痛でした。
うまく踊れない以前に、練習の仕方も振り付けも「わからない」と言う日々。
同期の子と比べてどうとか…そんなレベルではなく、覚えていないのです。
だから、ずっと参考にする子の方を向いて踊っていました。
それは本番当日も同じで、みんなは正面を向いて踊っているのに娘だけはいつも斜め前の写真ばかりです。

先輩お母さんに、さりげなく相談したこともありました。
ウチもそんなもんだったよと言ってくれたり、興味ないんだろうねと言われたり。

興味が無いなら辞めればいいのにな…

娘の活躍はとてもとても楽しみでしたが、娘はとにかく興味が無ければ覚えないタイプ。
その姿は年少さんの時期から健在でした。

園の発表会で歌を歌えば
娘1人だけほぼ歌っていない(都合良い時だけ口パク)
聞けば歌は興味がなかったそう。

劇をすれば
セリフも動きもバッチリ
他の子のセリフまで覚えて、振り付けまで提案していました。

踊りは…
フラダンスは完璧ノリノリで踊って
ポップスは撃沈…興味がなかったそう…

だからこそ、なぜバレエを辞めないのか疑問ばかりでした。
所詮は習い事です。
世襲するような何かを背負っているわけでも無いのだから、興味が無いことを無理に習い続ける必要なんてないというのが私の教育論でした。
月謝自体はちょい高め程度でも、発表会のたびに着るお衣装代、大きな発表会のたびにかかる費用はバカにできません。

どうせなら、興味があることにめいいっぱい使えば良いのに…

そんな思いから、何度「興味が無いなら辞めれば良いんじゃない?」と言ったか知れません。

ところが、その言葉が娘をさらに追い込んでいました。

バレエを続けられないかもしれない…

これに関しては衝撃でした。
練習も振り付けも覚えない
→興味がないことは取り組まないタイプ
(上手い下手以前に実際にやらない、レッスンでもできない、家でも練習しないやってない)→じゃあ辞めればいいんじゃない?
→むしろなんで続けるの…謎すぎる…(疲)
私の中ではそういう流れがあって発していた言葉でしたが、娘の中では違う意味として…この「辞める」という部分だけが「バレエを辞めろ」という意味で残り続けたのです。

◆「わからない」の意味

今考えれば納得なのですが、娘としてはずっと真剣に取り組んでいたつもりでした。
真剣に頑張りたいしバレエも好き!だけど「(上手くなるにはどうすれば良いのか)わからない」

どうすればその動きになるのか
どこを意識すれば良くなるのか

もっと足あげて!
つま先キュッだよ!
前見て!お首長く!

そういった抽象的な表現ではなく、もっと体の使い方を教えて欲しい…
どこをどう動かせば、どんな動きになるのかが知りたい…

年齢的に上手く言い表せないことや、言葉足らずも相まってそんな戸惑いも含んだ「わからない」だったわけです。
だから私がダメ出しをする度に、落ち込むし傷つく。※私のダメ出しの仕方も悪かったのです

辞めたら?と言われる度に、辞めろ!もうバレエ続けるな!と言われている気がして辛かったんですね。

これには猛反省しかありませんでした。

この発見をしてからというもの、クラフトなら集中できることも納得でした。
クラフトだったら、ピンとカンと娘には見えるのです。
思いがカタチになるまでの道筋が。
アイデアと共にそのやり方や道具、材料までもが鮮明に浮かんでくるのですから。

迷いがないからグーっと集中できる

身体の使い方がよくわからない状態で
(ハサミなどの使い方がわからない状態で)

「こんな動きにして」と言われても
(完成形だけ見せられても)

わからない

したくないのではなく
むしろぜひそのカタチに近づきたいのに

身体をどう使えば良いのか
(ハサミなどをどう使えば良いのか)

わからない→フリーズ

ひょっとしたら、見様見真似でできる子の方が多いのかもしれません。
同期の子たちは、見てできる子ばかりだったのです。

…いや、私の育て方の問題か…?
あまりネガティヴに考えすぎると、精神が壊れるほど自分を責めてしまうのでこの辺で(泣)

動くよりも先に頭が動いてしまうタイプ
それは私も同じで、大人になってから気づき、切り替えには訓練が必要でした。
でも大人でも訓練でなんとかなるわけですから、子どもならもっと早く楽に習得できるかもしれない。

声の掛け方も変えよう。
とりあえず母親先入観で決めつけるのを辞めよう。
観察して、まず娘から学ぼう。
色んな人の意見や考えを知って研究しよう。

もがいていた気持ちが少しだけスッキリして
背中がしゃんとする思いでした。

・・・つづく


バレエダンサーになりたい女子との挑戦を綴った
< Little Ballerina >では
バレエ大好き女子、バレエで挑戦している女子
バレエ女子を応援しているママを応援しています😁👍
やり方や思いなどはそれぞれかと思いますが
共感できる思いなどがありましたらコメントくださると嬉しいです♪

※読んでくださる方へのお願い※
様々な取り組みやトレーニングの内容についても書いていきますが
あくまでも母と娘の間で試行錯誤しながら行っています。
もし参考にしていただく場合は、その旨ご留意いただけると助かります。


◆about さくら(娘)
 2014年5月生まれ。3歳児(年少)で幼稚園に入園したおりバレエと出会い、習い始める。体の柔らかさは並。リズム感ゼロ。音痴。振り付けも練習も覚えられず、集中力がすぐ切れるタイプからのスタート。
 現在は、ピアノのおかげでリズム感と音感を大幅改善中。ストイックさには欠けるものの、絶対に諦めないを合言葉に毎日のトレーニングで日々柔軟性を広げている。「舞台に上がると安心する」が名言。好きなことはバレエとクラフト。夢はバレエダンサーとして舞台で踊ること。

◆about さくらママ(母)
 1985年11月生まれ。1児の母。情報系の4年制専門学校を卒業後、IT系の営業職に就く。妊娠を期に退社。手に職をつけたく、県内の整体院でカイロプラクティック施術を学ぶ。あいうべ息育指導士。2019年に過敏性腸症候群を悪化させ、完全グルテンフリー、ウィートフリー生活(ほぼ自炊)となる。娘のバレエレッスンを期にバレエ解剖学に興味を持ち、自身の整体学経験から独学で学びを深めている。
 現在は、娘の予定に合わせるため母校で情報系の非常勤講師として勤務。仕事時間以外は、娘の習い事と独学でのバレエ解剖学の勉強、娘向けのトレーニングの考案を行っている。趣味は英語とキャンプと旅行。コロナでやむなく断念した親子留学を未だに画策している。娘の舞台チケットを買って観にいくことが夢。

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