60年に一度の奇跡、笹の花、竹の花
森と木が大好きな北海道の佐野です。
笹に花が咲いた!
昨年、北海道では、各地からクマイザサの一斉開花の便りが届きました。私の住む札幌市内でも、藻岩山や円山を散策していると、所々でクマイザサが開花しているのを見つけました。ササ類はイネ科植物なので、花もイネ科雑草の特徴が出ていますね。
クマイザサの開花(藻岩山の麓)
一斉枯死の様子(天塩町の森林)
花を咲かせた次の年は?
竹や笹は60年あるいは120年に一度しか花を咲かせないという俗説があるくらい珍しく、そして、花を咲かせると枯れてしまいます。竹や笹は地下茎で繋がっているので、一斉開花し、種をつけて、一斉に枯死します。種から発芽する新しい命に後を託して死ぬんですよね。
そこで、昨年、一斉開花した現場を見に行ってきました。一年経ってどうなったでしょうか?
すると、ササの葉っぱは枯れてしまい、姿を消していました。そして、そのあとを覆うように、イタドリやツタウルシが繁茂していました。ササの種から発芽したササの赤ちゃんがいるかどうか確かめたかったところですが、ツタウルシをかき分ける勇気がなく、断念しました。
昨年の様子(遠景)
今年の様子(遠景)
昨年の様子(近景)
今年の様子(近景)
マダケの花
続いて、竹の花です。北海道には竹は自生していませんが、以前、私が勤務していたつくば市の森林総合研究所内の樹木園の中の竹が、2016年に開花しました。この竹は、マダケの園芸品種です。
次の年には、この竹は立ち枯れ状態になっていました。
2016年の開花の様子
俗説は本当か?
さて、竹や笹の花が60年に一度とか120年に一度と言われているのは、60年がちょうど還暦できりが良い年数なので、一生に一度見られるかどうかわからないくらい珍しいという意味だと思います。
ところが、確実に素性の分かっている竹があるのです。森林総合研究所にあるモウソウチクですが、この竹は、1998年に開花した後に生えてきた実生の竹を移植したものです(元々は東京大学千葉演習林内に植わっていたもの)。しかも、その実生の竹の母竹は、1930年に開花したあとの実生(1931年に発芽)であることが分かっています。開花サイクルを計算すると67年。60年に1度というのも的外れではないですね。
今、経過観察いているので、次の開花がいつになるか楽しみですね。60年後とすると2058年となります。
17歳のモウソウチク(2016年当時)
よくよく考えてみると、森林総合研究所に勤務している時にマダケの開花を見ることができ、北海道に引っ越して、クマイザサの一斉開花を見ることができた私は、かなりラッキーな人間ですね。もしかしたら、モウソウチクの次の開花も目撃できるかも?
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