まほり 高田 大介 (著) あらすじ 大学院で社会学研究科を目指して研究を続けている大学四年生の勝山裕。卒研グループの飲み会に誘われた彼は、その際に出た都市伝説に興味をひかれる。上州の村では、二重丸が書かれた紙がいたるところに貼られているというのだ。この蛇の目紋は何を意味するのか? ちょうどその村に出身地が近かった裕は、夏休みの帰郷のついでに調査を始めた。偶然、図書館で司書のバイトをしていた昔なじみの飯山香織とともにフィールドワークを始めるが、調査の過程で出会った少年から
AI法廷の弁護士 (ハヤカワ文庫JA) 竹田人造 あらすじ 複雑化していく訴訟社会にあって人間の代わりにAI裁判官が導入された日本。省コスト化・高速化により訴訟件数は爆増、法曹界は困惑とともにバブルに沸きながらAI法廷を受け入れ始めていた。そんななか、機械と化した法廷を冷徹に分析する男が1人――不敗弁護士、機島雄弁。AIを騙して勝訴を手にするハッカー弁護士が複雑怪奇な依頼をこなしながら、この国の正義をめぐる一大事件に挑む。気鋭のAI法廷ミステリ!(amazon) 感想
方舟 夕木春央 あらすじ 極限状況での謎解きを楽しんだ読者に驚きの〈真相〉が襲いかかる。 友人と従兄と山奥の地下建築を訪れた柊一は、偶然出会った家族と地下建築「方舟」で夜を過ごすことになった。翌日の明け方、地震が発生し、扉が岩でふさがれ、水が流入しはじめた。 いずれ「方舟」は水没する。そんな矢先に殺人が起こった。だれか一人を犠牲にすれば脱出できる。タイムリミットまでおよそ1週間。 生贄には、その犯人がなるべきだ。――犯人以外の全員が、そう思った。(amazon) 感想
メルキオールの惨劇 平山夢明 あらすじ 訳アリの遺品と「不幸」をコレクションするオギーの依頼を受けた俺は、我が子の首を切断した母親の元に赴く。彼女は懲役を終えて、朔太郎と礫という二人の息子と暮らしていたが、そこで俺は、その家族の恐るべき秘密を知ってしまう。未だに発見されていない子供の頭蓋骨はどこに? 「メルキオール」とは、一体──世界の深奥を見つめ、人間の虚飾をも?ぎ取る問題作にして傑作、装いも新たに登場。(角川春樹事務所) 感想 めちゃくちゃ良かったです。出てくる登
怖ガラセ屋サン 澤村 伊智 (著) あらすじ 誰かを怖がらせてほしい。戦慄させ、息の根を止めてほしい。そんな願いを考えてくれる不思議な存在――。「怖ガラセ屋サン」が、あの手この手で、恐怖をナメた者たちを闇に引きずりこむ! 怪談は作りものだと笑う人、不安や恐怖に付け込む人、いじめを隠す子供、自分には恐ろしいことは起こらないと思い込んでいる人……。 こんなヤツらに、一瞬の恐怖なんて生ぬるい! 気づいたときは、あとの祭り。 “怖がらなかったこと"を、後悔させてあげる――。 一
暇と退屈の倫理学 國分功一郎(著) あらすじ 暇とは何か。人間はいつから退屈しているのだろうか。 答えに辿り着けない人生の問いと対峙するとき、哲学は大きな助けとなる。 著者の導きでスピノザ、ルソー、ニーチェ、ハイデッガーなど先人たちの叡智を読み解けば、知の樹海で思索する喜びを発見するだろう。(amazon) 感想 なかなか難しい本だった。まあ、哲学書なのでそれは当たり前であるが。ハイデッガーの暇の概念を中心として、この本は進んでいく。退屈を複数の形式にわけ、なぜ退屈す
本の背骨が最後に残る 斜線堂有紀 (著) あらすじ 本を焼くのが最上の娯楽であるように、人を焼くことも至上の愉悦であった。 その国では、物語を語る者が「本」と呼ばれる。一冊につき、一つの物語。ところが稀に同じ本に異同が生じる。そこで開かれるのが市井の人々の娯楽、「版重ね」だった。どちらかの「誤植」を見つけるために各々の正当性をぶつけ合う本と本。互いに目を血走らせるほど必死なのはなぜか。誤植と断じられた者は「焚書」、すなわち業火に焼べられ骨しか残らないからである。(表題作)
13階段 講談社文庫 著:高野 和明 あらすじ 犯行時刻の記憶を失った死刑囚。その冤罪を晴らすべく、刑務官・南郷は、前科を背負った青年・三上と共に調査を始める。だが手掛かりは、死刑囚の脳裏に甦った「階段」の記憶のみ。処刑までに残された時間はわずかしかない。2人は、無実の男の命を救うことができるのか。江戸川乱歩賞史上に燦然と輝く傑作長編。(講談社BOOK倶楽部) 感想 面白すぎる。死刑囚を助けるために頑張る男たちの物語だが、死刑制度は正しいのか、今の刑務所のシステムで罰
QED 百人一首の呪 講談社文庫 高田 崇史 (著) あらすじ 百人一首に仕組まれた美しき謎とは!? 大人気シリーズの原点、第9回メフィスト賞受賞、待望の文庫化! 百人一首カルタのコレクターとして有名な、会社社長・真榊大陸(まさかきだいろく)が自宅で惨殺された。一枚の札を握りしめて……。関係者は皆アリバイがあり、事件は一見、不可能犯罪かと思われた。だが、博覧強記の薬剤師・桑原崇が百人一首に仕掛けられた謎を解いたとき、戦慄の真相が明らかに!?(amazon) 感想
「枕魚」 panpanya 著 あらすじ 真っ直ぐ歩いている筈が、ふとしたはずみで迷い込む森羅万象の断層。どこかで見た、どこにもない風景。すぐそこにある、永遠に来ないその時。panpanyaの世界にようこそ。日記も併収。 2015年4月刊。 感想 漫画の感想の場合、読書日記でいいのだろうか。まあ、書を読んでいることに変わりないのでいいか。 この漫画は短編をたくさん収録している短編漫画である。すべての話が奇妙でどこか滑稽でスルスルとその物語に溶け込まれていってしまう。街
『火喰鳥(ひくいどり)を、喰う』 原浩著 角川ホラー文庫 あらすじ 全ては「死者の日記」から始まった。これは“怪異”か、或いは“事件”か。 全ては「死者の日記」から始まった。これは“怪異”か、或いは“事件”か。 信州で暮らす久喜雄司に起きた二つの出来事。ひとつは久喜家代々の墓石が、何者かによって破壊されたこと。もうひとつは、死者の日記が届いたことだった。久喜家に届けられた日記は、太平洋戦争末期に戦死した雄司の大伯父・久喜貞市の遺品で、そこには異様なほどの生への執着が記さ
砂の女 (新潮文庫) 安部 公房 (著) あらすじ 砂丘へ昆虫採集に出かけた男が、砂穴の底に埋もれていく一軒家に閉じ込められる。考えつく限りの方法で脱出を試みる男。家を守るために、男を穴の中にひきとめておこうとする女。そして、穴の上から男の逃亡を妨害し、二人の生活を眺める村の人々。ドキュメンタルな手法、サスペンスあふれる展開のうちに、人間存在の極限の姿を追求した長編。20数ヶ国語に翻訳されている。読売文学賞受賞作。(新潮社) 感想 なかなかすごい作品であった。基本的
青鬼の褌を洗う女 坂口安吾(著) あらすじ昭和初期に活躍した「無頼派」の代表的作家である坂口安吾の小説。初出は「週刊朝日」25周年記念号−「愛と美」[1947(昭和22)年]。小さい頃から母に、オメカケか家族か金持の長男にと告げと言われてきた主人公・サチ子。しかしそれに刃向かい、様々な男と付き合い我が道を行く。福田恆存に「坂口安吾の実験はどうやらひとつの頂点に達した」と語らしめた作品。(amazonより) 感想かなりひねくれた感じがした。主人公のサチ子は男に依存して生きて
新世界より 貴志 祐介 (著) あらすじ1000年後の日本。豊かな自然に抱かれた集落、神栖(かみす)66町には純粋無垢な子どもたちの歓声が響く。周囲を注連縄(しめなわ)で囲まれたこの町には、外から穢れが侵入することはない。「神の力(念動力)」を得るに至った人類が手にした平和。念動力(サイコキネシス)の技を磨く子どもたちは野心と希望に燃えていた……隠された先史文明の一端を知るまでは。 (講談社文庫) 感想まっとうに面白い。終始エンタメを行っていて、読んでいてストレスがなく、
デーミアン (光文社 古典新訳文庫) ヘッセ(著) 酒寄進一(訳) あらすじ 些細な嘘をついたために不良に強請られていたエーミール。だが転校してきたデーミアンと仲良くなるや、不良は近づきもしなくなる。デーミアンの謎めいた人柄と思想に影響されたエーミールは、やがて真の自己を求めて深く苦悩するようになる。少年の魂の遍歴と成長を見事に描いた傑作。(光文社 古典新訳文庫 デーミアンより) 感想思春期特有の性の目覚めと既存の価値観への疑問が描かれていて、読んだのが中学生くらいであ