今日

1番上までボタンを閉めて。
レザージャケットに身を包まれ。
カッコいい女ふりをする。

そんな今日

お化粧をして、なりたい自分を身につけて
レザージャケットの女は街を行く。
お米を買いに行かなくちゃ。
レザージャケットの女は街を行く。
道に迷ったけど
そんなこと知らないなんて顔をして
レザージャケットの女は街を行く。
5キロのお米を頭に乗せて
レザージャケットの女は街を行く。
彼が「ぴんく！」と
謎の報告をしてきた可愛い華は
もう緑色の葉っぱを芽吹かせていることに気づいた。
思わず微笑んでしまったけど
素早く顔を凛々しく戻して
レザージャケットの女は街を行く。
アルバイトに行って
レザージャケットを脱ぐ。

愛想のいい売り子に大変身。
ここからはもう凛々しい顔なんてしない。
元気な挨拶に笑顔を耐えさずに。
敬語とタメ口を行き来しながら
500円のお酒を売っていく。
口から英語を絞り出して
口からみんなが惹かれる言葉を出して。
国境も年もなにも関係ない
みんながお酒を飲んでいる仲間。
全部をポジティブに彩って。
大きな声で、小さな声で、
真剣な話、出会い、思い出話、思い出し笑い、
これからのお話、友達の話、仕事の話、
いろんなお話で溢れかえってお店がパンクしそう。
なんて素敵な場所なのだろう。
あー、楽しかった。
アルバイトが終わって
また1番上までボタンを閉めて
レザージャケットに身を包まれ
カッコいい女のふりをする。

お酒を飲んでくれた人達に挨拶をして
「また来るね！会いにくる！」
なんて素敵な言葉達が幸せにしてくれて
レザージャケットの女は街を行く。
かっこいい音楽をイヤホンから流して
レジャージャケットの女は街を行く。
明日からの土日をどう過ごそうと
心をときめかせながら
レザージャケットの女は街を行く。
帰ったら勉強しよう、もっとうまく伝えるために。
面倒臭いけど。もう寝たいけど。なんて思いながら
レザージャケットの女は街を行く。
夜になれば輝きがます街
誰もいない路地裏
シャッターが閉まった商店街
お昼はキラキラしている街路樹
華金で酔っ払ったサラリーマンと一緒に
レザージャケットの女は街を行く。

私たちの住処に帰ってレザージャケットを脱ぐ。

今日のカッコいい女も好きだけど
明日は、
ふわふわの消えちゃいそうな
女の子になろう。
明日は、
羽が生えてるみたいに
舞いながら
街を飛ぼう。

お疲れ様。