対称性の破れ2
137億年前のビッグバンが起きた直後の状態を観察できたならば、どの方向も同じように見えたことだろう。あらゆる場所で場はほぼ同じエネルギーで振動しており、方向による違いはなかった。しかし、宇宙空間が膨張して冷えてくると、状況が変化する。周囲より密度がわずかに高い領域があると、この領域に引き寄せようとする重力が相対的に大きくなり、物質が集まってくる。ガス圧に打ち勝つだけの重力があれば、物質が凝縮して天体が形成される。こうなると、「どの方向も同じ」というわけではなく、天体の中心に向かう鉛直方向と、これと直交する水平方向が区別される。このように、或る方向を特別視するグランドデザインがなくても、偶然のプロセスだけで対称性が破れる事がある。物理学者は、こうしたプロセスを「自発的な対称性の破れ」と呼ぶ。「自発的」とは、外部からの操作で対称性を破ったのではないことを意味する。(教科書より)
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