今日の0

価値のあるなしを誰が決めるのかということを考えているといつの間にか眠っていつの間にか起きている
誰かにとって必要ならば誰かにとっては必要なのだ
それは確かなことと仮定すれば
誰にも必要でないならば誰にも必要でない
誰かにとって必要ならば誰にも必要でない
誰にも必要でないならば誰かにとっては必要である
どれが真でどれが偽か僕にはわからない
わからないふりをしている
彼らは自分で判断することなく誰かの言葉で判断したような気になっている
流されている
といえばそれまでだ自分の身に何かあれば判断したのは自分ではない言葉を発した誰かだと言えば済む
と思っている
からだ 許されるどうかはまた別の話だが
そうして逃げる道を作っている
ずるい
ずるいよなあ
僕にはそれをさせないようにしているのに
残されているのは死ぬことくらいか
それだって自分の所為だとは言わないだろう認めてしまえば次に責められるのは自分の方だからだ
それはしないそれはできない
かわいいのは自分
いらないのは自分以外の誰か
自分の邪魔をしない
甘やかしてくれる誰か
思い通りにならないときに
その誰かは瞬時にいらない人となる

(長い空白
(沈黙
(止まる思考
(サンドバッグはそれ以上の意思を持つべきではない
(生きる価値
(いなくなったとしても
(誰かがこの椅子に座るだけだ
(王位継承のような
(誰かに向かって与えられる
(無価値の価値

生きていることに何の価値も見いだせない
あるのは諦念 空白 虚無
ないのにある あってもしかたのないなにか
床に直接横になり床の硬さを感じて冷たさが緩和されていくのを感じるじんわりと
目を閉じて自分の嫌なところを探す
列挙する
不思議と泣いたことはないそれが当たり前だった
思い上がらないように
頼らないように

(本当は死んでしまえばいいと思うんだ
(無価値の中にしか価値はない
(不在の中にしか価値はない

目を開けるとそこはどこでもなく見慣れていつもの風景
なににもならずなににもなれずいつものようにいつもの日常がある
書きかけの誰かへの手紙を丸めて捨てる何回も繰り返した習慣のようななにか
書いてあることに意味はなくおそらく誰も解読はできないだろう
(自分だってなにを書いているかわからない
深まるばかりで明ける気配のない夜窓から見える鉄塔の上にいる自分を想像する
カーテンにあたる日がつづく今日を知らせるときに梁にかけておいたロープの使いみちを問いかける
目を上げるとそこに立つビルの屋上の配置
トリガーは誰の言葉になるのか誰もわからない(意識もしない
何かあったら言ってねは
何か(自分の得になるようなことが)あったら(自分が損をしないように)言ってねという意味であり
何か(自分の不利益になることが)あったら(自分が迷惑しないように)言ってねという意味であり
決して
何か(僕がつらいことが)あったら(それを軽減するような術を考えるから)言ってねという意味ではない
ということに気づかなくてはならない
もっと早くに
すぐにでも
自分のために

(うん知ってた

さようなら
左様ならば
そうであるなら
それじゃあ

別れの挨拶でも何でもなく
問題の先延ばしであることを認識しておくべきだった
あの時の言葉の意味も自分の価値もそれほど問題になることはなかったのだ
そもそも生きてゆく必要がなかったのだ

また朝が来る
長い長い0からの始まり
無価値の価値の累積のここが今日の0

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