なんでE♭管は半音3つ上がっているのに、楽譜ではシャープを3つ付けるの? 半音3つ下げるのだからフラット3つ付けるんじゃないの?
こんにちは! #VRアンサンブル研究会 のlitalitaです。普段、VR世界でピアノを弾いて、あちこちの方の楽器とアンサンブルを楽しんでおります。
ピアノ弾きはアルトサックス(E♭管)とかクラリネット(B♭管)とアンサンブルするときに、それら楽器に移調した楽譜を見ることになります。そして、こういうメロディーでしょうとか言って弾いてあげる必要があります。その時にいつもどっちにどのくらい移調するのだろうって思うわけです。
クラリネットのB♭管の場合
クラリネットのB♭管は、クラリネットの「ド」を吹くと、ピアノのB♭の音が出てきます。つまり半音2つ下がっています。ですからアンサンブルするときには、半音2つ上げた楽譜を準備しておいてそれを見て弾いてもらいます。結果としては例えばピアノがCであると、音符にシャープ2つ付けて、楽譜もシャープ2つ付け加えたDで書かれています。半音2つ上がった音を弾いてもらうことにより、ちょうど合います。もしピアノで半音2つ上がった楽譜を弾くときには、半音2つ下げて弾けばOKです。
このB♭管の半音2つ下がっているから、半音2つ上げる、つまりシャープ2つ加えるというのは、分かりやすいです。ですが、以前からE♭管のときにこの考え方がうまく行かないなぁと思っていました。上と同じように書いてみます。
アルトサックスのE♭管の場合
アルトサックスのE♭管は、アルトサックスの「ド」を吹くと、ピアノのE♭の音が出てきます。つまり半音3つ上がっています。ですからアンサンブルするときには、半音3つ下げた楽譜を準備しておいてそれを見て弾いてもらいます。結果としては例えばピアノがCであると、音符にフラット3つ付けて、楽譜はシャープ3つ付け加えたAで書かれています。半音3つ下がった音を弾いてもらうことにより、ちょうど合います。もしピアノで半音3つ下がった楽譜を弾くときには、半音3つ上げて弾けばOKです。
ちょっとおかしくないですか? 音符にフラット3つ付けるのに、楽譜ではシャープ3つ付けてAにするのです。3半音下げるのであればフラットを3つつければいいですよね。でも楽譜ではフラット3つをつけるとE♭になってしまう。あれれ?
なぜこうなったか? その答え
音符にフラットを3つ付けるのと、楽譜にフラット3つ付けるのはまったく違います。音符にフラット3つつけると下の例のように、C4の音はA3になります。
一方でCの楽譜にフラットを3つ書き込むとE♭に調が移調します。
ですから音符にフラット3つのAと楽譜にフラット3つのE♭でまったく違います。
楽譜にフラットを1つ書き込むと5度調が下がり、シャープを1つ書き込むと5度調が上がります。音符につけるのと働きが違うわけです。
でもB♭の時には音符にシャープ2つ、楽譜もシャープ2つでした。なぜでしょう? シャープを1つ楽譜に書き込むと5度あがります。これは半音で7つです。2つシャープを書くと14半音あがります。12半音で元に戻りますから14-12=2半音上がったことになります。これは音符で2つのシャープを加えて2半音上げたのと同じになります。たまたまシャープを2つ音符に加えたのが楽譜でも2つシャープを加えるという表記になっていたわけです。
ということで、E♭管のときには3半音下げる必要があるので、Cからみると3半音さげてAにします。Aはシャープ3つです。シャープ3つは7×3で21半音上がります。2オクターブは12半音×2=24半音なので、21-24=-3となり、3つ半音下がったということになります。
まとめ
ここではB♭管やE♭管の楽器とピアノがアンサンブルするときに、楽譜上ではどのように表記されるかということについて考えてみました。B♭管は半音2つ下がるので半音2つ上げた楽譜で弾いてもらっています。E♭管は半音3つ上がっているので半音3つ下げた楽譜で弾いてもらっています。
もしピアノがそれらの移調した楽譜を弾いてあげるときにはB♭管の時には半音2つ下げ、E♭管の時には半音3つ上げて弾いてあげれば、その楽器の音の高さになります。
音符にフラット3つつけるのと、楽譜にフラット3つつけるのは意味が違います。ですから、私の疑問というのは、なんでそんな当たり前のことが疑問になるの? ということになるかも知れません。逆にB♭管の時には音符もシャープ2つ、楽譜もシャープ2つになっているのが疑問という方がレベルが高い疑問かもしれません。ですが、今回B♭管とE♭管と、移調の関係を整理して考えてみたらよく分かりましたので、まとめさせていただきました。
参考
ここでは音楽用語の解説はしていません。5度違うというのは半音で7つ違うことですが、そのような解説はあちこちにありますのでそれらを参考にされてください。
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