やるせないきもち。

突然電話が鳴った
何の前触れもなく
約10年ぶりか
高校の同級生であり
かつての部活仲間から

なにやら胸騒ぎ
嫌な予感しかしない
この気持ちは何だ
無理やり押さえつけ
待ち合わせのファミレスへ

そこにいたのは彼1人ではなかった
もう1人見知らぬ青年
ファッションに疎い自分が見ても
オシャレとは言えないジャージの上下
怪しいという単語しか
頭に浮かばない

やはりそうか
勧誘か 残念ながら答えはノーだ
頭の中で「冷静に」と繰り返しながら
理路整然と自説を述べる

やはりそうか
執拗に食い下がってくる
堂々巡りの会話にウンザリして
つい声を荒らげてしまい
周りの席の客が
視線を向けたのに気がついた
そろそろお開きだ
最後に一言だけ彼に告げた
お前からの電話だから来たけど
そうじゃなかったら来てないよ
告げると同時にレシートを素早く掴み
足早に店を出た
後ろから何やら言いながら追ってきたが
相手にせず愛車に乗り込みエンジンをかける

そういえば似たような事が
過去に一度あったような気がする
忘れていたけど
やりきれない想いを抱きながら
思い切りアクセルを踏んで
その場を一刻も早く
離れたいだけの自分がいた
妙に悲しかった
何十年も経てば笑い話になって
彼とも話せる時がくるのだろうか
その答えは まだわからない

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