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皮膚を知れば美容の嘘は見抜ける(下)

(この記事はメールマガジンバックナンバーからの転載です。定期購読はこちら。)

前回は、皮膚からは栄養吸収をすることは困難であることと、保湿にはお
風呂上りにオイルを塗布すれば十分……というお話をしました。今回は、
その続きです。

今回は、「毛穴の奥まで汚れを落とす」必要があるのかどうか、そんなお
話です。

「毛穴の奥まですっきり洗う!」ってキャッチフレーズ、洗顔料のCMで目
にしたことがあるんじゃないかと思います。毛穴の汚れ専用の洗顔料なん
かもあります。毛穴パックはヒット商品でしたよね。

こういうのを使い続けると、余計に皮脂分泌が増えて汚れ感が増す可能性
がある……って言ったらどうしますか。そもそも、毛穴の奥まで汚れたり
しないって言ったら……やっぱり、信じないかもね。

私は、メイクアップ用品を使っての化粧をするのは特別なときだけで、普
段は何も使っていないため、洗顔って実はほとんどしません。冬の間は特
に、です。ゴシゴシこすって洗わないのが肌を綺麗に保つ秘訣だったりす
るのですよ。

人間の皮膚表面の汚れって、一般的に湯船の温度である40~42度のお湯で
洗うだけでほぼ完全に落ちてしまうんですよ。前回、「保湿にはオイル!」
とお伝えしましたが、皮膚表面のしっとり感は、皮膚に分泌されている
自前のオイル=皮脂なのです。

これを落としすぎてしまうと、かさついたり、突っ張った感じが出たりし
ます。ただでさえ風呂に入っただけで汚れが落ちているのに、そのうえし
っかり洗顔料を使って洗顔、あまつさえダブル洗顔なんてしたら、皮膚の
皮脂が抜けきってしまってカッサカサになってしまいます。

人間の体って面白いもので、「足りない!」と思うと過剰に分泌するので
すよ。洗いすぎることによって皮膚表面の皮脂分泌が過剰になり、ベタ付
きが感じられるようになることが多々あります。ベタつくから更に躍起に
なって洗顔料を使ってゴシゴシ洗って、更にベタついて……と悪循環には
まり込んでいる人って結構いるんじゃないのかなあ。

ちょっと前に話題になった方法で、「タモリ式入浴法」というのがありま
して。

湯船にしっかり浸かると汚れはほとんど落ちる……というのがこの方法。
メイクアップしていないなら、本当にこの方法だけで十分です。ホントか
どうかは知りませんが、福山雅治さんも同じような方法で洗顔しているら
しく、湯船のお湯だけで顔を洗っているそうです。私自身、コレと同じ方
法で顔を洗っています。湯船のお湯だけで軽く顔を拭うだけ。

「でもそれだと毛穴の奥の汚れが落ちないでしょ?」って思うでしょう。
毛穴の奥は汚れません。ほんとだよ。毛穴の中は皮膚の常在菌がいて様々
な汚れをブロックしているので、毛穴の中まで洗う必要なんてまったくな
いのです。

鼻の頭がツブツブしているから、アレが毛穴の奥の汚れだと思っている方、
多いでしょう。それ、汚れているのは毛穴の入り口だけ。皮脂が毛穴に
詰まった状態になっているので、入り口付近だけ古くなって黒っぽくなっ
ているのですよ。これを搾り出したりすると皮膚を痛める原因になってし
まいます。実は「毛穴パック」も同じように皮膚を痛めます。あんまり使わないほうがいいのよ。

気になる人は湯船にゆっくり浸かって汗をかかせ、お風呂上りに使う保湿
用のオイルを流用して鼻の頭に塗って、そーっとそ~っと、くるくるとマ
ッサージします。こうすると、皮脂の黒っぽくなっている所を溶かしてく
れるので、毛穴の入り口の汚れが落ちます。鼻の頭の皮脂のつまりを「角
栓」というのですが、これは洗いすぎや生活習慣の乱れが原因になってし
まいますから、ちゃんと食べてちゃんと寝て運動すると改善しますよ。

そして、朝一番の洗顔で洗顔料を使ってしっかり洗っている方。それは必
要ありません。寝る前に普通にお風呂に入っていらっしゃるなら、朝の洗
顔で洗顔料を使うのは洗いすぎです。私は朝の洗顔はお湯ですらなく、水
道水です。お湯を使うと皮脂を落としてしまうので、水溶性の汚れ(目や
にとか汗とか、場合によってはヨダレとかね(笑))だけを落とすために、
冷たい水道水を使うのですよ。

その上で、1週間に1回程度、「洗わない洗顔」を行います。ごくたまーに、
角質を落とすケアも。これは春と夏の間だけですが。しっかり泡立てた石鹸を顔に軽く乗せるようにおいて、ふわふわっと泡だけをなでるようにしてからすぐにぬるま湯で落とすだけです。角質オフにするのはシルクのハンカチかるーくなでるだけ。ノーメイクの場合、ホントにこれだけでOKです。

メイクをしている場合でも、ごしごしやらなくて大丈夫。こすり落とすほうが皮膚へのダメージは大きくなります。可能な限り優しく!これでずいぶん肌は美しくなります。試してみてね。

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若林理砂
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