【コロナ後遺症オンライン舌診プロジェクト処方集】



こちらは、Twitterでのオンライン舌診プロジェクトで作成されたコロナ後遺症に対応するための爪楊枝鍼・ペットボトル温灸の処方集です。若林理砂がオンライン上で舌診を行い、処方を作成し、爪楊枝鍼・ペットボトル温灸は患者さんご本人、ないしは、ご家族が操作してケアを行いました。

ごく小さな刺激でもクラッシュと呼ばれる現象が発生するとのことだったので、使う経穴は1度に2−3個まで、爪楊枝鍼は1ヶ所3秒、ペットボトル温灸は1カ所1秒と限定して行いました。

結果として、2022/12/20時点では、

54人中、42名が14日を迎え、35人が改善、変化なしが5名、悪化が1名です。寛解1名。

54人中20名が21日を迎え、16名が改善、変化なしが3名、悪化はいませんでした。寛解1名。

12月31日時点では、プロジェクト期限である28日を37名の方が迎え、6名ほぼ寛解、1名変化なし、30名がなんらかの改善を見るという結果になっています。

この結果を鑑みると、かなりの確率でセルフケアによる鍼灸で改善を見ることが可能であると結論付けられると思われます。

この処方を使う場合、大前提として、「舌診ができる」ことが必要です。まず、コロナ本体の邪が湿熱毒であることは以前お話しした通りです。これが、脾胃に余邪・伏邪として残り、現在のコロナ罹患後後遺症という形で発症しているのだと考えられます。

なので、全く舌診初心者の場合、最初の1−3までしか使えないと思います。それ以上のパートに関しては鑑別がうまくいかないと悪化する可能性があります。

上記を踏まえ、自己責任でお願いします。通常臨床の新規患者は受け付けておりません。
(オンライン診療はnoteのこちらより1ヶ月単位での舌診での管理のみ受け付けています  https://note.com/lisawaka/membership)

もちろん、無断転載禁止です。

1. まずはどの舌でもこれを使います。

病の原因が「湿熱邪」であるとされているので、どの後遺症であってもどこかに湿熱邪が余邪・伏邪として存在していると考えられます。そのため、1−3までの処方はどんな舌象があっても必ず効果があるため、何も鑑別せずにとりあえず使うことを推奨します。

「余邪」の概念は、明代末期の呉有性『温疫論』に見える考え方で、半表半裏の膜原(まくげん)と呼ばれる「経絡と胃が混じる部位」に病が治っているように見えてもいまだに余の邪が潜んでおり、完治していない……とされるものです。ですので、コロナ後遺症という名称より、Long covidという名称の方が適切であろうと思えます。

まず、この舌をみましょう。



舌が極端に小さい以外は、割と綺麗に見えますね。私もこれは小舌なので最初から補えばいいのではないかとも思ったのですが、念のため天枢・豊隆の爪楊枝針から始めると、



このように舌尖部の赤みと、苔が発生しました。余邪があるようです。

余邪・伏邪の場合、施術を行うと病が半表半裏の膜原から脾胃に移動するようで、これによって舌診に黄苔が現れてきます。ですので、爪楊枝鍼による治療を行うと、黄苔が舌に現れては消え現れては消え……を繰り返して、徐々に黄苔が引いていくという経過をたどります。

黄苔があるということ

「黄苔が少しでもあったらダメなんですか?」と質問されたのですが、コロナ後遺症の方以外でも黄苔がほんの少しでもあってはダメです。これは体の中に余分な湿気や熱が存在している証拠になるもので、ほんの少しついているにせよ、大量についているにせよ、ついている位置がどこであろうとダメなものなのです。また、薄いクリーム色の苔も、それは黄苔の軽度のものです。茶色から灰白色のものは黄苔が悪化したものです。

これはある日の私の舌です。全体に薄い白い苔があるのがわかるでしょうか? この辺りが正常な白苔の量で、舌本体が見えないほど白い苔がついている場合は、熱はないにせよ湿気が多いことを示しますので、それもダメです。

<胃の湿熱、陽(下剤的)>

天枢と豊隆、この二穴を使いましょう。

https://youtu.be/PQCG7vO2FCk
https://youtu.be/eSn-ijb-jGs

やり方は爪楊枝鍼、各経穴3秒程度、軽く叩きます。
爪楊枝鍼の基本的な操作方法は動画を参考にしてください。

https://note.com/lisawaka/n/na48916a8b06b

オンラインでの舌診プロジェクトを行なった際は、初回処方の後、施術直後の舌写真を送ってもらっていました。そうすると、余邪があるかどうかが判断できるためです。全く舌に苔が見られない症例でも、上記処方を行うとほぼ100%に近い確率で黄苔が発生し、余邪があることを確認できました。

この処方を数日続けると、黄苔が強く発生する時期がきます。それが確認できた場合は次の処方へ進みます。それが発生しない場合は天枢・豊隆の爪楊枝鍼のみで改善してしまうことがほとんどです。



2.次に、こちらを数日続けます。


<脾の湿熱、陰(下剤的)>

陽陵泉・陰陵泉に爪楊枝針です。
https://youtu.be/Hpw0OV_fmc8
https://youtu.be/pNEKnrJ0MYY

やり方は爪楊枝鍼、各経穴3秒程度、軽く叩きます。

これは体の中にまだ残りはないかを探り、それを追い出す処方です。なので、お腹が下ったりする可能性がありますが、気にしないでください。むしろこの時点で下痢する症例は治るのが早い傾向があります。

東洋医学では、病気の原因である「邪」を排出する経路として
・下痢
・発汗
・嘔吐
・(月経)
の三つを使いますが、嘔吐は余程のことがないと使用されることはなく、治療の際は下痢と発汗の経路を使用します。月経のある年齢の女性は瘀血【瘀血:鬱滞した血液という概念。】を排出する際に月経の経路を使用することがあります。男性の場合は瘀血排出経路は大便のみです。

今回の邪が胃腸の湿熱であるため、下痢する・便が緩くなるという経路で邪を体外に追い出す人が多いようです。とはいえ、そのような症状が見られなくとも改善していく症例もたくさんあるため、「下痢しない・緩くならない」とイライラする必要はないと思います。

元々便通が非常に悪い症例の場合は別途便秘薬などを使用することを推奨します。漢方便秘薬などありますでしょう? ちなみに、天枢・豊隆・内関・神門などを便通改善に使用しますが、それよりも服薬の方がダイレクトです。


3.ビーズテーピングを入れます。


円皮鍼の代わりに使用するのがこちらの方法です。円皮鍼とは、鍼灸臨床で使用される「置き針」「シール鍼」などと呼ばれる皮膚に貼付する鍼の一種です。経穴に対して刺激を継続的に加えることができるため、効率よく治療を行うことができます。

一般になかなか手に入るものではなく、経穴にジャストで貼付するのが難しいものではあるため。代わりにビーズテーピングを使用します。動画をご覧ください。


これを貼付し、しばらく置きっぱなしにします。動画では4mmプラスチックビーズを使用していますが、米粒などの粒状のものであればなんでも使用可能です。ガラスビーズは割れると危険なため、避けてください。

なぜこの時期からビーズテーピングを使用するかというと、黄苔が出たり消えたりを繰り返していくと、徐々にむくみが見えてくるのです。舌苔の分厚いのを「膩苔(じたい)」と言いますが、これは水分が凝り固まって痰飲(たんいん)が発生し、その現れとして膩苔となっていくと考えられています。ケアを続けていくと、凝り固まった水が解けてきます。これを「化痰(けたん)」と言います。そして、それが滞り、浮腫という形で見えてくると考えられます。これを「水滞(すいたい)」と言います。


黄色い膩苔、「黄膩苔」の例。中央から奥にかけてです。
真っ黄色ではなくクリーム色っぽいものも黄苔。


動いてクラッシュが発生する場合、動いた後に舌に極端なむくみが発生するようです。おそらくなのですが、体内の血管・リンパ管の外に存在する水分を調整する機能がなんらかの障害を起こしており、動いて血流が良くなると体の各所で出口を失った体液がパンパンに詰まってしまような状態に陥り、これにより全く動けない状態が発生するようなのです。

ですので、ビーズテーピング法はクラッシュ防止として使用できます。元々はその目的で考えたものです。外出後にクラッシュしてしまうのを防止したいという申し出があり、テスト的に下記の経穴にビーズテーピングをして出かけてもらったところ、クラッシュが防止できたのです。上記の舌の持ち主が被験者として行ってくれました。


上記の舌に貼付して2時間後。介護タクシーのストレッチャーで移動。
この時、お腹を下しました。
貼付して動いたので、顕著にむくみが減っています。


これが次の朝の写真です。縁に顕著なむくみが発生。
「身体がとにかく重だるくて動かすのに気力がいます。肩甲骨まわりの重だるさから腕を動かしにくかったり、手足の重だるさ、筋肉痛みたいな感じ、力の入りにくさがあります。」とのこと。


ここに、足通谷・外関に爪楊枝はりを使いました。

https://www.youtube.com/watch?v=CBo9Oo1RDDQ

https://youtu.be/2d2Y4jqSvD4

やり方は爪楊枝鍼、各経穴3秒程度、軽く叩きます。これを行ったことで、


縁のところのむくみが解消。その後、筋肉痛のような症状と軽度の倦怠感・疲労感ですみましたと報告がありました。

これ以降、動きながらビーズテーピングを使い、化痰した水滞を追い出す方法に応用するようになりました。



<元々がクラッシュ防止置き針。その後これを使って水滞を追い出す方法に>

陰陵泉・陽陵泉・尺沢・経渠にピップエレキバンなどの何か経穴刺激になるものを貼って置いてみてください。動ける分は動いてください。そうして4時間後に写真ください。

https://www.youtube.com/watch?v=Hpw0OV_fmc8

https://www.youtube.com/watch?v=pNEKnrJ0MYY

https://www.youtube.com/watch?v=TzUN7XX0tdA

https://gogo89.com/shinnkyu-news/経絡経穴/経渠/


<クラッシュ防止置き針と共に。帰宅後のむくみに対応>

陰谷・足通谷を使います。
https://t.co/9KcJEqfdT5

https://t.co/Nf5k39yo6i

やり方は爪楊枝鍼、各経穴3秒程度、軽く叩きます。

このテーピングを外す目安なのですが、数日貼りっぱなしにしていて、どうもむくみがほとんど変わらなくなったなあと思ったら一旦外して様子を見ます。再度むくみが発生してきたらテーピングを戻せばOKです。

舌でのむくみの見方ですが、「口の幅よりも舌が出ているか?」を見ています。下記の写真は同一人物のものです。

この青い線が口の幅ですね?


明らかに口の幅よりも大きくなっているの、分かりますか?
これを胖大舌といって、顕著なむくみを示します。


このように、口唇の幅よりも舌が出て見える場合は、水滞がとても多いということを示しています。コロナ後遺症の方達には、このむくみがとても多い方が散見されます。以下、いずれも胖大舌の見本です。

縁のところが赤い、肝胆熱の胖大舌です
厚みはないのですが、口幅より出ているので胖大舌です。
この舌は、胖大舌かつ歯痕舌の典型的な形です。

黄苔がある、水滞が多い、黄膩苔・白膩苔がある場合、食事内容にも問題が発生していることがわかってきました。ほとんどの場合、甘いものやアルコールを摂る習慣がある・もしくは、罹患前からかなり食べていた……というアンケート結果になりました。

甘いもの・アルコール・味の濃いもの・脂っこいもの・果物類の多食はやめましょう。一度、黄苔が消え切るまでは取らないようにしてください。きちんと治った後は、毎日摂取するわけでなければ徐々に嗜好品として戻せます。辛抱してください。


4.ここからは鑑別が必要になります。舌を見ながら処方します。

舌診の基礎がわからないとここから先は鑑別が不能です。ですので、舌診について概略を述べます。東洋医学では、四診と呼ばれる4つの診断方法を使い、病を判断していきます。

ここから先は

9,547字 / 27画像

こちらは若林理砂のオンラインによる舌診で、セルフケアを行う場所です。単発での舌診は行っておりません。…

コロナ後遺症舌診プロジェクト

¥30,000 / 月

健康管理プロジェクト

¥40,000 / 月

サポートしてくださると、多分さらに私のマッスルがスマイルすることでしょう。