見出し画像

武術とわたし。

私は「古武術やってた人」というイメージがついちゃってますが、実際はそんなに真面目に稽古をしていたわけではなく、ただなんとなく続いていたという感じなんですね。そもそもが、私に暴力を振るっていたDV彼氏が引っ張って連れて行ったのが古武術の先生のところだったのです。

DVをする人たちというのは、一刻たりとも自分の側から彼女を離したがらないのですよ。自信がないから。誰かに取られたりすると怖いから。なので、自分の趣味に帯同していくんですな。

わたし一人で友人と外でお茶して帰ると殴られるのも日常茶飯事。一人で外出が禁止なんですよね。私は確か一番最初に連れていかれた時はまだ暴力を振るわれるところまで行っていなかった気がしますが、その後DVが始まりました。

顔を殴られてメガネ吹っ飛ばされたり、路上で腹を殴られたりすることもありましたし、読みかけの本を勝手に読んだということで夜中に1時間ばかり背中を殴られ続けるというのも数回ありましたね、上手に脱力すると痛くなくなるのはそれで知りました。痣もできにくい。出かける時のお金は全部私持ちだったりとかしたなあ。

なんかああいう状態になってると、誰かに相談するとか考えないんですよねえ。

で、稽古会に行くこと自体は楽しくて、続いておりました。その後、受験期を経て暴力に耐えきれなくなり、その当時はまだ文字情報しかなかったパソコン通信を通じて知った世界を頼りに、少しずつ外へ出て行こうともがきました。んで、ある時別れ話をしたら台所から包丁を持ち出されそうになったので、タックルして倒し、手近な電源コード(たしかプレステのだったはず)で手足を縛って放置。解いてくれと懇願されて解いてやったら私の部屋から出て行ってくれたのです。

この時はパソコン通信で知った人の家に逃げ出したんですよ。三日くらいだっけ。それから自宅へ帰ったら、駐輪所に停めてあった私の自転車を探し出して手紙を放り込んであったり、留守電のテープが全部メッセージで埋まってたり、もちろん部屋に来た形跡があったりで、ゾッとしたもんです。

この当時のことはだいぶトラウマだったようで、つい最近まで夢に出て来てひどい目にあわされるというのが時々ありましたが、最近は相手がとても小さくガリガリに痩せていて、それをこっちが殺しに行く夢を見たりするので大丈夫になったようです。

あるとき稽古に行ったらそいつがいまして。もちろん顔を合わせても話をするような状態ではなく。向こうは勝手に「君の方が才能があるからここは譲る」とかいって稽古会に来なくなりました。ありがとうとか言わねえよバーカ。

それで、私は稽古会自体はそのまま居座ることになったのです。だからなんというか、そんなに思い入れがあるわけではなく。面白いんだけども。少しずつ稽古したり稽古しなかったりしながら現在に至るわけです。

稽古会の仲間にも恵まれましたし、そこはすごく良かったと思うんです。今だに交友が続く武友もいますし。人生万事塞翁が馬、禍福は糾える縄の如しってやつですな。だけど、自分で選んだわけじゃない。そこが問題だったんだなあと最近思います。自分で選んだらこんなに楽しいもんなんだなあと……というわけで今やってるカポエイラすごく楽しいです。

しかしまあ、こうやって虐げられていたりすると自分への自己評価はとても低くなるもんで、その後付き合ったりした男性もろくなもんじゃなかったですね。都合良く付き合える人として扱われているというのか……今ならよくわかります。こっちが「必要なのは これだけ 認めて」って最小限の要求をしていても、そこも浸潤してきますからねえ。

ですが、おかげさまで今に至って恐ろしく強くなりました。娘には「ロクでもない男の見定め方」はしっかり教えておこうと思っています。

(メールマガジンより加筆修正して転載しています。定期購読はこちら

サポートしてくださると、多分さらに私のマッスルがスマイルすることでしょう。